東北の零度
震災忌人の時計の気になって
本当が嘘追いかける秋の影
ハルモニの後ろ手に立っていて野分
小春日の埠頭ねぢれし犬の顏
新宿花園熊手組合新酒酌む
水平にいいちこの瓶去年今年
飲むための理論あるいは冬花火
冬凪の少年長く見失う
反転せばみな宇宙の星風花
陽の生るる峡御降の生るる峡
大雪大箱東京市民ぞろぞろ
たましひの虚ろなる膜寒卵
のど飴缶バナナの匂い節分会
立春の少し足りないマヨネーズ
絶対の触れる掌冴え返る
集音マイク拾う始発の余寒かな
へしゃげ虫本より出る旧正月
魚氷に上る日の重きレントゲン
野の椅子の黒光る蜜バガボンド
春泥に泳ぐ東北の零度ばかり
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