はーちゃんの恐いもの

ある日、いまいっちは息子のゆうた君の話をしてくれた。
ゆうた君はとっても素直な男の子で、とにかくやさしい。
こんな事を言ってはいけないのだが、
彼女の子供とは思えないほど
やさしい、いい子なのだ。
きっとご主人がいい人なんだろうと思うが…。
いまいっちは、産後の自分磨きに命を懸けている人で当然、
肌の手入れも外せない
重要なものなのだ。

彼女は週に1回泥パックをすると言っていた。
その泥パックをお風呂に入るときにするらしいのだが、
その姿を見たゆうた君はとても怖がるのだそうだ。
恐がる姿が面白いらしく、調子に乗った彼女は低い声で
「ゆ〜たくんは、お母さんの言う事をよく聞いているのか〜〜?!」と、聞くと
「ぎいでるうううう〜〜」(←聞いているの意)
と、泣きながら答えるのだと笑いながら話してくれた。

そんな話も忘れていた先日、久しぶりに2人でお風呂に入った。
我が家では、はーちゃんをお風呂に入れるのはパパのお仕事なのだが
その日は仕事が忙しく帰りも遅いと聞いていたため、早めにお風呂に入れる事にした。
はーちゃんはお風呂が大好きで、機嫌が悪くても「お風呂行くよ!」と言うと
「ごーごーご!!」(注:GO!GO!GO!の意)とお風呂場へまっしぐらである。
はーちゃんの体と髪を洗い、湯船に漬けた。そしてお気に入りのお風呂場おもちゃを手渡した。
機嫌良く遊んでいるので、私も髪を洗ったり体を洗ったりした。
洗顔をして「さて、湯船に浸かろうか…」と思った瞬間、私の視界に目に入ったのもがあった。
某メーカーの出している
「泥パック」だ。
それを見たときに私は、この前聞いた
「ゆうた君VS泥パックお化け」のお話を思い出してしまった。
「ちょっと、やってみようかなぁ〜」綺麗になるためではなく
明らかに何かイケナイ事を考えている私。
チューブからウネウネと絞り出し、顔に塗りつけた。
ついでに首も…と、気付いた時には肩から上はすべて塗り尽くした。
ママの変わっていく一部始終を見ていたはーちゃんは、その時すでに固まり気味だったが、
ママだと判っている余裕なのか
「まま〜」なんて呼んで笑っている。

「はぁ〜い」


低い声で歯をむき出しにしたような恐い顔で振り返ってみた。
今まではちょっと恐いなりにも笑っていたのだが、もう笑う余裕など
どこにも無くなってしまったようになっている。恐怖で声もでないようだ。
寒かったので、私もはーちゃんと一緒に湯船に浸かると、はーちゃんは後ずさりしていた。
私も、よせばいいのに
「は〜ちゃんはいい子かな〜?!」と低い声で聞いてみた。
「@■※◎★$¥#〜〜〜!!!」(←意味不明)
と、何やら叫びながら泣き喚いている。すでにパニック状態だ。鼻水と涙で顔はグチャグチャになっている。
これ以上はマズイと思ったので、やさしく
「ごめん!はーちゃん、ママだよ!!」
と言ったが、はーちゃんの目の前にいるのは
いつもの美人のママではなく、緑色の顔をしたお化けなのだ。
「はーちゃん!はーちゃん!!ママだよ!!」ママの声はするのだが、ママは助けに来てくれない。
はーちゃんは更にパニック状態!
慌てて洗い流し、はーちゃんに声を掛けた。はーちゃんは
「×▲@※%¥〜〜〜〜〜」(←意味不明)
と、泣き崩れていた。はーちゃんごめんね。ママは海よりも深く反省しているよ…と思う反面
お…面白い…と密かに思ってしまった。
はーちゃんにとって「泥パック怪獣」はかなり恐ろしかったようで、悪戯をしたときに
「怪獣来ちゃうよ」と言うと、一瞬固まってしまう程なのだ。
その事を夫に話すと、

「なんてヒドイことするんだ!! はーちゃんが可哀想だ!!」
と、がっちり叱られた。
お風呂嫌いになったらどうする!!と言われ、改めて反省した。

でも、はーちゃんがもう少し大きくなったらもう一度「泥パック怪獣」に変身してみようと
心に決めているママであった。
どんな反応をするのか、今からとても楽しみ(?)である。