教会教育講座 2005

聖書は何を語るか より) 

4.旧約聖書の中心テーマ4 ―低きに降る神―



◎ 
旧約聖書のメッセージの特徴

      契約・選び・残りの者・低きに降る神

                        の四点を考えてきました。

今日はその第4回

低きに降る神

神とはどのような存在なのですか? と問われたとき、

   創造の神、唯一の神などの伝統的な言い方があります。

   しかし、旧約の神信仰は「低きに降る神」(左近淑:サコンキヨシ)に凝縮されている、と言われます。

      ヤコブのはしごをのぼりゆくわれら

      ヤコブのはしごをのぼりゆくわれら

      ヤコブのはしごをのぼりゆくわれら

      われら十字架のつわものたち


      ひとあしひとあし高きにのぼり

         ひとあしひとあし高きにのぼる

      ヤコブのはしごをのぼりゆくわれら

         われら十字架のつわものたち


         地より天へとのぼりゆき

      地より天へとのぼりゆく

      ヤコブのはしごをのぼりゆくわれら

      われら十字架のつわものたち

このJacob’s Ladder(われらはのぼるよ)は東京クリスチャンクルセードで歌われた曲でもありました。ワールド・ビジョンを中心に東京の41の教派、70の教会が参加しボブ・ピアスをメイン・スピーカーに1961年5月6日から6月4日にかけての約1ヶ月間東京の千駄ヶ谷の東京都体育館で行われました。このJacob’s Ladderでも感じるように神の臨在を間近に感じる時でもありました。しかし、この東京クリスチャンクルセードは、多くの新しい人々を教会へ送りながら、その払ったエネルギーの対価としては定着があまりにも少なかったため、この後の教会の流れを見れば、統一から分立への大きな分岐点の一つだったような気がします。来るべき成熟したバプテスト社会、すなわちそれぞれの信仰のIdentity(主体性)を尊重しながらCollabration(協力)していく社会まで50年余りの年月が必要だったのだと改めて感じます。

さて、神の臨在を感じる“低きに降る神”をいつものように聖書からみていきましょう。

A旧約聖書から

1)詩編18編10節

   主は天を傾けて降り 密雲を足もとに従え

    (ダビデが王位を受けた事への感謝の讃歌)

   ・神は時としてその天を引き裂いてまで人間に近づいてきてくださる。

2)詩編113編4−7節

   主はすべての国を超えて高くいまし 主の栄光は人を超えて輝く。

   わたしたちの神、主に並ぶものがあろうか。

   主は御座を高く置き なお、低く降って天と地を御覧になる。

   弱い者を塵の中から起こし 乏しい者を芥の中から高く上げ

    (ハレル詩編、過越の祭りの夜家の庭で歌われる)

   ・本来高きにいます神が、人間の低い現実のただ中に「低く降る」ことが言い表されている。

   ・神とは「天を引き裂いて」までも「低きに降り」、人間の苦しみを自らの苦しみとして
    担いとって下さる方。

3)イザヤ書57章15節

    高く、あがめられて、永遠にいまし 

    その名を聖と唱えられる方がこう言われる。

    わたしは、高く、聖なる所に住み

    打ち砕かれて、へりくだる霊の人と共にあり

      へりくだる霊の人に命を得させ

    打ち砕かれた心の人に命を得させる。

    (捕囚帰還後の在エルサレムのユダヤ人の不安な生活状況の中において)

   ・低きとは人間が神によって徹底的に「打ち砕かれた」状態。

4)イザヤ書63章19節

    どうか、天を裂いて降ってください。

    御前に山々が揺れ動くように

   ・旧約聖書の中で最も深い祈りの一つとして、人々は「低きに降る神」を告白している。

B新約聖書から:私達のところに降りてくださった主イエスを通して

5)エフェソ4章7−16節

    ・主イエス・キリストにあって、ついには、わたしたちは皆、神の子 に対する信仰と知識に
   おいて一つのものとなり、成熟した人間になり、キリストの満ちあふれた豊かさになるまで
   成長するのです。

6)テサロニケ一4章15―18節

    ・わたしたちはいつまでも主とともにいることになる。
    ・ですから、いま述べた言葉によって励まし合いなさい。

日本のプロテスタント宣教はフロンティアの中から起こされたといってよいのではないでしょうか。原町田教会出身で日本最古のプロテスタント教会横浜海岸教会の牧師であった井上平三郎は、著書「濱のともしび」の中で東洋伝道のためのアメリカン・ボード海外宣教協会の設立の由来をヘイスタック・ムーブメントに求めてその熱意を語っています(高谷道夫・大田愛人著‘横浜バンド史話’においても)。

新しい開拓の中で一冊の聖書、生活の糧をうる為の一丁の銃、そしてワイオミングの大平原の空が一面黒雲に閉ざされた中で、その黒雲の裂け目から一条の光が大平原の一点を明るく照らし出したとき神の臨在を実感する、実体験のあるものも無い者もバプテストを初めとする横浜に上陸したプロテスタント宣教に共感する者達の共通の思いではなかったでしょうか。

「八方塞がり」「四面楚歌」いろいろな言葉があります。史記の「四面楚歌」で項羽は、その美学を江東へ逃れることでなく死に求めました。一方の劉邦は自分の弱さを十分に自覚し、鴻門の会で項羽の前に身を投げ出しその中に活を求め、あの大漢帝国の高祖として歴史に君臨しました。

いろいろな生き方があるでしょう。その中で、私たちは、ヤコブのはしごを上り下りするように、そして、低きに降って下さる神の御心の中で、神の臨在を実感し、絶望の中でなく、主にある希望の中で、生きていくことを願いたいと思います。



(文責 日本基督教団 原町田教会 教会教育講座担当 信徒 澤野 國雄)

次回は 6月12日(日)現在を生きる知恵の書 です。




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