生後0ヶ月〜1ヶ月 育児日記
母子同室
この病院は、産後体調が悪くない限り必ず母子同室になる。
昼間だけでなく、夜もお世話をするのだ。
私は出産の際、出血がかなり多かったため、貧血がひどかったので無理しないで
新生児室に預けるように進められた。
当然、そんな話はお断りした。
産後直後にほんのちょっとだけ抱っこしただけ、ミルクの時間に10分抱いているかどうか。
新生児室の面会時間は決まっているし、第一触れる事ができない。
ちょっとでも一緒に居たいという私の執念で(?)めでたく同室になった。
産後は、母子同室になれる事を母親学級で聞いていたため、私は個室を希望していた。
産科の個室は、他科の個室病室よりもリッチな作りになっているらしい。
シャワーとソファー、電話、洗面台、冷蔵庫、テレビが装備されているのだ。
誰にも気兼ねする事無く、ゆっくりのんびり入院生活を楽しむ予定だったが、大部屋しか空いていない。
特別室という病室があるが、1日1万8千円もかかるのだ。
その特別室は、ある球団の選手の奥さんが、長男を出産した時に入っていたと、聞いた事がある。
特別室って、一体どんな部屋なんだ・・・と気になるところだが、ここは大部屋に入った。
そこには、陣痛室の友、Oさんも居るお部屋だった。
産後直後は婦人科の病室しか空きがなかったため、部屋が空いてからお引越し(?)した。
ここでベビーとのウキウキライフが始まるのね!!なんて思いながら部屋を移動した。
移動した部屋は、大部屋と言っても4人部屋で広々している。
なんと、テレビと冷蔵庫が装備されていて、快適に過ごせそうだ。
いよいよベビーがコットに入ってやってきた。
な〜んてかわいいの!!
と思ったのは言うまでもない。
「さあ!赤ちゃんのお世話って何すればいいの?」と、新人ママは張り切って待ってみたが
かわいい我が子はウトウト夢の中。
なんだ〜育児なんて楽勝じゃ〜ん♪なんてお気楽な事を思っていた。
実に単純である。
授乳の時間は記録の用紙をもらっているので、それを見ながら
だいたい4時間おきに授乳室へ行き、おっぱいを飲ませる。
沐浴は、看護婦さんがやってくれるので、私は時間に連れて行くだけ。
おむつ替えもかわいい我が子のなら全然平気〜という調子。
おむつ替えも楽勝〜と言っているが、新生児のおむつを替えるのは生まれてはじめての私。
「ふぇ〜ん」と私を呼ぶ声。
「はいはいは〜い♪ どうちまちたか〜?」と親ばか全開!でれでれの張り切り新米ママ。
「ミルクの時間はまだね〜 じゃあ、おむつかな〜?」!(^^)!ピンポーン!!正解〜!
おむつ替えデビューの瞬間です。
おむつを開けてみてビックリ!一瞬、たじろいだ私。
なんでこんなに可愛い顔なのに、こんなのが出るの〜!!
しかも、真っ黒!「ふふふ〜ん、これは胎便そんなの常識〜」とすぐ立ち直った。
小さなお尻をきれいに拭いている途中出るわ出るわ!!拭いても拭いても、どんどん出る出る!!
「ひえ〜〜〜〜〜!!」
と思わず悲鳴。 我が子のウンチが汚い訳でなく、どうしてこんなに出てくるのか!
しかも、コットの上はウンチを拭いたコットンだらけ。まるで、地獄絵図のようだ。
偶然、検温に来た看護婦さんに迷わず助けを求めた。
「新米ママにはよくある失敗よ!!」と、看護婦さんは笑いながら手際よく手伝ってくれた。
夜は何処の病院もたいてい9時が消灯時間のように、この病院も例外ではない。
ただ、ここは産科の病室を抱えるフロアーなので、9時を過ぎても廊下には人が割といる。
お産を待つ家族がいたり、授乳室へ行く人がいたりとなかなか賑やかだ。
ベビーは1日中ウトウトとしているが、私は産後の指導なんかが多くなかなか忙しい。
入院した日は、不眠不休で出産し、産後は興奮の為ほとんど眠れなかった。
そろそろ体力的にも疲れが出てきたらしい。
美しく(?)縫合されているだろうアソコの傷も何だか痛む。
さて、授乳タイムまでまだ時間があるから少し寝るとしよう。と横になった。
私はデリケート(バリケード?)なので枕が替わるとなかなか寝付けないのだが
その時ばかりは床に就いたらすぐ眠った。
10分も経たないうちに「ほげ〜!」と私を呼ぶ声。
ここは大部屋、他の人やベビーを起こしてはいけないと思い飛び起きた。
この病院は、布おむつを使用しているので、おむつで起こされる事は覚悟していた。
おむつを替え、コットにもどす。
「さぁ、寝よ。」と床に就く。1分も経っていないのに
「ほげ〜!」どうした!!と、慌てて飛び起きる。
おむつは替えたばかりだし、ミルクの時間にはまだ早い。
何処か痛いのか?!と、抱き上げると泣き止む。泣き止んだのでコットに戻す。
また、泣く。途中おむつを数回取り替え、気が付くと授乳タイム。
お部屋に戻り、寝かすと泣く。おむつを替えても泣く。
なんだ?なんだ??
同室のベビーはそんなに泣いている様子がない。あまり騒ぐと悪いと思い、廊下へ出た。
何が悲しいのかグズグズとしている。
廊下をまるで回遊魚のようにぐるぐると回っている私とベビー。
泣き方が強くなるとおむつを調べ、抱いて廊下をウロウロ
「乳、うんち、乳、うんち・・・」
とつぶやきながら夜の病棟をさまよう私。
前方に髪を振り乱し、疲れきった様子でベビーを抱き、同じようにあやしている人の姿が見えた。
ああ、あの人も同じなんだ・・・と、安心しその人の側に行ってみた。
「お互い、大変ですね。」と声を掛けたのは、鏡に映った自分の姿だった。
がが〜〜〜〜ん!!
この疲れきった姿は私だったの〜!!
よく見ると、目の下にはクマ、髪はボサボサ・・・ああ、もう乳の時間・・・と、授乳室へ向かった。
授乳を終え部屋に戻り、おむつを替え寝かせるとまた泣き出した。
ずっとあやしながら歩いていたので、足腰がパンパンに張って痛い。
椅子に座りたかったが、部屋では他の人に迷惑が掛かると思い授乳室に戻った。
「一体どうしたのよ!!」
と、言った声が大きかったらしく、看護婦さんが詰め所から驚いた様子で出てきた。
私は、看護婦さんの驚いた様子に驚いてしまった。
看護婦さんは私とベビーがウロウロとさまよっていた事を知っていたようで私の腕を揉みながら
「赤ちゃんね、今までお母さんのお腹の中にいたでしょ。
お腹から出てきて世界が広がったから、不安なんじゃないかな」
と、やさしく語ってくれた。そして、
「赤ちゃんの要求は今は全部判る訳ないよ。
でも、へその緒で繋がっていた2人だから、きっと判る時が来るの。
焦らず、じっくり赤ちゃんの声に耳を傾けてあげて。
愛情をいっぱい注いであげて。ちゃんと赤ちゃんに伝わるから」
私はその言葉に感動してしまい、母子同室になってから夜
一度も新生児室で見てもらう事はなかった。
結局入院中は、毎晩廊下をさまよい続け、「育児って体力と忍耐なんだ・・・」と知ってしまった。