「祭祀と神々 」について...


■祭祀と神々

陰陽道における祭祀と神々についてまとめてみました。



■泰山府君

「泰山府君」とは陰陽道の主神、冥府の神、人間の生死を司る神として知られ、東岳(中国五岳の一つで別名を泰山、大山、太山とも言います)に降りて神となった輔星の精を意味し、すでに広く信仰されていた泰山を神格化した「東岳大帝」としばしば同一視され、現在では同一神として見なされています。

東岳大帝という神は人間の賞罰や生命の長短を司り、人の魂魄は死んだのちにこの神の元へ帰るとされています。現世と来世を管理し、現世で犯した罪はすべて報告されると信じられていたため、人々に恐れられ、尊崇されている神です。

この神は同神とされる神が多く、中国では太一神(北極星を神格化したもの)、日本では素戔嗚尊、三輪明神、牛頭天王、福禄寿、閻魔大王といった神々と同神とされています。

この泰山府君を陰陽道の最高神霊で宇宙の生成、森羅万象を司る神として位置づけたのが安倍晴明です。「今昔物語」、「吾妻鏡」、「古今著聞集」、「博物誌」などに晴明が泰山府君の祭祀を修したという伝承が残っています。

泰山府君祭はほとんど民間に流伝することはなくもっぱら宮中で執り行われる秘祭でした。現在では福井県名田庄村にある天社土御門神道本庁で執り行われる祭祀にその原影を見ることができるだけです。

■星辰祭祀

あらゆる星が北極星(北辰)を中心に巡ることから古代中国ではこの星を全宇宙に司る星とし、最高レベルの神として崇拝するようになりました。この北極星の位置する星座は総称して中宮(ちゅうぐう)として呼ばれ、最高神として崇める天帝の常居として拝されてきました。

陰陽道における北辰の概念は中国におけるものとほぼ同じで、宇宙根源の神とされます。この星から日月が生じ、五を生じ、五星となり、五行になったと言われています。さらに五行からは人が生じたわけなので、根源を求めれば自ずと北辰に辿り着くと言えます。なお、北辰は道教の中心的な神である太一(たいいつ)とも同一視されています。

陰陽道祭祀の代表的なものには前項の泰山府君祭を始め、玄宮北極祭(げんぐうほっきょくさい)、鎮宅霊符神祭(ちんたくれいふじんさい)などがあります。これらは北辰を祀ったものです。他に北斗七星を祀ったものがあります。属星祭がそれに該当します。

■八将神

陰陽道の秘伝書「ほき内伝」によると八将神とは牛頭天王の八人の息子達を意味します。一般には「星の神」と信じられています。具体的には下表のように配当されています。

八将神名 配当される星 本地
太歳神
(たいさいじん)
歳星(さいしょう)
木星
総光天王
(そうこうてんのう)
薬師如来
(やくしにょらい)
大将軍
(だいしょうぐん)
太白星(たいはくしょう)
金星
魔王天王
(まおうてんのう)
他化自在天
(たけじざいてん)
太陰神
(たいいんじん)
鎮星(ちんしょう)
土星
倶摩羅天王
(くまらてんのう)
聖観自在尊
(しょうかんじざいそん)
歳刑神
(さいぎょうしん)
辰星(しんしょう)
水星
得達神天王
(とくだつしんてんのう)
堅牢地神
(けんろうじしん)
歳破神
(さいはしん)
鎮星(ちんしょう)
土星
良侍天王
(りょうじてんのう)
河泊大水神
(かはくだいすいじん)
歳殺神
(さいせつしん)
けい惑星(けいこくしょう)
火星
侍神相天王
(じしんそうてんのう)
大威徳明王
(だいいとくみょうおう)
黄幡神
(おうばんしん)
ごう星(らごうしょう) 宅神相天王
(たくしんそうてんのう)
摩利支天王
(まりしてんのう)
豹尾神
(ひょうびしん)
計都星(けいとしょう) 蛇毒気神
(じゃどっけしん)
三宝荒神
(さんぽうこうじん)

太陰神から歳殺神までは表を見てもわかるように五行星ですが、黄幡神と豹尾神に関しては架空の星が配当されています。この架空の星は白道(はくどう/月の運行コース)と黄道(おうどう/太陽の運行コース)との交点にあると想像した星であるとのことです。

次に、八将神の方位についてまとめてみます。

太歳神
大将軍
太陰神
歳刑神
歳破神
歳殺神
黄幡神
豹尾神

先に八将神は「星の神」と信じられていると書きましたが、実際には星はこのような動きをしません。つまり、星には無関係だということになります。どうやら八将神は五行と方位から導かれたもののようです。