『−俳句空間−豈』39号
陰と光と香り
新聞を切る手彷徨ふ啄木忌
春雷や喧嘩の声の先にくる
行く春や香水の絵のある診療所
母に陰踏まれてをりぬ里若葉
青嵐我ら悪人木乃伊盗り
人の真似する蟻もゐる山の家
夏草の日当たりながら笑顔噛む
万緑の攻め手に多き切り通し
麦の秋家の形の麦畑
少年の日の思い出の花蜜柑
雨宿り遅れて蜂のとまり来る
短夜や焚火に濡るる山刀
蚯蚓累々とうがつ形にふやけ
新しき街はひらがな草いちご
極彩色の仏の車バナナが大変
黒潮の潮黒ければ飛魚映え
騎馬隊の如き大暑の漁船団
甲虫や折れたる羽のメカニカル
河童忌の夜の底からeメール
命の値おいくらですか月の国
(C)Sunao Hashimoto 2004