『鬼』平成17年5月第15号

 

 

溯 る

 

 

冬雲のあつくゆるく耳にはふてゐる

 

 

赤いコート黒いコートと抱きにけり

 

 

春まだき指ひとつひとつづつくはへ

 

 

ひらがなにエロスのひびき冴え返る

 

 

若鮎や二人の中を溯る

 

 

蛇穴をいでて隣家の妻を訪ふ

 

 

柳絮飛ぶ龍の子を産む伽話

 

 

黄砂降るみいらの乳の一かけら

 

 

 

 

 

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