金融論のキーワード
直接金融
直接金融とは、資金の最終的な貸し手(資金余剰主体)から最終的借り手(資金不足主体)へ資金が直接的に流れる場合をいう。たとえば、個人が証券会社を通じて企業の発行する金融負債を本源的証券(たとえば、株式)という。したがって、直接金融は最終的貸し手がこの本源的証券を取引のことであるといえる。
間接金融
間接金融とは、最終的貸し手と最終的借り手の間に銀行等の金融仲介機関が介在する場合をいう。金融仲介機関が発行する金融負債を間接的証券と呼ぶが、間接金融とは、金融仲介機関が最終的借り手の発行する本源的証券を取得し、一方最終的貸し手は金融仲介機関の発行する間接的証券を取得する取引のことである。この場合、金融仲介機関は、本源的証券を間接的証券に転換するいわゆる資産変換の機能を果たすことによって貸し手から借り手へ資金流通の仲介の役目を果たしている。
インターバンク市場
短期金融市場は、インターバンク市場とオープン市場に分けられる。このうちインターバンク市場は参加者が限定されており、参加できるのは、金融機関と証券会社および保険会社である。インターバンク市場の具体例としては、コール市場、手形売買市場、東京ドル・コール市場がある。
オープン市場
オープン市場は、市場参加者を限定しない市場のことであり、一般事業会社や公共法人も自由に参加できる。具体例としては、現先市場、CD市場、TB市場、FB市場、CP市場などがある。ユーロ円市場や東京オフショア市場は大部分が金融機関同士の取引だから、市場としてはインターバンクにきわめて近いものだが、非居住者の事業法人など金融機関以外の参加も可能であるところから、オープン市場に分類されている。
コール市場
コール市場は、主に金融機関が相互にごく短期の資金貸借を行う市場である。市場での取引を仲介するのは短資会社であり、決済期限によって半日物、無条件物、期日物の3種類がある。最も長いもので3週間である。このようにコール市場は、各民間金融機関の短期的な準備不足を調整する市場であり、資金余剰の金融機関から資金不足の金融機関へ資金が融通される。
手形売買市場
コール・ローンよりも長い期間(1〜6ヶ月以下)の貸借期間の資金融通を行う市場を手形売買市場という。この市場では、資金不足部門が手持ちの手形を資金余剰部門に売却することによって資金が融通される。
現先市場
市場参加者を特定化しないオープン・マネー・マーケットの代表的市場は債券現先市場(単に現先市場)である。現先とは、単なる債券売買ではなく、売り戻し(買い戻し)期日や価格の条件付きで行う取引のことである。取り引きされる債券(CDも含む)は長期のものであっても、払い戻しが3ヶ月以内ないしは半年以内に行われるため、現先市場は短期金融市場に含められている。
CD市場
CDとは、譲渡性預金証書の略で、第三者に譲渡可能な自由金利の短期大口預金のことである。CD導入は昭和54年のことで、契機となったのは現先市場の拡大である。つまり、大口の企業預金が自由金利の現先市場に流れてしまったので、金融機関がこれに対抗して自由金利のCDを導入したということである。
CDを発行できるのは、預金業務が認められているすべての金融機関であるが、発行主体は都市銀行が大半を占めており、購入しているのは金融機関、証券会社、短資会社、一般の事業法人である。
FB市場
政府の資金繰り債(政府短期証券:通常は1年以内の短期のもの)をいう。
TB市場
政府発行の短期国債(1年以内)をいう。これは国債の大量償還に対応するため1986年2月から発行された借換債のことである。
BA市場
貿易業者が資金調達のために振り出した手形のうち、銀行が引き受けるものをBA(銀行引受手形)という。
長期金融市場
債券市場と株式市場の2つからなる。それぞれの市場に発行市場と流通市場がある。
発行市場のうち、公債や社債が新たに発行される市場は債券発行市場(起債市場)であり
、株式が発行されるのは、株式発行市場である。発行済みの債券や株式などの有価証券が売買される市場が証券流通市場である。
自己資本比率
自己資本比率とは自己資本額をリスク・アセット額で割った値のことをいう。またリスク・アセット額というのは、銀行の貸出額、つまり融資残高や有価証券といった銀行の資産に貸し倒れの危険性を考慮した係数を掛けて、それぞれを足し合わせた正味の総資産額のことをいう。
金融機関のリスク
金融仲介機能を果たすうえで、個々の金融機関が負うリスクについては、次のようなものがある。
(1)信用リスク:これは貸し出された資金が回収不能になる危険である。バブル崩壊後の多額の不良債権が信用リスクに相当する。
(2)流動性リスク:銀行で資金不足になると、銀行業務に支障が生じることになる。これが流動性リスクである。
(3)金利リスク:資金の運用金利が調達金利を下回るようなことがあると、銀行収益は悪化する。これが金利リスクである。
(4)為替リスク:外国為替銀行の外貨買い残高が売り残高を超えると買い持ち、逆の場合を売り持ちという。ドル為替レートが下落すると買い持ち分に対して為替評価損が生じるし、上昇すると売り持ち分に対して為替評価損が生じる。このことを為替リスクという。
公定歩合操作
日本銀行が市中の金融機関に対して行う手形貸付および手形割引のことを総称して日本銀行貸出という。この日本銀行貸出に適用される金利が公定歩合であり、この金利の操作のことを公定歩合操作と呼んでいる。
通常の場合、公定歩合はインターバンク市場のコール・手形レートを下回る水準に設定されており、市中の金融機関にとっては日本銀行借入を増やして、コール・手形市場からの調達資金を減らしたいというインセンティブが働く。そのために、日本銀行は信用割当を行い、市中金融機関に対する貸出量を調整している。
公開市場操作
一般的には、中央銀行がオープン市場で短期金融市場商品の買入・売却を行うことにより金融機関の保有する準備預金の増減を行う操作を意味している。たとえば、オープン市場での買い操作は、準備預金の減少と短期金融市場金利の上昇をもたらす。
(2004.6.28作成)