2人目コール
はーちゃんの1歳のお誕生日を過ぎた辺りから、近所の人達から
「2人目は まだ?」の 通称「2人目コール」に悩まされていた。
悩むといっても、出来ない事を悩むのではなく、顔を見ると皆、口裏を合わせているかのように
一字一句間違う事無く、同じ事を言うのだ。
お節介な人になると、「あ、お腹目立つようになってきたわね」だとか言い出す始末。
セクハラは、街のおばさん達による若いママへの物もあると感じた瞬間だった。
このおばさん軍団という生き物は、実に情報網が発達していて
「3丁目の○○さんの所のお嫁さん、今、不妊の治療に通っているらしい」だの
「△△マンションの11階の××さん、株で失敗した」だの
事細かに知っているのだ。
そんな話を聞いていると、私についての情報も当然、流れている事だろう。
はーちゃんと散歩をしていると、例のおばさん軍団のボス的存在のAさんが居る。
方向転換して静かの去ろうとしたら、私の姿に気づいて声を掛けられた。
それも、かなり距離が離れているのに私の存在に気づく辺り、あれはタダモノではないと思う。
きっと、センサーか触覚か何かが付いているか、犬並みの嗅覚を持っているに違いない。
「あら〜 はるなちゃん、ママとお散歩?いいわねー」
ここまでは良い。その後が問題。
「ところで奥さん。そろそろ2人目は?はるなちゃんも弟か妹欲しいに決まっているわよ〜」
(はーちゃんがいつ、弟か妹が欲しいって言ったんだ!!聞いたんかい、コラッ!!)
「まあ、はるなちゃんは女の子だから、次は男の子よね〜絶対。 で、予定は?」
「無いです!!」(←きっぱり)
「ま〜そんな事言って〜 お若いんだから、頑張らないと〜 ご主人の帰り早いでしょ?
それに、入院中のお母さんもお喜びになるでしょう。2人目出来たら〜。」
(きーっ!! ナニ 頑張るんじゃ〜〜〜!!)
と、こんな感じで質問攻めに合うのだ。
いつも「仁義無き戦い」を繰り広げている私の天敵 姑 富美子は、2人目まだ?
とは一度も聞いてこない。
私の腎臓の病気がある事を知っていたので、子供は無理と思っていた所に
はーちゃんが生まれて来た事だけで充分嬉しいらしい。
私が、夫の実家の近所のおばさん軍団に取り囲まれ、同じ事を言われた時
姑 富美子は、間に割り込んできっぱり言い切った。
「この子は見掛けに依らず体弱くてね、息子を父親にしてくれただけで
充分感謝してるのよ。だから、いいの。
もしも2人目が出来たら回覧版で町内中に報告するから余計な事
言うと、プレッシャーになるから止めてあげて!!」
と、言ったのだ。
見かけに依らずだけは余計だったが、あの時はちょっと嬉しかった。
あんなにキツイ言い方をして、大丈夫なんだろうか・・・と、一瞬心配したが
姑 富美子は、実家周辺のおばさん軍団のボスらしく、私の心配は全く無用だった。
しかも、姑は 「白百合の会」というおばさん軍団のヘッドもやっているらしい。
白百合と言うよりは、どくだみの会といった所であろうか。
2人目を考えない訳では決してない。
最初の妊娠は、途中 入院する事も無く過ごせた。
もしも今、2人目が出来て、体調崩して入院という事は、健康な妊婦さんよりも
可能性はかなり高くなる。
最初の妊娠の時もそうだった。
間違いなく、途中から管理入院が必要になると思いますと言われていた。
が、色々と出歩いてはいたが、基本的には寝たきり妊婦生活を送っていた為
妊娠中毒も出る事は無く、それどころか、全く健康に近い状態で出産する事が出来た。
今回は違う。
はーちゃんを育てながらの妊娠期間になる。
今でも疲れると尿蛋白が出たりするので、このまま妊娠したら・・・
もし、入院なんてことになったら・・・
そんな事を考えていると、とても2人目なんて今は無理という結論に達してしまう。
大体、我が家は2人目の出来るような行為は全くない。
トドのような夫と、おっさんのような妻。
これではムードもへちまも無い。
「あーあ、結婚前とその直後は 幹ちゃん(夫)が トヨエツに見えていたのに・・・」
と、私。
「変な薬、やってたんじゃないの?」
と、夫。
こんな会話をしていては、コウノトリはやってこないだろうなあ・・・
