“海の生物(主にイカ・タコ)”に関するミニコラム![]()
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古代からアワビは神様にお供えする神聖な食べ物とされてきたが、この伝統は現在でも残っている。皇室の行事では必ずアワビが用いられているし、三重県の伊勢神宮でも、10月の神嘗祭(かんなめさい)など重要な儀式の時には欠かせないお供え物となっている。
関西では、夏至から11日目の半夏生(はんげしょう)の日にタコを食べる習慣がある。これはタコの足のように稲がたくさん実るようにという“豊作祈願”である。関東では、お正月に紅白の色がめでたいということで、食紅(しょくべに)で赤く染色した酢ダコが食される。
イカには、全漁獲量の90%にもなるスルメイカを始めとして、スミを大量に吐くスミイカ、スシダネとして珍重されるアオリイカやジンドウイカ、肉厚でフライなどに向くモンゴウイカなどがあるが、これらは産卵後、えさを十分に食べた秋から冬にかけてが“旬”である。
うすい茶色を『セピア色』というが、この呼び方の由来はラテン語でイカを意味する“セピア”から来ている。中世のヨーロッパでは、絵の具の材料として、イカのスミが多用されていたからで、色の呼び方としては古いものの一つということになる。
欧米ではイカやタコを『悪魔の魚(Devil Fish)と呼んで、食材としては好まれない傾向にあるが、地中海沿岸のイタリア・フランス南部からスペインに住む人々の間では、パエリアの中に入れたり、オリーブオイルで炒めたりと普通の食材となっている。
江戸時代、日本から中国に輸出していた食料品で高額取引されていたのがアワビ・なまこ・フカヒレで『俵物三品』と呼ばれていた。これらの食材は中国料理では珍重されており、当時は菌とほぼ同じ重さで取引されていたという話もある。
日本近海のタコは50種類以上もいるが、食用にするのはゆでると赤くなるマダコ、全長3mにもなるミズダコ、産卵期にはご飯粒そっくりの卵を持つイイダコなどと限られている。お正月に酢ダコとして使われるのは、ミズダコを赤く染色したものが多い。
英語で“夏のきゅうり”と呼ばれるのがナマコのことで、日本では夜になるとネズミのように活発に活動することから『海鼠』の漢字が当てられている。夏は活動せず、秋になるとエサを食べ始めるため、11月頃からが旬とされている。
日本の“3大珍味”といわれているものは、ボラの卵巣を塩漬けにした長崎がいちばん有名な『カラスミ』と日本海の荒波にもまれた福井の『越前ウニ』、そして愛知県の知多半島で採れる『コノワタ』だそうです。(コノワタとはナマコの内臓を発酵させた塩辛の一種)
『タコ入道』『タコ坊主』などと、古くからお坊さんのことを呼んでいるが、タコの頭(本当は胴体)が“坊主頭”に似ているため、こう呼ばれたというのが一般的だが、タコが精力を高める効果もあったとされており、タコを食べてHなことばかり考えている坊主のことという意味もあるらしい。
ノルウェーやデンマークなど北欧の人々は、ナマコを“海のソーセージ”と呼んでいるという。これは見た目からそう呼んでいるだけで、ナマコにはソーセージほどの栄養分はなく、また北欧の人々が好んで食べるということもない。
食品として、卵とほぼ同等の栄養成分を持つといわれ、『海の完全食品』とも呼ばれているのがウニなのです。タンパク質や脂質はもちろんのこと、ビタミン類も豊富で、特にビタミンAを多く含んでいるのだという。したがって、成人病患者などには逆に勧めてはいけない食品ということになる。
南太平洋のペルー沖に棲むアメリカオオアオリイカは“海の殺人鬼”の異名を持ち、現地の漁師から恐れられている。成長すると全長が4mにもなるこのイカは、マグロ釣り用のワイヤーでできた釣り糸もかみちぎるのだという。海中で動くものにはすぐかみついてくる習性もあるという。
人間の神経は1本あたりは直径は0.036mmしかなく、巨大な恐竜でさえも2〜3mm程度だったとされている。ところが、アメリカオオアオリイカは直径16mmという極端に太い神経を持っていることで知られている。
イカ、タコの仲間は肉食性のため、海中のダイバーはもちろんのこと、ボートの上にいる人間にまで襲いかかることが知られている。1941年3月25日にイギリスの水兵がいかだで仲間と漂流中に、巨大なイカに襲われ海中に引きずり込まれて食べられたという話がある。
“タコの島”として有名なのは、愛知県南知多郡にある日間賀(ひまか)島。島民のほとんどがタコ漁専門の漁師で、島にはタコがご本尊として奉られている筑前寺があり、タコみこしを中心とした「たこまつり」などを行うなど、まさにタコ一色。イケスでタコのつかみ取りもやらせてくれるという。
タコはエサをとったらその場では食べず、岩の割れ目などへ持ち込んで隠れて食べる習性がある。これを利用した漁がタコツボで、えび・貝・カニなどを捕まえたタコが隠れようとタコツボに入ったところを引き上げるというわけ。
イタリア人が好むタコ料理は、ニンニクをきかせたスープ、トマトソースを使って煮込んだり。ゆでてからオリーブオイルであえたり、輪切りにしてフライにしたりとバラエティーに富んでいる。また、南米のチリやアルゼンチンでもタコはよく食べられている。
日本近海でのタコ漁は年々漁獲量が減っている。代わりの品物として日本の商社が開拓したのがアフリカ・ジブラルタル海峡沖でのタコ漁場。地元の漁師にタコツボ漁を教えて、とってもらうようにした。タコはすぐに冷凍にされて、日本に輸入される。
タコをとるのに、タコツボを使わない方法もある。小型のイイダコをとるときに使われる方法は、赤貝などの2枚貝を使う方法。イイダコは2枚貝の中に入り、自分の吸盤で中からぴったりと閉じてしまうという性質を利用している。
タコの中でもイイダコは釣りの対象ともなる。白くて丸いものに8本の足をからませるという習性を利用してラッキョウなどをえさにして、その下に針を仕掛ける。ラッキョウにからみついたアタリで針に引っ掛けて釣るのだ。
昔のタコツボは、陶器用の土を使って形を整え、上グスリをかけない素焼きのつぼだったが、作る手間などを考え、コンクリート製のタコツボが大量生産されてるようになった。しかし、今では軽くて丈夫、そのうえ安いというプラスチック製のものが主流になっている。
イカタコの吸盤が吸い付く力はかなり強力。タコの吸盤は自分の体重の3倍近くのものでも持ち上げることができるし、深海にすむ巨大イカの仲間“大王イカ”は、マッコウクジラと戦って、その厚い皮膚を引きちぎるほどの吸い付く力があるという。
日本ではタコを食べるだけでなく、タコにまつわる、さまざまな民族文化も生み出してきた。鉢巻をして踊る『タコ踊り』などは代表的なものである。また、タコのくねくねとまとわり付くような体の動きから連想して、江戸時代にはHな絵の小道具としても、タコが描かれていた。
日本人は、縄文時代からタコツボ漁をしていたことが、遺跡からのタコツボ発見などで証明されている。このタコツボは、日本全国から出土しているが、形が少しずつ違っていて、その地方独特のタコツボ製造法があったことが推定されている。
タコの足の付け根にあるパイプのような形をした器官は体内の排泄物を吐き出す役割を持っている。マンガなどで口のように描かれるようになったのは、江戸時代の浮世絵師たちが口と間違えて書いてしまったことに始まるらしく、日本独特の戯画法。
タコは外見はのんびりしてるように見えるが、実は極端に神経質なのだという。水族館やプールなど狭いところに入れられるとイライラして、自分の足をかみちぎることがあるのだという。ここから、タコはえさがないと自分の足を食べるという俗説が生まれた。
タコの調理法のコツは、とろ火でじっくりと加熱することにある。タコの筋肉組織は方向性がないため高温加熱すると身が硬くなってしまうから。逆にイカの筋肉組織は火が通りやすいため、高温でさっと火を通して、余熱でふっくらさせるのがポイントだという。
日本近海でとれたタコと、アフリカ近海のタコの違いは吸盤を見れば分かるという。中も外も濃い茶色をしているのが国産で、外は茶色だが中は白いのがアフリカ産なのだという。味自体は変わらないが、食べたときの食感は、日本の方があり、独特の歯ごたえとなる。
欧米で“ピザボール”と呼ばれ、日本の代表的なファーストフードとして親しまれ始めたのが『タコヤキ』で、ベルリンの壁が壊された際のお祝いに、日本のたこ焼き器メーカーが現地に乗り込んで無料サービスをして注目されたこともあるという。
焼きイカには、必ずといっていいほど縦横に切れ目がついている。これはイカを焼いても丸まらなくするため。イカの表皮は4層あり、2層しか剥けない。残った2層の繊維によって丸まってしまうのを防ぐために、切れ目を入れている。
地球上に住む生物の中で、もっとも大きな目を持つとされているのが“大王イカ”で確認された最大の物では直径が40cmもあったという。ちなみに地球上最大の動物といわれるイロナガスクジラでさえも眼の直径は10から12cmほどという。人間は3cm足らず。
韓国流のタコの食べ方で面白いのが何といっても『タコの活き作り』。生きているタコの足を包丁でぶつ切りにしてごま油とニンニクスライスを入れたものにつけて食べるというもの。タコの生命力は強いため、口の中に吸盤が張り付くことも楽しめる?
大王イカの天敵はマッコウクジラ。深海での大王イカとマッコウクジラの戦いはすさまじく、ほとんどの場合はマッコウクジラの勝ちとなるが、長さが10mを越すような足で締め付けられ、大怪我をしてクジラの方が死んでしまうケースもまれではないのだとか。
ナマコは、普通酢の物にして食べるが、古事記にも記録が残っているほど古くから食されていた。その中には変わった食べ方も見られ、ぶつ切りにしてご飯と混ぜ、お茶をかけて食べるのが通の食べ方などという記載もある。
無敵の強さを誇った北欧の海賊バイキングが、恐怖で震え上がったといわれているのが海の怪物“クラーケン”。これは全長20mにも及ぶといわれる大王イカがモデルとされている。実際、小船に乗った人間を襲った実例もあるのだという。
大王イカが深海1000m以上のところでも平気で潜れるのは、強烈は水圧に耐えうる軟体動物としても体の特徴があるから。一般にイカやタコの仲間は水圧に強く、中には水深8000mという深さで生活する種類もいるという。
海中の生物の中で猛毒の持ち主ベスト3に入るのが南太平洋に住むヒョウモンダコ。足を広げてもわずか15cmほどしかない小型のタコだが、一回の分泌量で人間が7人死亡するほどの猛毒を出す。オーストラリアではこれによる死亡事故も多いという。
市場に出回るイカの多くは日本近海産だが、近頃はオーストラリアやニュージーランドの沖でのイカ漁も盛んに行われている。とれたての味はどちらも大きな差はないそうだが、冷凍・解凍作業で旨みが失われてしまうため、近海ものにはかなわない。
塩辛はイカの内臓と身を発酵させた食べ物。もともとは東南アジアの山岳地方の原住民が開発した保存食といわれているようで、中国国から日本に伝えられたとされている。
おせち料理に欠かせないタコだが、実はお正月用のタコの味は落ちる。大量に出荷されるため、言ったゆでた物をもう一度冷凍して、とかせばすぐ食べられる状態にしておくために旨みが失われてしまうのだ。
タコやイカの体の構造は特殊で、内臓が入っている胴があり、その下に目や口のある頭部、さらにその下に8本ないしは10本の足がある。水中の移動の方法も独特で、海水を吸い込んで噴射させることによって動く。イカのえんぺらの部分はかじの役割もするという。
太平洋戦争のときに神風特攻隊のパイロットたちが出撃前に飲まされた疲労回復、精神昂揚のための薬は、タコから作られていた。タコに多く含まれる“タウリン”というアミノ酸の一種を抽出したものだったというが、現在の栄養ドリンクにも“タウリン”は含まれている。
とれたてのイカは、背中を指ではじくと黒っぽい斑点が点滅する。この現象を漁師たちは『イカの提灯』と呼んでおり、水揚げしたてのイカでないと見られない現象だ。生のイカの新鮮さは、目がとび出しているかどうかでも見分けがつくという。
『タコツボつくりには、古い船の木で焼け』とは昔の漁師たちの生活の知恵。タコが好んで入る赤いタコツボは、海水のしみこんだ塩分の多い古い船の木で焼かないと、良い色が出なかった。代わりに塩をまいて焼くこともあったのだとか。
水族館で、係員が最も世話をするのが難しいといわれているのだタコ。見かけによらない神経質ぶりで、水質がちょっと変わったりしただけでも死んでしまうのだという。また、食べ物の好みにもうるさく、嫌いなものは食べないため餓死することもあるのだという。
古代ギリシャ人たちは、タコを好んで食べていたのだという。今に残る調理法から推測すると、オリーブ・オイルでフライにしたり、すり身にしたタコを団子状にしてスープに浮かべて食べていたのだという。当時描かれた壁画にその様子がうかがえるのだという。