第三 俳句の種類
一俳句の種類は文学の種類と略※相同じ
一俳句の種類は種々なる点より類別し得ぺし
一俳句を分ちて意匠及び言語(古人の所謂心及び姿)とす意匠に巧拙あり言語に巧拙あり一に巧に して他に拙なる者あり両者共に巧なる者あり両者共に拙なる者あり
一意匠と言語とを比較して優劣先後あるなし只意匠の美を以て勝る者あり言語の美を以て勝る者あり
一意匠に勁健なるあり優柔なるあり壮大なるあり細纖なるあり雅樸なるあり婉麗なるあり幽遠なるあり平易なるあり荘重なるあり軽快なるあり奇警なるあり淡泊なるあり複雑なるあり単純なるあり眞面目なるあり滑稽突梯なるあり其他区別し来れば千種萬様あるベし
一言語に区別あるは意匠に区別あるが如し勁健なる意匠には勁健なる言語を用ゐざるべからず優柔なる意匠には優柔なる言語を用ゐざるべからず雅樸なる言語は雅樸なる意匠に適し平易なる言語は平易なる意匠に適す其他皆然り
一表匠に主観的なるあり客観的なるあり主観的とは心中の状況を詠じ客観的とは心象に写り来りし客観的の事物を其儘に詠ずるなり
一意匠に天然的なるあり人事的なるあり人事的とは人間萬般の事物を詠じ天然的とは天文地理生物鉱物等総て人事以外の事物を詠ずるなり
一以上各種の区別皆優劣あるなし
一以上各種の区別皆比較的の区別のみ故に厳密に其区域を限るべからず
一一人にして各種の変化を為す者あり一人にして一種に長ずる者あり 〔日本 明治28・10・24二〕
※・・・原文は繰り返し記号。