三もの三作品
山国やとんと置かれしかき氷
晩夏の湖に水鳥の声
名画座の三本立てに欠伸して
液晶に写る真顔や月天心
星座をまたぐ夜のピクニック
草の実の母が食べれば平気にて
夕月や峠は黒き雨の帯
テントを張つて飲む新走り
地芝居に過ぎた舞台のととのひて
歌仙伝説
今年、思潮社から『安東次男全詩全句集』が出た。「現代詩手帖」9月号の特集記事を読んだのだが、浅学故アンツグが石川淳、大岡信、丸谷才一、古井由吉、吉増剛造、粟津則雄など、名だたる作家、批評家達と歌仙を巻いていたというのを知らなかった。
しかし、今回連句の特集をやってみて、そのような緊張感のある座で修練を積まなければ、芭蕉連句全体の解釈は難しいだろうと思われ、非常に納得するものがあった。ちなみに、古井由吉、吉増剛造、粟津則雄、菊池義信で巻いた歌仙の客役のアンツグの発句は、
よひらよりたまはる色の雫かな
座に集った四人を「よひら」とかけていてオシャレである。脇は主人役の粟津がつけ、
五目を仕込む宵の梅雨寒
みなさんは、この発句と脇をどう思いますか?アンツグは本人が席を外した隙に、「粟津は何をやってもよくできるけど、俳句はへただ」って陰口をたたいたとか。
(C)Sunao Hashimoto 2009