氷ノ山スノーシューツアー(若桜氷ノ山〜三の丸往復)
※これは、コースガイドではありません。勝手な個人の主観です。行く人の体力、技術、その他天候や雪の条件などによってタイムなどは左右されます。また、地図やGPSレシーバーの軌跡は掲載しませんので、自分で地図を見て判断できる人、あるいはそういう案内人がいる人のみ訪れて下さい。何が起こっても、私にはいっさい責任がありません。

 「氷ノ山スキー登山」と並ぶ、冬の若桜氷ノ山ユースホステル(以下YH)主催イベント「氷ノ山スノーシューツアー」。当初営業を終えている予定だった若桜氷ノ山スキー場の町営樹氷スノーピアは第2リフトのみ一週間の延長営業。これでスキー場の最下部から最上部までの半分強をリフトで上がることができる。
 あと、心配なのは空模様なんだけど…。
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【山 名】氷ノ山(1510m)鳥取県若桜・兵庫県波賀町・大屋町
【日 時】2005年4月3日
【行 程】[ ]内はGPSレシーバーによる標高データ(単位:m)
 若桜町舂米(ツクヨネ)若桜氷ノ山YH[780]8:40 -(スキーリフト)-
 9:14樹氷スノーピア第3チャレンジゲレンデ[987] - 10:08ゲレンデ最上部[1198]10:16 -
 10:50頂上台地入り口[1350]11:02 - 11:36三の丸(地図では二の丸)[1464]12:20 -
 13:10樹氷スノーピア第3チャレンジゲレンデ最上部13:14 -
 14:15若桜氷ノ山YH
【距 離】約8.5km
【天 候】曇のち雨(ー_ー)
【地 図】昭文社 山と高原地図59 氷ノ山 鉢伏・神鍋 (5万分の1)
     国土地理院 5万分の1「若桜」「戸倉峠」
【用 具】テレマークスキーのプラブーツ、スノーシュー、ゲレンデ内はテレマークスキー
【メンバー】小野さん、TS師匠、はいかい、など若桜氷ノ山YHに集まった17名
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スキー場からブナの森へ
ゲレンデ急斜面 やせ尾根 頂上台地のブナ
 未明に降り出した雨は、予報通り明け方に止んだ。午後には日本海の低気圧から延びる寒冷前線が通過し、天気が不安定になるとのこと。雷を伴った雨、さらに雹が降るかも知れないという。
 とりあえず、ツアー中止ということは避けられた。午前中の止み間を利用して行けるところまで。あとは天候を見計らいながら…。
 本日が最終日となる樹氷スノーピア第2リフトでゲレンデを登る。安全のためスノーシューやアイゼンは外して乗車。本来はスキー場利用客のためのリフトであるが、ご厚意で登山者も乗せてもらっている。感謝、感謝である!
 私は、一人だけスキー板を履いて。今日は最終目的地三の丸の斜面にてソリなどで遊ぶ、という企画で、私のスキーは本来その遊び道具のつもりだったのだが、どうも今日の天候では遊んでいる暇はなさそうだ。スキー場の上部にデポしておき、最後にゲレンデを滑り降りるときにだけ使おう。
 第3リフト沿いチャレンジコースは1週間前に営業を終え、踏まれていない雪が今朝未明の雨でゆるみにゆるんでいる。それでも斜度の緩い中間駅まではまだましで、スノーシューで無難に歩ける。斜面が急に変わるところにスキーを置いて身軽になる。
 しかし、中間駅より上の急斜面が正念場。先週末までリフトを動かしていたとはいえ、その最後の時期には中間駅より下の部分だけで営業していたので、上の部分の雪の緩み方は半端でない。全層濡れザラメで、ストックは地面まで沈んでいく。また斜面が急なので直登は厳しく斜めに行きたいのだが、それぞれのスノーシューの爪の付き方がそのまま登りの差になってしまう。
 いつものようにYHの小野さんからスタッフを任されているのだが、実は私スノーシューツアー参加は初めて。さらに、スノーシューは1年前に林道を歩いたことがあるだけ。今日ももちろんYHのレンタルスノーシュー。
 やはり強いのは、スノーシュー持参組。扱い慣れているのはもちろん、皆それなりのものをお持ちのようだ。先頭を行くTS師匠も自慢のMyスノーシューで軽快に進んでいく。私はというと、プラのテレマークブーツのつま先のコバが干渉しないようにブーツを後ろ目にスノーシューに装着しているので、爪の位置があわず、雪面のグリップが効かない。
 これならスノーシューがない方がましと、新雪用のスノーシューを借りてしまってやはりグリップが効かずに苦しんでいる参加者に私の履いていたものを渡してつぼ足になる。
 先日の県境尾根から戸倉峠へのスキーツアーの時につぼ足で登った時に堅かった雪面だが、今日はつぼ足もきつかった。場所によっては一歩毎に膝まで沈んでしまう。
 先ほどまで私の前にいた人も、スノーシューを交換したら水を得た魚のように元気に登っていき、最後尾を任されたスタッフがパーティから取り残されてしまった。
 結局、相当に体力を消耗してスノーピアゲレンデ最上部に到着。
 小休止の後、さらに斜面にとりつく。ここはスキー登山の時もつぼ足でいくので、私はそのままつぼ足で。スキー場ゲレンデより斜度が緩いのと、登山者に踏まれているのでまだ締まっていて歩きやすい。でも、先ほどの斜面で消耗した体力は、未だ回復せず、ゼーゼーハーハー肩で息をしながら遅れ気味になってしまう。
 待ちに待ったブナ林に到着。ここからは緩やかな頂上大地の大雪原を行く。ここはスノーシューのならどれでも快適に歩ける。
 天気も曇り空ながらガスは出ていないし、風もほとんどない。スタート直後、リフトに乗車したときにはガスに覆われていた山頂も、ゲレンデを登るうちに姿を見せ、今もくっきり。
 しかし、西の空は徐々に暗くなり、扇ノ山の姿もずいぶんぼやけてきた。
 これなら問題なく最終目的地の三の丸を目指せる。実は、昨夜から今日のツアーの決行を危ぶんでいたのだが、もし行けても8割方三の丸までは無理だろうと小野さんと話していたのだった。小雨、強風、ガスでホワイトアウトなどが予想され、吹きさらしの雪原に出ずにブナ林までで引き返すといいうことも想定していたのだった。
三の丸で水は別れ、人は出会うのだ
目指せ三の丸 取材、そして運命の出会い 山頂も見えた
 すんなり、三の丸に到着。ピークでは昨日YHで同宿だったサンTVのスタッフがロケ中。これは、「金曜いただきッ!」という番組内の若手アナウンサーがいろいろなことにチャレンジする「木内の狙いウチ!」というコーナーのロケで、昨年の夏に兵庫県内にある本州で一番低い中央分水嶺を訪ねたことに続く、分水嶺ネタということである。

 そして、そのロケスタッフの案内役が、今朝加古川から到着した島田さん。実は「山であそぼっ」というWebページの管理者で、私が8年前に「電脳徘徊」を立ち上げたときに初めてメール交換をして以来オンラインでは何度も交流している間柄の人だ。
 島田さんとは、ちょうど3年前、この近くの養父市大屋町の見祓山に樹齢600年の大桜を見に行った時にニアミスしている。下山中に私の同行者が島田さんと偶然言葉を交わしているのだ。
 そのとき私は、生理現象をもよおし、登山道脇の茂みで用事を済ませていたのだった。
 後日、同行者がそのときの会話の内容から「山であそぼっ」を見つけだし、ニアミスが発覚した。
 そういう経緯を踏まえて8年越しの運命の出会いなのであった。
 私は昨日の夜、YHに同宿のサンTVスタッフから島田さんのことを聞いていたのだが、島田さんの方は「ああああ、はいかいさんですか」と呆気にとられた表情。
 ちなみに、後日、この2週間前にも同じ氷ノ山三の丸でニアミスしていたこともわかった。

 そしてこの三の丸は、兵庫県の分水嶺の最高地点というこが、このロケのきっかけだそうだ。
 そのことをあまり意識していなかったが、三の丸は、鳥取県若桜町、兵庫県養父市(1年前までは大屋町)、兵庫県宍粟市(3日前までは波賀町)の山頂の境が交わるところ。言い換えると、因幡、但馬、播磨の3国を分かつ山なのだ。因幡と但馬に流れる水は日本海に注ぎ、播磨に流れる水は瀬戸内海に注ぐわけだ。
 
 少しピークを降りたところで、お弁当の大休止。
 山頂はすぐ近くに見えて、出発時から山頂に行きたそうな参加者がいるので(あくまで予定は三の丸まで)、この予想外の好天もスタッフとしては複雑なところだ。手に届きそうな山頂もアップダウンを経て、往復2時間。体力も消耗する。とにかく、この後標高差700mを“歩いて”下らないといけないのだ。
 ところが、ちょうど我々が弁当を食べ終わる頃にぽつぽつと雨が降り出し、さらに一瞬ガスに覆われて山頂が見えなくなってしまった。これで皆納得して下山開始。
 ちなみに、我々が昼食の時に2人連れの登山者が山頂を目指して歩いていったが、この後下山中に再会して「雨で引き返した」とのこと。
 こうした参加者を募ってのツアーの場合には、安全とゆとりを重視して計画されているので、健脚の人には物足りないかも知れないけれど、その辺りご理解をいただきたい(もちろん今回の参加者もきっと理解していてくれていた)。
 しかし、何というスタッフ思いの天気模様だろう。前の2行のような内容をくどくど説明する手間が省けた。
 島田さんとの運命の出会い、危ぶまれたツアーを決行することができた朝からの止み間、そして今の下山指示と、天は我々に味方してくれたようだ。ありがとうございます。
ケツゾリ部隊、雷鳴のスクランブル発進!
下りも大変 さあケツゾリスタンバイ 行きまーす!
 一瞬はガスに覆われたものの歩くうちにまた晴れ間も見られるようになった。雨は断続的に降り続く。
 私がこういう野外での行動に入り込むきっかけになったのは、高校時代からの自転車ツーリングである。自転車は、平らな道ばかりではおもしろくない。やはり峠越えが欠かせない。苦労して登り切った満足感。そして下りの爽快感は癖になる。
 それに近いのがスキー登山である。また、クロスカントリースキーでアップダウンのあるコースを行くのも楽しい。
 とにかく辛い登りの後に必ずやってくる下りは、まさに甘いご褒美。時に苦しい下りもあるが、コース取りやスピードコントロールなど登りとの変化が自転車やスキーツーリングの魅力なのだ。
 なのに今日は、歩いて登って、歩いて降りなければならないなんて!
 と一人嘆きながら、最後尾を必死で追いかける。下りではTS師匠所有の横方向にもグリップが効くスペシャルスノーシューを借りているのだが、私の直前は地元の自然観察員で見事なスノーシュー裁きで降りていくのである。例えば、急なところではゆるんだ雪の上をスノーシューを滑らせて下り、テレマーク姿勢でストップ。私は、スペシャルスノーシューの性能に頼りながらヨタヨタと降りていく。
 そんな私の心の支えは、ゲレンデの途中にデポしてあるスキー板だ。そうなのだ、私は下りの半分を覚えたてのテレマークターンで滑って降りられるのだ。

 何とか、スキー場最上部まで到着。
 ここで半分ほどがスノーシューがスノーシューをはずしだした。ソリ遊びをするというのだ。
 TS師匠はザックにつけていた小型のソリ、鳥取大学の若者たちは段ボールと農薬の袋!?で作った手製のソリ、小野さんはスコップで。ゲレンデを少しつぼ足で降りたところから、一人ずつ滑っていく。ああ楽しそう。
 おおっと、ソリ部隊を撮影していたら皆に後れをとってしまった。早く降りたいのだが、下りではスノーシューは扱いにくい。はずした方が楽なのかも知れないが、登りのこの斜面でつぼ足で苦しんだのであまりはずしたくない。
 静かに私を待っているスキー板はそこに見えているのに、なかなか近づいてこない。ほとんど止んでいた雨もまた降り出してきた。
 焦る気持ちが脚をもつれさせ転倒、そして滑落。いいやこのまま落ちていこう、とグリセードへ移行。
 「下りは歩きにくいなぁ。あっ、こんなところにスキー板が!」というベタベタの台詞まで考えていたのに、私が板のところについたときは周辺には誰もいなくなっていた。
 でも、めげずに、スノーシューをはずしスキー板を付ける。
 さあ、こうなればこちらのものだ、と勇んで滑り出したものの、みんなが見ている前で大転倒。ザックを背負ってテレマークスキーをするのは初めて。アルペンよりも前後バランスが難しい。2度ターンを試みて転倒して諦め、しばらくアルペンターンで感覚をつかんでから、ようやくテレマークターン成功。
 いつしか雨足が強まり、ガスも出てきてゲレンデがホワイトアウトに近い状態に。
 全員がゲレンデを下りきったときには雷が鳴り出した。雨も強まりみんなずぶぬれ。スキー客は数えるほど。
 雷のせいで、リフトも止まってしまった(結局雷が収まってからも営業を再開したのは1本のみ)。

 YHでは温かいおでんを用意していてくれた。
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