教会教育講座2005

聖書は何を語るか より)

1.旧約聖書の中心テーマ1 ―契約―

  a.旧約聖書のメッセージの特徴

      契約・選び・残りの者・低きに降る神

                        の四点が考えられる。

b.契約の考え方

 1)契約の思想は、長いこと日本人には馴染みにくかった。

   契約の思想を大切にするバプテストでさえ、日本では教会の約束という考え方をするのが精一杯だったのではないか。

新約:新しい契約、旧約:旧い契約

                            参考―1

契約に類するものは歴史的に見ても昔からあったが、戦後、アメリカ文

化のシャワーの中で、生命保険などで契約条項が意図的に意識されだし、

今日では日本文化の中においてもビジネスを中心に契約の考え方が定着

しはじめたのではないか。(社会契約

もともとは聖書の考え方といえるのではないか。(教会契約

(注)英語では、聖書での契約としてcovenant(契約・誓約)を使用し

社会契約に類するものとしてはcontractを使用して使い分けている。

神と人間の契約、神と教会の契約、教会と信徒の契約、人と人との契約

(例1)教会と信徒の契約

    我に恵みを与えよ。我、信仰をもって返せん。

(例2)メイフラワー契約(1620)

    ピルグリム・ファーザーズが船内で新大陸における植民地建

設に関して誓約したもの。

神のみ前で結んだ最高の教会契約であり、社会契約。

契約関係とは履行されなければ、契約が解除されるのは当然のこと。

    2)契約とは、当事者の独立した人格を前提にし、そこで取り交わされる関係。

・当事者に独立した人格がなければ、契約関係を理解することは困難であり、
 本当の意味で聖書を理解することは困難。

・契約の考え方と対極にあるものが、地縁、血縁関係。
 属していることに最大の意味を持ち、ほとんどの場合、個人の独立した意思というのは、そこでは
 意味を持たない。

    (例)「教会の枝」という言葉がしばしば使われるが、そこには教会に属していることのみに
      最大の意味を持ち、今日の契約の考え方(聖書の基本的な考え方)とはかなりかけ離れ
      ている。

   c.代表的な契約

     1)アダム契約:エデンの園で結ばれた。(創2:16,17

     2)ノア契約:洪水の後に結ばれた。(創9:9-17

         片務契約

      「人が心に思うことは、幼いときから悪い」(創8:21
          と主は認識、しかし
      「わたしは、あなたたちと、そして後に続く子孫と契約を立てる」(創
9:9

     3)アブラハム契約:イスラエル民族の出発点。(創15:1,5-7,18

           土地、子孫、祝福の三つの条項。

     4)シナイ契約:シナイ山で結ばれた。

a.十戒(出エジ20:1-17

b.16の条項と違反に対する警告(出エジ20:22-33

c.契約の締結(出エジ24:6-8

            主が、イスラエル民族の唯一の神として自らを示し強く働きかけた 
        その応答として「わたしは主が語られたこと(契約の書)をすべて行い守ります。
        (出エジ
24:7

     5)ダビデ契約:ナタンがダビデに伝えた。(サム下7章)

双務契約

                      主があなたのために家を興す。・・
       あなたの身から出る子孫に
跡を継がせ、その王国を揺るぎないものとする。・・
       わたしは
彼の父となり、彼はわたしの子となる。彼が、過ちを犯すときは、
       人間の杖、人の子らの鞭を持って彼を懲ら
(サム下7:11-14

                      王は正しく国を統治するという責任を神から問われる。

  ダビデ契約の私たちの理解

    1)ダビデの息子の1人が、ダビデの後に王座を確立する。

     2)その息子が、神殿を建設するようになる。

    3)その息子が罪を犯すなら、ヤハウェは彼を罰するが、サウルの場合のように、
彼を王座から退けることはしない。

    4)メシアはダビデの家系から出る。

    5)メシアとその王国は永久に確立される。

    d.新しい契約(旧約の契約思想の頂点)

       契約はきわめて人格的なものであると同時に、常に破られる可能性と危険性をもっている。(人間の罪の問題

 新しい契約 ⇒ 人間の側からの契約破棄の現実を鋭く指摘しているだけでなく、破られた契約の回復を示唆。
「見よ、わたしがイスラエルの家、ユダの家と新しい契約を結ぶ日が来る、と主は言われる。
この契約は、かってわたしが彼らの先祖の手を取ってエジプトの地から導き出したときに結んだものではない。
わたしが彼らの主人であったにもかかわらず、彼らはこの契約を破った、と主はいわれる。
しかし、来たるべき日に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこれである、と主は言われる。
すなわち、わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。
わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。
そのとき、人々は、隣人どうし、兄弟どうし、『主を知れ』と言って教えることはない。
彼らはすべて、小さい者も大きい者もわたしを知るからである、と主は言われる。
わたしは彼らの悪を赦し、再び彼らの罪に心を留めることはない」(エレミヤ31:31-34)

       

ヘブ8:8―12  エレミヤ31:31−34

     ヘブ8:6

        しかし、今、わたしたちの大祭司は、それよりはるかに優れた務めを得ておられます。
       更にまさった約束に基づいて制定された、更にまさった契約の仲介者になられたからです。

ヘブ8:13

  神は「新しいもの」と言われることによって、最初の契約は古びてしまったと宣言されたのです。
年を経て、古びたものは、間もなく消えうせます。

参考2:近代バプテスト派研究(高野 進著)より

   バプテスト原理の中心的特色は、その教会論にある。
さらに、バプテスト教会論の特色は、教会契約(教会の約束)の思想にある。

    バプテスト教会は教会契約にもとづいて形成されてきた。
自覚的な信徒が神と信徒相互に対して、契約を結び、これに署名し、
順守することに従って、教会が組織された。
バプテスト派は、この教会契約の思想を徹底することによって、
彼ら(我々)の独自な教会形成原理を展開したのであった。



  上記 高野先生の著書にもあるようにこれからの来るべき多様な価値観、
多人種共同社会において、バプテストの培ってき
た契約共同体の実践は
大きな示唆を与えるのではないか。

  (文責 日本基督教団 原町田教会 教会教育講座担当 信徒 澤野 國雄)

次回は5月22日 「選び」 です。



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