会員の句集

 

「鬼」の十周年にあたる2006年。

鬼の会のメンバーが相次いで句集を出版されました。

 

 

「句集 青衣」

小宮山青衣(こみやま・しょうえ)

鬼叢書 私家版

収録作品より

秋の蝉握りつぶして子の泣けり

「難あり」の吊るしズボンに天道虫

虫籠を尿する時も傍らに

父の日やらつぱマークの正露丸

紙幟ほどのファックス流れけり

封筒の封開いて来る炎暑かな

ばば抜きの婆持つてをり夜の秋

降りてくるマウンテンバイク秋深し

願ひごとみな叶ひさう新樹燃ゆ

勢ひよくビデの水出て鼻曲鮭

(注記 一句目の「蝉」元字は旧字体です)

 

「句集 頬づえ」

高勢祥子(たかせ・さちこ)

鬼叢書 角川書店

amazon.com

自選十句

汲んできてゆたかにこぼす春の水

猫の恋ことば通じぬこと楽し

春の夜のあなたの耳を飼いならす

水中に皿すべらせて七月よ

頬づえをつけば涼しき机かな

夏空を蹴って逆上がり成功

行く秋やキャラメルわっとこぼれたる

秋の雨眠るに優しき本を選る

冬の雲かすかに甘き口内炎

少女らが雪しわくちゃにして歩く

           
 

「句集 シナプス」

結木桃子(ゆうき・ももこ)

鬼叢書 角川書店

amazon.com

自選十二句

シナプスの発火してをり春の闇

春の闇女身の羽化のゆつくりと

飛び立たぬやうに根を張る夕桜

水着着て大群のホモサピエンス

人類は進化の途上蚊帳の中

撃たれるから胸から醒めし昼寝かな

透明な手足で目覚め秋はじめ

吹き抜けし野分の後をただの風

梵鐘のいくつ素通り曼珠沙華

初雪忌と名付けたきほど降りにけり

寒濤の透き通るまで寄せ来る

春風の映る鏡を探しをり

 

「はじまりの音」

田口茉於(たぐち・まお)

ふらんす堂

amazon.com

紀伊國屋BookWebへ

自選十句

うららかに君に占領されてゐる

夏の雲まだ何周も走れさう

ソーダ水とにかく話続けたし

君のためだけに息する春の闇

小鳥来るアメリカ好きの父の椅子

秋の初風寂しさといふ穏やかさ

雑踏をひとり逆走花の下

小春日に卒業のごと婚約す

弟を笑はせたき日息白く

昼寝覚一人ぢやなくてまた眠る

           
 

「薄青き午(ひる)」

角南範子(すなみ・のりこ)

鬼叢書

新風舎

amazon.comへ

復本一郎選

辣韮や夫婦の入歯ある仏壇

猫科の女パスタ絡める梅雨曇

指の毛を気にしてゐるやソーダ水

七月の臍の緒の箱人恋し

ストッキング萎れる窓の夕焼ける

クリスマスおにぎり屋にて恋話

足首の太きシスター聖誕祭

主なきロングブーツの淫らなる

青き怒りにて鯛焼き弄ぶ

新聞に載らぬ葬式春の雨

     
           
           
           
           
           

 

 

 

戻 る

ホーム

(C) oni  2006-