『−俳句空間−豈』38号
炬燵猫
東京都多摩市啄木鳥来てつつく
下ればまとう水の多さや秋の谷戸
廃校の壁口裂けている通草
おさまりのつかない色で後の月
新聞を読む目の泳いでいる愁思
ギリシア国旗揺れる秋空に融けるごと
ヘルマフロディーテス尻大きく秋の博物館
十六夜のタクシー並ぶ亀の如く
灰色の秋の蝶だけついて来る
神無月隣は黒猫通る家
抽斗に不思議な薬神の留守
冬銀河僕は修正液流す
Eメール落手しました炬燵猫
凩やパンツの乾く音響く
「どん底」の画看板ある冬の街
ユダのいる聖夜の洛中洛外図
靴下を履かない少女新酒売る
鎌鼬商店街に捜し物
非常口女のコートかけてあり
セーターの女の形して残る
(C)Sunao Hashimoto 2004