ミクロ経済学のキーワード


限界効用逓減の法則
 

消費量の増加によって限界効用が徐々に逓減していくことを限界効用逓減の法則という。たとえば、夏の暑い日にビールを飲むことはとても効用(満足度)が高い。しかし、そんなときに飲むビールも、1杯目よりも、2杯目、2杯目よりも3杯目というように、量を重ねていくとおいしさが減っていく。つまり、次に飲むコップ1杯のビールは、前に飲んだ1杯目よりもおいしさが減っていく、これを限界効用逓減の法則という。


無差別曲線
 

消費する財の組み合わせがもたらす同一の効用水準を表す曲線のことを無差別曲線という。いま、2つの財X、Yがあるとすると財の組み合わせは無数に存在する。したがって、効用が等しい関係にある財の数量の組み合わせも無数に存在する。そのような効用の等しい点を次々と結んでいくと、右下がりの曲線が得られる。この曲線は、互いに無差別の関係にある財の数量の組み合わせを結んだ曲線なので、無差別曲線と呼ばれる。


限界代替率
 

同じ効用水準を維持するために減らしたY財の数量とX財の数量の比率を限界代替率という。消費者が選好しようとしているX財とY財の数量の組み合わせを表わす同一無差別曲線で、消費者が何らかの理由でY財の数量を減らしたとする(−ΔY)。そうすると効用水準は低くなってしまう。前と同一の効用水準を維持するためには、X財の消費量を増やさなければならない(+ΔX)。この比率(−ΔX/ΔY)が限界代替率であり、それは、一般的には負の値をとるが、通常は絶対値で表す。


所得・消費曲線
 

消費者が合理的に行動するかぎり、消費者均衡点で消費が行われる。そこで、所得が増加していけば予算線は右方へシフトするため消費者均衡点は変化する。所得の増加に伴って移動した消費者均衡点を結んでいくと、右上がりの曲線が得られる。このとき、所得の変化に伴う2財の消費量の均衡点を結んだものが所得・消費曲線である。



価格・消費曲線
 

所得を一定として、X財の価格が下落すると予算線は切片が変わらず傾きが緩やかになる。このときの消費者均衡点は右方へ移動する。価格が下落していけば均衡点はさらに右方へ移動する。ある財の価格の下落に伴って移動する消費者均衡点を結ぶことによって得られる曲線のことを価格・消費曲線という。


代替効果
 

Y財の価格が一定で、X財の価格が低下したとき、Y財から価格が低下したX財への代替が生じると考えられる。それゆえに、価格低下したX財の需要量は増加することになる。このことを代替効果という。


所得効果
 

Y財の価格が一定でX財の価格が低下した場合、消費者の実質所得は増加する。この実質所得の増加が消費需要を増やすと考えられる。これが所得効果である。


需要の所得弾力性
 

所得Mの変化率に対する特定の財の需要量Xの変化率の割合のことを需要の所得弾力性
と呼ぶ。ここで、所得弾力性をηM とすると、
    ηM = 需要量の変化率/所得の変化率
つまり、所得が1%増加したとき、需要量が何%変化するかを示した値が所得弾力性である。上級財の所得弾力性は正であり、下級財は負である。


需要の価格弾力性

価格の変化率に対する需要量の変化率のことを、需要の価格弾力性という。つまり、価格が1%増加したとき、需要量が何%変化するかを示すものである。
需要の価格弾力性 ηP は次のように求められる。
ηP = 需要量の変化率/価格の変化率
 ここで、価格と需要量の間には、価格が上昇すれば需要量は減少し、価格が下落すれば需要量は増加するという関係があるから、通常、需要の価格弾力性は負の値になる。弾力性の値はその絶対値をとった大きさで表すのが一般的である。また、需要の価格弾力性は価格の変化率と需要量の変化率を相対的な値として表しているから、相対弾力性ともいう。


需要の交差弾力性

 Y財の価格が1%変化したときにX財の需要量はどれくらい変化するのかを表したものが需要の交差弾力性である。交差弾力性は、次のようにして求められる。

    ηXY = X財の需要量の変化率/Y財の価格の変化率
 ここで、需要の交差弾力性が正であればX財とY財は代替材であり、負であれば補完財、ゼロであれば独立財と呼ばれる。


生産関数
 

技術一定のもとで生産量を生産要素の投入量の関数として表した式を生産関数という。労働をL、資本をK、生産量をXとすると投入量と生産量の関係は、
 X=f(L,K)
と表すことができる。これが生産関数である。


完全競争
 

完全競争とは、厳密には
(1)買い手と売り手が多数
(2)取り引きされる財が同質
(3)価格や財に関する知識と情報の完全性
(4)市場への参入・市場からの退出の自由
(5)産業間における生産要素の完全可動性
(6)価格は市場で決定され、消費者も企業も数量のみを決定する。
(7)一物一価の法則が成り立つ
これらの条件が成立している市場のことをいう。完全競争市場においては、まったく同質な財が完全な知識と情報に基づいて取引きされ、個々の取引量は市場全体としてわずかなので、市場に影響を与えない。


ワルラスの安定条件
 

取引価格より高い価格の場合には超過供給が存在し、均衡価格より低い場合には超過需要が存在するので、需要は一致するように価格は動く。こうして価格の変動を通じて需給均衡が成り立つ。このことをワルラスの安定条件という。


マーシャルの安定条件
 

均衡取引量より少ない取引量では需要価格が供給価格を上回り取引量は増加する。均衡取引量より大きい取引量では供給価格が需要価格を上回るから取引量が減少する。需給は一致するように数量が動く。こうして、取引量の調整を通じて需給均衡が成り立つ。このことをマーシャルの安定条件という。


等産出量曲線

 一定の生産量を得るために必要な資本と労働の投入の組み合わせを表した曲線のことを等産出量曲線という。この曲線にも無差別曲線と同じような性質が仮定されているため生産無差別曲線ともいわれる。


等費用線
 

労働と資本という2つの生産要素が与えられた場合、一定の費用の範囲内で投入可能な資本と労働の投入量の組み合わせを表した曲線を等費用線という。


消費者余剰
 

消費者がある財を得るために支払ってもよいと考える価格(限界評価)と、実際にその財を得るために支払わなければならない価格との差額のことである。


生産者余剰
 

財を供給している企業にとっての生産者余剰とは、総収入から費用を引いたものであり利潤に相当する。


パレート最適
 

利用できる資源が一定であると仮定したうえで、もはや配分の状態をどのように変えても、誰かを不利にすることなくして、どの個人の経済状態もよくすることができない資源の最適配分状態のことをパレート最適という。


独占企業
 

財やサービスを供給する企業が市場全体に1社しか存在しない場合、その企業を独占企業という。


クールノーの点

独占企業の利潤を最大化する価格と生産量の組み合わせを示す点クールノーの点という。


寡占市場
 

少数の大企業で構成されている市場のことを寡占市場という。競争企業が少ないために、ある企業の行動が他の企業の収入や利潤にはっきりした形で影響を及ぼすので、寡占市場にある企業は、みずからの行動に対して他の企業がどのように反応するかを推測しながら行動する。



屈折需要曲線
 

寡占市場における企業は、他の企業の行動を見て行動するので、他の企業が価格を下げた場合に、それに追随して価格を下げる。価格を上昇させた場合には、価格を現状の水準に維持する。それにより、左上方は弾力性が緩やかであり、右下方は弾力性が急である需要曲線が描ける。この曲線のことを屈折需要曲線という。 


公共財
 

警察、消防、一般道路、公園など政府が提供する財、サービスを公共財という。公共財とは、非競合性、非排除性の2つの条件を満たす財のことをいう。


外部経済
 

ある経済主体の活動が、他の経済主体の活動に無償で有利な効果を与えることを外部経済という。


外部不経済
 

ある経済主体の活動が、他の経済主体の活動に無償で不利な効果を与えることを外部不経済という。
 


費用逓減産業
 

電力、ガス、水道のようなサービスを提供する企業は、莫大な固定費用がかかるため、サービス規模が大きくなれば平均総費用が低下する。このように供給の拡大に伴って平均費用が逓減していく産業のことを費用逓減産業という。


限界費用価格形成原理
 

費用逓減産業は公共性が高いため、政府がこのような産業のサービス料金の決定に対して認可制を導入している。その料金決定に対して限界費用に等しい水準に料金を決める方式を限界費用価格形成原理という。

(平成15年12月1日作成、平成15年12月7日更新)