中長期の経済財政運営と平成14年度予算編成
民間経済、金融、財政の構造改革を強力に実施することによって、日本経済は、不良債権処理等に伴うデフレ圧力が発生する調整期間を経て、「停滞の10年」を抜け出し、「躍動の10年」を展望することが可能となる。
アメリカの景気動向や不良債権処理等に伴うデフレ圧力の影響などの不確実性が存在し、経済を的確に見通すことは困難であるが、このところ景気は悪化しつつあり、平成13年度の経済成長は、当初の政府経済見通しをかなり下回るとみられる。アメリカ経済の回復傾向が明らかになっていけば、適切な経済運営のもとで構造改革の進展の成果もあり、平成14年度の景気は徐々に回復への動きをたどることとなる。
中期的にみて日本経済は、民間経済、金融、財政の構造改革を通じた経済活性化や国民や企業の将来に対する不安感の軽減などにより、民需主導の経済成長を実現し、潜在力を十分発揮していくものと予想される。
平成14年度において、財政健全化の第一歩として、国債発行を30兆円以下に抑制することを目標とする。その後、プライマリーバランスを黒字にすることを目標として政策運営を行う。ただし、そのペースについては、マクロ経済の動向に十分注意を払いつつ進める。
金融政策については、調整期間におけるデフレ圧力の状況も踏まえ、機動的な量的緩和政策をとることが期待される。また、景気の状態によっては、セーフティーネットに万全を期するなど、柔軟かつ大胆な政策運営を行う。
平成14年度予算については、この基本方針で示した構造改革、重点分野などを反映し、メリハリの利いた予算編成を行うなど、予算編成プロセスを刷新する。
平成14年度経済財政運営の基本的考え方
平成14年度予算
- 基本的考え方
- 21世紀の我が国経済の発展に明確に寄与すると見込まれる分野には重点的に資源配分する。同時に、経済の活力・国民の厚生などに寄与していない予算、経済社会情勢の変化に伴い重要性の低下した予算などについては、思い切って縮減する。こうした措置により、本「基本方針」に則ったメリハリのある平成14年度予算を実現する。なお、「7つの改革プログラム」に沿って、税制を含め諸制度のあり方の検討を進める。こうした措置により、財政の「質の改善」を通じて、非効率な資源配分を是正し、個人や企業など民間の潜在力を高めると同時に、潜在的な民間需要を顕在化する。
- また、マクロ的観点から、経済財政全体との整合性・バランスをとった財政健全化を図る必要があり、例えばGDPとの対比でみた各分野の歳出規模の妥当性等を検討する。
- 財政健全化は中期にわたり、継続的な努力を必要とする課題であり、平成14年度予算は、中期的な財政構造改革の第一歩として位置付けられる。
- 国債発行30兆円以下
- 平成14年度予算では、財政健全化の第一歩として国債発行額を30兆円以下に抑えることを目標とする。このため、抜本的な制度改革を含め、一般会計、特別会計を通じ歳出全般にわたり、スリム化、効率化を図る観点から聖域なく見直しを行う。また、特殊法人等の事務事業を抜本的に見直し、国の財政支出の整理・縮減を図る。
- 重点的に推進すべき分野
- 上記各章及び「7つの改革プログラム」を踏まえ、以下に掲げる分野で、政策効果が顕著なものについて、重点的に推進する。
- 循環型経済社会の構築など環境問題への対応
- 少子・高齢化への対応
- 地方の個性ある活性化、まちづくり
- 都市の再生-都市の魅力と国際競争力
- 科学技術の振興(ライフサイエンス等の4分野への重点化等)
- 人材育成、教育
- 世界最先端のIT国家の実現
-
- 〔注〕戦略的に重要性があり、かつ各省庁にまたがる分野については、有識者の見識等を活用しつつ、内閣(総合科学技術会議、IT戦略本部、都市再生本部等の活用を含む)が中心になって、それぞれの基本方針に則り、施策の強力な調整を行い、総合的な政策を決定する。
