例で示しながら「コピー縮小によるフラクタル図形」の作成手順を述べる。
(1) 紙に小部分(複数)の形が全体の形と同じになるような形を描く。
たとえば,
これなら, 全体が正方形で, 9等分した小部分の形も皆正方形。
(2) 小部分のいくつかに, 色を塗る。(塗る替わりに写真を切って貼るなどしてもよい) こうしてできたものを原画と呼ぼう。
例。(1)の例の形なら, たとえば
のようにして原画ができる。
(3) 全体の大きさを小部分の大きさにするような縮小倍率(長さの倍率)を計算し, その倍率で原画の縮小コピーを, 色塗り部分の数だけ作る。
例。(2)の例の形なら, コピー機で33%縮小した形
を5枚つくる。
(4) 台紙を用意し, 原画の縮小コピーを, 原画の色塗り部分の配置と同じになるように貼ってゆく. こうしてできたのが 第1段階の図形。
例。先の例ならば,
が 第1段階の図形。
(5)(3)と同じ縮小倍率, 同じ枚数の縮小コピーを作る。
例。
を5枚。
(6) 縮小コピーを, 原画の色塗り部分と同じ配置になるように, 台紙に張る。これで第2段階の図形
例。
以下(5)(6)と同様のことを繰り返してゆく。第5段階くらいまで作ると, はじめの原画からは予想しにくい模様になってゆく。
以下はいずれもコピー縮小繰り返しを利用した作品。(いずれも河合塾コスモ生の作品)
これらは, 全体と部分が相似な形をしており, フラクタルと呼ばれる図形の一種である。次の作品では, 元の図形の縮小コピーが向きを変えたりずらしたりして貼られ, 不規則な味わいがうまく出ている。
フラクタルは1970年代後半に提唱された数学概念だが, その厳密な定義各種についてここで触れない。ただ, フラクタルによく現れる性質である「部分の中に全体と似た姿が現れる」という入れ子構造は, 古くから人間の考え方やイメージにあったことを注意しておこう。
たとえば, 金剛界曼荼羅に見られる9区画。
夢の中の夢, の中の夢, の中の夢, の中の・・・・ これも入れ子構造。
我々が模型の家とその中に居る人形を見ているとする。その我々と我々の住む家が実は外のもっと大きな世界の住人からのぞかれている, その住人たちもまた・・・・ こんな想像をしたことはありませんか ? 我々の想像力は入れ子を作らずにいられない。
あるいは, われわれが日ごろ使っている10進法による数え方。一から十まで数えた後, 十をひとつと思い直して二十, 三十, 四十, ・・・・, と進み, 十十で百, 次に二百, 三百, ・・・・
百ののなかの十, 二十, 三十,・・・・ と, 十の中の一, 二, 三, ・・・は同じ形をしている。