新・ワルラス安定とマーシャル安定
ワルラス安定とマーシャル安定については、既にホームページにしてまとめてあるのだが、分量が多すぎて読めなかったり、理解できなかったりする読者が多いことであろう。 経済学検定試験においても、「ミクロ経済学の必須問題」と言っても良い頻出分野である。ここでは、ワルラス安定を判断するために超過需要曲線(超過需要関数)を利用したり、マーシャル安定を判断するために超過需要価格曲線(超過需要価格関数)を利用することを解説する。この方法は、最近のミクロ経済学の教科書に余り掲載されておらず、私は大学時代の恩師・大東文化大学の石橋春男教授の「経済原論」で教えて頂いて以来この方法で理解している。参考文献は、今では絶版になってしまった「基本マスター 経済原論」(法学書院、昭和56年初版)を使うことにする。
1 ワルラス安定
ワルラス安定とは、価格の変動を通して、需給が均衡することいい、均衡への収束が生じないケースはこれに反してワルラス不安定と呼ぶことは既に理解されていると思う。単純に「ワルラス安定=価格調整」という理解も出来ると思う。
ところが、それを具体的に示すとなると、やっかいな理屈を暗記するなり、理解しなければならない。
需要曲線が所与の曲線として、供給曲線の勾配が大きいか、小さいかで2つの場合を考察する必要がある。
(1)需要曲線Dの勾配 > 供給曲線Sの勾配の場合:ワルラス安定
(2)需要曲線Dの勾配 < 供給曲線Sの勾配の場合:ワルラス不安定
たった4行の内容と思うことなかれ。経済学の初学者にとって、やっかいな内容なのだ。そこで、ワルラス的調整課程を念頭に置いて、不均衡価格が是正されて均衡価格に収束する過程で、「超過需要関数」というものを考察してみることにする。
ワルラス安定であるためには、「超過需要関数が負の勾配を持つ」。つまり、「超過需要曲線が右下がりになる」ということが確認できれば良いのだ。
下の3つの図を使って確認作業を行ってみる。
市場の需要関数をD(p)、市場の供給関数をS(p)、超過需要量E=D−Sとし て、超過需要関数E(p)=D(p)−S(p)と定義できる。
これらの関係を下の3つの図で示すと以下の通りである。



2 マーシャル安定
マーシャル安定とは、数量の変動を通して、需給が均衡することいい、均衡への収束が生じないケースはこれに反してマーシャル不安定と呼ぶことは既に理解されていると 思う。単純に「マーシャル安定=価格調整」という理解も出来ると思う。
ここでも、それを具体的に示すとなると、やっかいな理屈を暗記するなり、理解しな ければならない。
ワルラス安定条件と同じように需要曲線が所与の曲線として、供給曲線の勾配が大きいか、小さいかで2つの場合を考察する。
(1)需要曲線Dの勾配 > 供給曲線Sの勾配の場合:マーシャル不安定
(2)需要曲線Dの勾配 < 供給曲線Sの勾配の場合:マーシャル安定
ここで、マーシャル的調整課程を念頭に置いて、不均衡供給量が是正されて均衡供給量に 収束する過程で、「超過需要価格関数」というものを考察してみることにする。
マーシャル安定であるためには、「超過需要価格関数が負の勾配を持つ」。つまり、「超過需要価格曲線が右下がりになる」ということが確認できれば良いのだ。
下の3つの図を使って確認作業を行ってみる。
市場の需要価格関数をPd(q)、市場の供給価格関数をPs(q)、超過需要価格 EDp=Pd−Psとして、超過需要関数EDp(q)=Pd(q)−Ps(q)と定義できる。
これらの関係を下の2つの図で示すと以下の通りである。


(2004.7.19作成)