Chapter8
 The Open Economy(開放経済)


貿易によって、かつて滅んだ国はほとんどない。 ベンジャミン・フランクリン

 たとえ、もしあなたがあなたの生まれ故郷に残らなかったとしても、あなたは地球経済における活動的な参加者です。例えば、あなた方が雑貨商へ行くとき、あなたは地方で栽培されたリンゴとチリで栽培されたぶどうの間で選択するかもしれない。あなた方は地方銀行に預金するとき、銀行はそれらの資金をあなたの隣人かあるいは、東京の外側で工場を建設する日本の企業に貸し出すかもしれません。我々の経済は世界中の他の人々と合わせられるので、消費者たちは選択するためにどちらかからの財・サービスがたくさんあります。そして貯蓄者たちは彼らの富を投資するための機会がたくさんあります。
 以前の章では、我々は閉鎖経済を仮定することによって、我々の分析を単純化しました。しかしながら、現実性において、たいていの経済は開放されています。:経済は財・サービスを外国に輸出し、財・サービスを外国から輸入し、世界の金融市場で借りたり、貸したりします。図8−1は、7つの主要産業国家のGDPの割合としての輸入と輸出を示すことによって、これらの国際的な相互作用の重要性のいくらかのセンスを与えます。図が示すように、アメリカにおける輸入と輸出はGDPの約13%です。貿易は他の多くの国々ではもっと重要である。つまり、例えば、カナダとイギリスは輸出と輸入はGDPの30%を超えます。これらの国々では、国際貿易は経済発展の分析ためと経済政策を公式化するための中核です。
 この章では、我々の開放経済のマクロ経済学の学習を始めます。我々は測定問題を8−1節で始めます。いかにして開放経済が機能するのか理解するために、我々は各国間の相互作用を測定する重要なマクロ経済学的な変数を理解しなければならない。会計上の恒等式が重要な鍵になることが明らかになります。:国際的な垣根を超えて財・サービスの流れはいつも資本蓄積を融資するための資金の同等の流れによって、符合させられます。
 8−2節では、我々はこれらの国際的な流れの決定要因を検証します。我々は第3章における閉鎖経済の我々のモデルを広げて小国開放経済のモデルに発展させます。そのモデルはある国が世界市場で借り手なのか貸し手なのかどうかを決定する要因を示します。そして国内と海外の政策が資本と財の流れに影響を及ぼすのか示します。
8−3節では、我々はモデルをある国が世界市場で交換する価格の議論をするために拡張します。我々は外国の財に相対的に国内の財の価格は何が決定するのか検証します。我々はまた、外国の通貨と交易される自国通貨の交換率を何が決定するのか検証します。我々のモデルは保護主義者の貿易政策、つまり自国産業を外国との競争から護るために計画された政策は、国際貿易の金額と交換率に影響を及ぼします。

 8−1 The International Flows of Capital
     and Goods(国際的な資本と財の流れ) 


 開放経済と閉鎖経済の間の鍵となるマクロ経済学的な相違は、経済が開放されており、与えられた年のある国の支出はその財・サービスの産出物に等しくなる必要がないことです。ある国は外国から借りてくることによって、生産された以上に消費できます。あるいは生産されるよりも少なく消費できます。そしてその差を外国人に貸し出します。これをもっと十分に理解するために、別の国民所得計算を見ましょう。つまりそれは我々が最初に第2章で議論したことです。

 

The Role of Net Exports(純輸出の役割)


 経済の財・サービスに対する支出を考えなさい。閉鎖経済においては、すべての産出物は自国内で販売されます。そして支出は消費、投資、政府購入の3つの構成要素に分割されます。開放経済において、いくらかの産出物が国内で販売され、いくらかが外国で販売ために輸出されます。我々は開放経済の産出物Yに対する支出を4つの構成要素に分類することができます。:
★Cd,国内の財・サービスの消費
★Id,国内の財・サービスへの投資
★Gd,国内の財・サービスに対する政府支出
★EX,国内の財・サービスの輸出
これらの構成要素で支出の分類は恒等式により以下のように表現されます。
Y=Cd+Id+Gd+EX
最初の3項の合計、Cd+Id+Gdは国内の財・サービスに対する国内の支出です。4番目の項は、自国の財・サービスに対する外国からの支出です。
 我々は今、この恒等式をもっと役に立つように作り替えたい。これを行うために、すべての財・サービスに対する国内支出を国内の財・サービスと外国の財・サービスに対する自国の支出の合計であると記述しなさい。ここでは、総消費Cは国内の財・サービスに対する消費Cdプラス外国の財・サービスに対する消費Cfに等しくなります。;総投資Iは国内の財・サービスに対する投資Idプラス外国の財・サービスに対する投資Ifに等しくなります。;そして総政府支出Gは国内の財・サービスに対する政府支出Gdプラス外国の財・サービスに対する政府支出Gfに等しくなります。このようにして、 
C=Cd+Cf,
I=Id+If,
G=Gd+Gfとなります。
我々はこれら3つの方程式を恒等式の上で置き換えると以下のとおりになります。:
Y=(C−Cf)+(I−If)+(G−Gf)+EX
我々は更に整理して以下の方程式を獲得することができます。
Y=C+I+G+EX−(Cf+If+Gf)
外国の財・サービスに対する自国の支出合計(Cf+If+Gf)は、輸入に対する支出IMです。我々はこのようにして国民所得勘定恒等式を以下のように書くことができます。Y=C+I+G+EX−IM
輸入に対する支出は国内の支出(C+I+G)に含まれているので、そして外国から輸入される財・サービスはある国の産出物の一部ではないので、この方程式は輸入に対する支出を控除します。純輸出は輸出から輸入を控除した(NX=EX−IM)で定義されるので、恒等式は以下のようになります。
Y=C+I+G+NX
この方程式は自国の産出物に対する支出が消費、投資、政府支出、そして純輸出の合計であることを表しています。これは国民所得勘定恒等式の中で最も一般的です。;それは第2章から既にお馴染みのはずである。
 国民所得勘定恒等式はいかにして、自国の産出物、自国の支出、そして純輸出が関連しているのかを示します。特に、以下の通りです。
NX = Y − (C+I+G)
純輸出 = 産出物 − 国内の支出
この方程式は、開放経済において、国内支出は財・サービスの産出物に等しくなる必要がないことを示します。もし産出物が国内支出を超過するのならば、我々はその差を輸出します。:純輸出は正です。もし産出物が国内支出の不足に陥るのならば、我々はその差を輸入します。:純輸出は負です。

 

Net Foreign Investment and the Trade
 Balance(純海外投資と貿易収支)


開放経済において、我々が第3章で閉鎖経済を議論したように、金融市場と実物市場は密接に関連しています。相関関係を見るために、我々は貯蓄と投資の表示によって再び国民所得勘定恒等式を書き換えなければならない。以下の恒等式から始めよう。
Y=C+I+G+NX
両辺からCとGを控除して以下の恒等式を獲得します。
Y−C−G=I+NX
第3章に戻って、Y−C−Gは国民貯蓄S、Y−T−Cは私的貯蓄の合計、そしてT−Gは公的貯蓄である。それゆえに、
S=I+NX
方程式の両辺からIを控除すると、我々は国民所得勘定恒等式を以下のように書くことができます。:
S−I=NX
国民所得勘定恒等式のこの形態は、経済の純輸出はいつも貯蓄と投資の差に等しくなるに違いない。
 この恒等式のおのおのの部分をもっとしっかりと見ましょう。簡単な部分は右側のNXです。つまりそれは単純に我々の財・サービスの純輸出である。純輸出の別の名前は貿易収支と呼ばれます。なぜならば、それは我々にいかにして我々の財・サービスの貿易が輸入と輸出の等しい基準からかけ離れていることを告げます。
 恒等式の左辺は自国の貯蓄と自国の投資の間の差、S−Iです。つまりそれは純海外投資と呼ばれます。純海外投資は国内の住民が海外に貸し出している金額から外国人が我々に貸し出している部分を引いたものに等しくなります。もし純海外投資が正ならば、我々の貯蓄は投資を超過し、我々は外国人に対して過度に貸し出しています。もし純海外投資が負ならば、我々の投資が貯蓄を超過しています。そして我々は外国から借りることにとって、この余分な投資に融資しています。このようにして、純海外投資は資本蓄積に融資するための国際的な資金の流れに反映します。
 国民所得勘定恒等式は純海外投資がいつも貿易収支に等しくなることを示します。つまりそれは、以下の通りです。
純海外投資 = 貿易収支
S−I  = NX
もしS−IとNXが正ならば、我々は貿易黒字です。この場合には、我々は世界金融市場における純然たる貸し手です。そして我々は輸入するよりもたくさん輸出しています。
もしS−IとNXがきっかりとゼロならば、我々は貿易均衡であると呼びます。なぜならば、輸入の価値は輸出の価値に等しくなるからです。
 国民所得勘定恒等式は、資本蓄積に融資するための資金の国際的な流れと財・サービスの国際的な流れが同じコインの両側であることを示しています。一方では、もし我々の貯蓄が我々の投資を超過するのならば、国内で投資されない貯蓄は外国人に対して貸し出すために使われます。外国人たちはこれらの貸出金を必要としています。なぜならば、我々は彼らが我々に財・サービスを供給するよりもたくさん、かれらに財・サービスを供給するからです。つまり、我々は貿易黒字です。他方では、もし我々の投資が貯蓄を超過するのならば、余分な投資は外国から借りることによって融資されるに違いない。これらの外国からの借入金は我々が輸出するよりも、たくさん財・サービスを輸入させるに違いない。つまり、我々は貿易赤字です。
 資本の国際的な流れは、多くの形態を取ることに注目しなさい。我々がこれまでにそうしたように、貿易赤字になったときに、外国人たちは我々に対して貸し出しを行うことを仮定することは、最も容易です。例えば、これは日本がアメリカの法人が発行した社債あるいはアメリカ政府が発行する国債を買うとき、起こります。しかし、同様に、資本の流れは国内の資産を買う外国人の形態を取ることができます。例えば、もし日本の投資家がニューヨークでビルを買うのならば、その取引はアメリカの純海外投資を削減します。国内で発行された国債を外国人が買う場合と国内で所有される資産を外国人が買う場合の両方において、外国人は国内資本に将来戻すことを要求します。言い換えれば、外国人たちは結局、国内資本ストックのいくらかを所有しています。

 

8−2 Saving and Investment in a Small
     Open Economy(小国開放経済における貯蓄と投資) 


これまでは我々の財と資本の国際的な流れの議論において、我々は単に恒等式を置き換えただけでした。つまり、我々は開放経済での取引を測定する変数のいくらかを定義しました。そして我々はそれらの定義に従ってこれらの変数の間の結びつきを示しました。我々の次の段階はこれらの変数の動きを説明するモデルを発展させることです。我々はそのとき、いかにして貿易収支が政策の変化に反応するのかのように、問題に答えるためにモデルを使います。

 

Capital Mobility and the World Interest Rate(資本の流動性と世界利子率)


 しばらくの間、我々は国際的な資本と財の流れのモデルを使います。純海外投資は国内貯蓄マイナス国内投資に等しくなるので、我々のモデルは、これら2つの変数が何を決定するのか説明することによって、純海外投資(そしてこのようにして貿易収支)を説明します。このモデルを発展させるために、我々は第3章でお馴染みであるいくらかの構成要素を使います。しかし、第3章のモデルで強調された、我々は実質利子率が貯蓄と投資を均衡させるということは仮定しない。その代わりに、我々は経済に貿易赤字を容認し、他国から借り入れることを容認し、あるいは貿易黒字で他国に貸し出すことを容認しています。
 もし実質利子率が、このモデルにおいて貯蓄と投資を均衡させるように調整しないのならば、何が実質利子率を決定するのでしょうか?我々はここでこの問題に、資本が完全に流動的で単純な小国開放経済の場合を考えることによって答えます。この経済における我々が意味する「小さい」とは、世界市場において小さな一部分ということであり、それによって、世界の利子率にほんのわずかの効果を持つにすぎません。我々が意味する「完全な資本の流動性」とは、その国の住民たちが完全に世界の金融市場に十分に接近することができるということです。特に、政府は国際的な借り入れや国際的な貸し付けを強要しない。
 この完全な資本の流動性の仮定のために、我々の小国開放経済における利子率rは、世界利子率r*に等しくなります。つまりそれは世界金融市場において確立された実質利子率です。: 
r=r*
小国開放経済の住民たちはr*の上のいかなる利子率で借り入れることは決してない。なぜならば、彼らはいつも外国からr*で借入金を手に入れることができるからです。同様に、この経済の住人たちはr*の下のいかなる利子率でも決して貸し出すことはない。なぜならば彼らはいつも外国に貸し出すことによってr*を稼ぐことができます。このようにして、世界利子率は我々の小国開放経済における利子率を決定します。
 しばらくの間何が世界利子率を決定するのか議論しましょう。閉鎖経済では、国内貯蓄と国内投資の均衡は利子率が決定します。惑星間貿易を除外すれば、世界経済は閉鎖的です。それゆえに、世界の貯蓄と世界の投資の均衡は世界の利子率によって決定されます。我々の小国開放経済は世界の実質利子率にとるにたらない効果しかもたない。なぜならばそれが世界のほんの小さな一部分であり、それは世界の貯蓄と世界の投資に無視しても良い効果を持つのみである。ここでは、我々の小国開放経済は外生的に与えられた変数として世界利子率を取ります。

 

The Model(モデル)


 小国開放経済のモデルを作るために、我々は第3章から3つの仮定を設けます。:
★経済の産出物Yは生産要素と生産関数によって固定されています。我々はこれを以下の ように書きます。
Y=Y’=F(k’,L’)
★消費Cは、可処分所得Y−Tに対して正の相関関係があります。我々は消費関数を以下 のように書きます。
C=C(Y−T)
★投資Iは、実質利子率rに対して負の相関関係があります。我々は投資関数を以下のよ うに書きます。
I=I(r)
これらは我々のモデルの3つのキーパーツです。もしあなたがこれらの相関関係を理解しないのならば、先に進む前に第3章を復習しなさい。
 我々は今、恒等式に戻ることができます。そしてそれを以下のように書くことができます。:
NX=(Y−C−G)−I
NX=S−I
第3章からの我々の3つの仮定を取り除き、そして利子率が世界利子率と等しくなる状態で、我々は以下の方程式を獲得します。
NX=[Y’−C(Y’−T)−G]−I(r*)
=       S’ −I(r*)
この方程式は何が貯蓄Sと投資Iを決定するのかを示します。そしてこのようにして、貿易収支NXが決定されます。貯蓄が財政政策に依存することを思い出しなさい。:低い政府支出Gあるいは高い租税Tは国民貯蓄を引き上げます。投資は世界実質利子率r*に依存します。:高い利子率はいくらかの投資計画を不利にします。それゆえに、貿易収支は同様にこれらの変数に依存します。
 第3章では、我々は図8−2のように貯蓄と投資をグラフ化しました。

第3章で学習した閉鎖経済においては、実質利子率は貯蓄と投資が均衡するように調整します。つまり、実質利子率は貯蓄曲線と投資曲線が交差するところとして理解されています。しかしながら、小国開放経済では、実質利子率は世界利子率に等しくなります。貿易収支は世界利子率における貯蓄と投資の間の差によって決定されます。 
この点では、あなた方は貿易収支が純海外投資と等しくなろうとするメカニズムについて不思議に思うかもしれない。純海外投資の決定要因は理解するのが簡単です。国内貯蓄が国内投資に不足するとき、国内の投資家たちは外国から資金を借ります。;貯蓄が投資を超過するとき、超過分は他の国々に貸し出されます。しかし国際的な財の流れがこの国際的な資本の流れにきっかりと均衡することを確実にする方法を扱うために、これらが輸入と輸出に何を起こすのでしょうか?今我々はこの答えられない問題が残っていますが、しかし我々は我々が交換率の決定要因を議論するとき、8−3節でそれに戻ります。

How Policies Influence the Trade Balance(いかにして政策が貿易収支に影響を及ぼすのか)


 経済が貿易が均衡した位置で始めると仮定しなさい。つまりそれは、世界利子率にあり、投資Iと貯蓄Sが等しく、そして純輸出がゼロに等しい。国内と海外で政府の政策の効果を予測するために我々のモデルを使いましょう。

 

Fiscal Policy at Home(国内の財政政策)


 もし政府が政府支出を増加することによって国内支出を拡張するのならば、最初に小国開放経済で何が起こるのか考えなさい。Gの増加は、国民貯蓄を減少させます。なぜならばS=Y−C−Gだからです。世界実質率が変化しない場合において、投資は同じままです。それゆえに、貯蓄は投資の下へと下落します。そしていくらかの投資が今、外国から借り入れることで融資されるに違いない。NX=S−Iなので、Sの落ち込みはNXの落ち込みを意味します。経済は今、財政赤字にあります。
 同じ論理が租税の減少に適用されます。租税のカットはTを低め、可処分所得Y−Tを引き上げます。そして消費を刺激し、そして貯蓄を減少させます。(たとえ租税のいくらかの削減によって私的貯蓄、公的貯蓄が十分な減税によって下落する方法に気が付きます。:全部で、貯蓄は下落します。)NX=S−Iなので、国民貯蓄における削減は順次、NXを低くします。
 図8−3はこれらの効果を示しています。

財政政策の変化は私的消費Cと公的支出Gを増加させ、国民貯蓄(Y−C−G)を削減し、それゆえに垂直な線で表現された貯蓄はS1からS2へ移動させます。NXは世界利子率での貯蓄の計画と投資の計画の差なので、この移動はNX削減します。ここでは、均衡した貿易収支から始まって、財政政策の変化が貿易赤字に導く国民貯蓄の削減します。

 

CASE STUDY
 The Twin Deficits(双子の赤字)


 アメリカは1980年代と1990年代に異常な拡張的な財政政策のエピソードを経験しました。ロナルドレーガン大統領の支持により、議会は向こう3年間で個人所得税を実質的に削減することで1981年に法律を通過させました。これらの減税は政府の支出削減と等しくなかったので、連邦政府の予算は赤字になりました。これらの財政赤字は平和で繁栄している時代にあって経験された中でも最も大きなものを体験しました。そしてそれらはレーガンが退職した後も長く続きました。
 政策が国民貯蓄を当然削減してしまうような、我々のモデルによれば、それゆえに貿易赤字は起こる。そして、実際には、正確には何かが起こりました。図8−4は、国民貯蓄、投資、貿易収支、そして連邦予算の収支を1960年からのGDPの割合として示しています。1980年以前には、連邦予算は平均して、大雑把に均衡していました。財政黒字が普通であり、第2次世界大戦に融資するために債務として徐々に使われました。この時代中には、貿易収支もまた平均して小さな黒字です。アメリカ人たちは国内で投資するより以上に貯蓄しました。そしてその差は海外に投資されました。
 その状態は1981年頃から劇的に変化しました。その時に、連邦政府は平時には予想もできなかった大きさの財政赤字での運営を始めました。この政策は国民貯蓄を削減し、大きな貿易赤字に導きました。つまりそれは、アメリカの貯蓄がアメリカ投資に融資することがもはや十分ではなかったので、他の国々はアメリカに貸し出し始めました。
 この長い外国からの借り入れの時代は、世界経済におけるアメリカの経済的な地位が変化しました。1981年におけるアメリカの純海外資産のストックはGDPの約12.3%でした。これはアメリカが外国人がアメリカで所有するよりもたくさん海外資本を所有しており、その差はアメリカ実所得の約1/8を計上していることを意味します。対照的に、1993年のアメリカの純海外資産のストックはマイナス8.8%でした。アメリカは世界の最も大きな債権国から、世界の最も大きな債務国になりました。

 

Fiscal Policy Abroad(外国の財政政策)


外国政府が財政支出を増加させたとき、今、小国開放経済に何が起こるのか考えなさい。もしこれらの外国が世界経済の小さな部分ならば、そのときかれらの財政的な変化は他の国々に無視しうる衝撃しか及ぼさない。しかし、もしこれらの外国の国々が世界経済の大きな部分であれば、それらの政府支出の増加は世界貯蓄を減少させ、世界利子率の上昇を引き起こすでしょう。
 世界利子率の増加は借り入れのコストを引き上げます。そして、このようにして、小国開放経済の投資を削減します。国内の貯蓄は変化しなかったので、貯蓄Sは今、投資Iを超過し、そして我々の貯蓄のいくらかは海外に流れ始めます。NX=S−Iなので、投資Iの削減はまたNXを増加させます。ここでは、削減された海外貯蓄は国内での貿易黒字に導きます。
 図8−5はいかにして貿易均衡から始まる小国開放経済が、外国の財政的な拡張に対して反応するのかを描いています。

政策の変化は海外で起こるので、国内貯蓄と国内投資の計画は同じままです。唯一の変化は世界利子率のr*1からr*2への増加です。貿易収支は貯蓄と投資の間の差です。;r*2では貯蓄が投資を超過するので、貿易黒字が存在します。ここでは、世界利子率の増加は、貿易黒字に導く海外の財政的な拡張が存在します。

 

Shifts in investment Demand(投資需要の移動)



 もし投資曲線が外側へ移動するのならば、つまり、もしいかなる利子率でも投資財に対する需要が増加するならば、小国開放経済に何が起こるのか考えなさい。この移動は、例えば、もし政府が投資減税によって投資を促進するために税法を変えたのならば、起きるでしょう。図8−6は、投資計画の移動の衝撃を描いています。ある所与の世界利子率で、投資は今、より大きくなる。貯蓄が変わらないので、いくらかの投資は外国から借りてきて今では融資されなければならない。つまりそれは、純海外投資が負であることを意味します。異なるように置くと、NX=S−Iなので、Iの増加はNXの減少を意味します。ここでは、投資計画の外側への移動は貿易赤字を引き起こします。

 

Evaluating Economic Policy(経済政策の評価)


我々の小国開放経済のモデルは、貿易収支によって測定された財とサービスの流れが、純海外投資によって測定された資本蓄積の資金の流れに対して込み入った関係があることを示してます。純海外投資は国内貯蓄と国内投資の間の差です。このようにして、貿易収支に対する経済政策の衝撃は、いつも国内貯蓄と国内投資に対する衝撃を検証することによって、理解されています。投資を増加させる、あるいは貯蓄を減少させる政策は、貿易赤字を引き起こす傾向があります。そして投資を減少させる、あるいは貯蓄を増加させる政策は貿易黒字を引き起こす傾向があります。
 我々の開放経済の分析は実証的なもので、規範的なものではない。つまりそれは、経済政策が資本と財の流れに影響を及ぼすのかという方法の我々の分析は、我々にこれらの政策が望ましいかどうかを告げていません。開放経済における経済政策とその衝撃を評価することは経済学者たちと政策立案者たちの間で、しばしば討論の話題となります。
ある国が貿易赤字の時、アメリカでは1980年代と1990年代がそうであると考えられていましたが、政策立案者たちは貿易赤字が国際的な問題を表してるのかどうかの質問に直面しなければならない。たいていの経済学者たちは貿易赤字をそれ自体を問題ではないと考えます。しかしおそらく問題の兆候として考えます。1980年代と1990年代のアメリカの貿易赤字は、低い貯蓄率に反映しました。低い貯蓄率は我々がいつも将来に向けて貯蓄しないことを意味します。閉鎖経済では、低貯蓄は貿易赤字と外国債務の成長に導きます。そしてそれは実際には急激であるに違いない。両方の場合において、高い現在消費は低い将来の消費に導きます。将来の世代が低い貯蓄率の負担を負うことを意味しています。
 また、貿易赤字はいつも経済的な弊害の反映をするわけではない。貧乏でいなかの経済は近代的な産業経済に発展したとき、彼らはしばしば外国から借りてきて、高い投資水準に融資しました。これらの場合には、貿易赤字は経済発展の目印です。例えば、韓国は1970年代に大きな貿易赤字であった。そして韓国は経済成長の成功談の1つとなりました。講義は貿易収支だけから経済的行動を判断することができないということです。その代わりに、国際的な流れの結果に横たわるものを見なければならない。

 

8−3 Exchange Rates(為替レート) 


 これまでは資本と財・サービスの国際的な流れを検証してきましたが、我々は今これらの移動に適用される価格を考えることによって分析を拡張します。2つの国々の為替レートはそれらの国々の住民のお互いの貿易に対する価格です。この節では、我々は最初に精密に何が為替レートを測定するのか検証します。そして我々はそれから、いかにして為替レートが決定されるのか議論します。

 

Nominal and Real Exchange Rates
 (名目為替レートと実質為替レート)


 経済学者たちは名目為替レートと実質為替レートという2つの為替レートを区別します。順次、おのおのを議論しましょう。そして我々はいかにして関係しているのか見ましょう。
The Nominal Exchange Rates(名目為替レート)
 名目為替レートは2つの国々の通貨の相対価格です。例えば、もしアメリカ$と日本¥の間の為替レートが120円/$ならば、そのときあなたは外国通貨世界市場において、1ドルを120円で交換できます。ドル6が欲しいと思っている日本人たちは彼の買った物にドル当たりおのおの120円を支払うでしょう。円の欲しいアメリカ人は彼の支払ったおのおののドル当たり120円を受け取るでしょう。人々が2国間の「為替レート」を選択するときは、それらは通常、名目利子率を意味しています。

The Real Exchange Rates(実質為替レート)


実質為替レートは2国間の財の相対価格です。つまりそれは、実質為替レートは我々に、我々がある国の財と別の国の財の交易できる率を告げています。実質為替レートはしばしば、交易表示と呼ばれます。
 名目為替レートと実質為替レートの間の相関関係を見るために、多くの国々で生産された単独の財、つまり自動車を考えなさい。アメリカの自動車は1万$かかり、日本の自動車は240万円かかると仮定せよ。2つの自動車の価格を比較するために、我々はそれらを普通の通貨に置き換えなければならない。もし1ドルが120円の価値を持つのならば、そのときアメリカの自動車は120万円かかります。アメリカの自動車の価格(120万円)と日本の自動車の価格(240万円)を比較すると、我々はアメリカの自動車が日本の自動車の価格の1/2の価格であることを結論づけます。言い換えれば、現行価格では、我々は日本の自動車1台ぶんでアメリカの自動車を2台交換することができます。
 我々は以下のように我々の計算を要約することができます。

これらの価格とこの為替レートでは、我々はアメリカ車1台につき1/2台の日本車という結果を得ます。そのうえ一般的に、我々はこの計算式を以下のように書くことができます。

我々が国内の財と外国の財を交換する率は、地域通貨における財の価格と通貨の交換率に依存します。
 単独の財の実質交換率のこの計算は、いかにして我々が財の広いバスケットに対する実質為替レートを定義すべきなのかを示唆します。名目利子率(ドル当たりの円の金額)をeとしよう。アメリカにおける価格水準(ドル表示)をP、そして日本における価格水準(円表示)をP*としよう。そのとき実質為替レートεは以下の通りです。
     実質為替レート=名目利子率×価格水準の率
      ε=e    ×(P/P*)
2国間の実質為替レートは、2国における名目為替レートと価格水準にから計算されます。もし実質為替レートが高いのならば、外国の財は相対的に安く、そして国内の財は相対的に高い。もし実質為替レートが低いのならば、外国の財は相対的に高く、そして国内の財は相対的に安い。

 

The Real Exchange Rates and Trade Balance(実質為替レートと貿易収支)


マクロ経済学は、実質為替レートに何の影響を及ぼすのでしょうか?この質問に答えるために、実質為替レートが相対価格以上の何者でもないことを思い出しなさい。あなたがランチに選択して、決定されるちょうどハンバーガーとピザの相対価格のように、国内の財と国外の財の相対価格は、これらの財の需要に影響を及ぼします。
 最初に、実質為替レートが低いと仮定せよ。この場合には、国内の財は相対的に安いので、国内の住民は輸入される財をほとんど買わないでしょう。彼らは、トヨタよりもフォード、ハイネケンよりもドリンク・コールズそしてヨーロッパよりもフロリダでのバケーションを選択するでしょう。同じ理由のために、外国人たちは我々の財をたくさん買いたいでしょう。これらの両方の行動の結果として、我々の純輸出需要数量は高くなるでしょう。
 もし実質為替レートが高いのならば反対のことが起こります。国内の財は外国の財に対して相対的に高いので、国内の住民は多くの輸入された財を買いたいでしょう。そして外国人たちはあまり我々の財を買わないでしょう。それゆえに、我々の純輸出需要数量は低くなるでしょう。
我々は実質為替レートと純輸出のこの相関関係を以下のように書きます。
NX=NX(ε)
この方程式は純輸出が実質為替レートの関数であることを示します。図8−7は貿易収支と実質為替レートの負の相関関係を描いています。

 

The Determinants of the Real Exchange
 Rate(実質為替レートの決定要因)


 
 我々は今、実質為替レートを決定する要素が何であるのか説明するモデルを構築するために必要なすべてのピースを所有しています。特に、我々は、我々が章の最初で発展させた我々がちょうど貿易収支で議論した純輸出と実質為替レートの間の相関関係を組み合わせます。我々は次のように分析を要約することができます。:
★実質為替レートは純輸出に関係しています。実質為替レートが低ければ、国内の財は外 国の財に対して相対的に高くない。そして純輸出はますます大きくなります。
★貿易収支(純輸出)は純海外投資に等しくなるに違いない。つまりそれは順次、貯蓄マ イナス投資に等しくなります。貯蓄は消費関数と財政政策によって固定されています。 ;投資は投資関数と世界利子率によって固定されています。 

図8−8はこれら2つの状態を描いています。純輸出と実質為替レートの間の相関関係を示す直線は、低い実質為替レートが国内の財を相対的に高くしないので、右下がりになります。貯蓄に対する投資の超過S−Iを表現する直線は、垂直です。なぜならば貯蓄も投資も実質為替レートには依存しないからです。これらの2つの直線の交差点は均衡為替レートを決定します。

 図8−8は通常の供給と需要の図に似ています。実際に、あなた方はこの図を外国為替通貨の供給と需要を表現するものとして考えることができます。垂直な直線S−Iは国内投資を超過する国内貯蓄を表現しています。そしてこのようにして、ドルの供給は外国通貨と 外国で投資されたドルの供給を表現します。右下がりの直線NXは我々の財を買うためにドルが欲しい外国人から来るドルの純需要を表現しています。均衡実質為替レートでは、純海外投資に対する有効なドルの供給が我々の純輸出品を買う外国人たちによってドルの需要と均衡します。
 

How Policies Influence the Real 
 Exchange Rate
 (どのような政策が実質為替レートに影響を及ぼすのか)


 我々はこのモデルを我々が初期に議論した、いかにして経済政策の変化が実質為替レートに影響を及ぼすのか示すために使うことができます。

 

Fiscal Policy at Home(自国の財政政策)


 もし政府が政府支出を増加させることによって、あるいは減税することによって国民貯蓄を削減するのならば、実質為替レートに何が起こるのでしょうか?我々が初期に見たように、低い貯蓄におけるのこの削減はS−Iと、このようにしてNXをより低くします。つまりそれは、貯蓄の削減が貿易赤字を引き起こすことです。
 図8−9はいかにして均衡利子率がNXが下落することを確実にするために調整されるのかを示します。政策の変化は、垂直なS−I直線を左側へ移動します。つまりそれはドルの供給を外国へ投資されることで低くくなります。より低い供給は均衡実質為替レートをε1からε2まで引き上げます。つまりそれは、ドルがもっと価値がある物になります。ドルの価値の増加のために、国内の財は外国の財に対して相対的にもっと高くなった。つまりそれは輸出を下落させ、輸入を引き上げます。輸出の変化と輸入の変化の両方は純輸出を削減するために作用します。

 Fiscal Policy Abroad(外国の財政政策)


 もし外国の政府が財政支出を増加させたり、減税をするのならば、実質為替レートに何が起こるのでしょうか?財政政策におけるこの変化は世界貯蓄を削減し、世界利子率を引き上げます。世界利子率における増加は、国内投資Iを削減させます。つまりそれはS−Iを引き上げます。そしてこのようにして、NXを引き上げます。つまりそれは、世界利子率の増加が貿易黒字を引き起こすことです。
 図8−10は、政策におけるこの変化が、垂直なS−I直線を右側へ移動させます。つまりそれはドルの供給が外国の投資を引き上げることを示しています。均衡利子率は下落します。つまりそれは、ドルが価値が無くなることです。そして国内の財は外国の財に対して相対的に安くなります。


 

Shifts in Investment Demand(投資需要の移動)


もし国内で投資需要が増加するのならば、おそらく議会が投資減税を通過させるので、実質為替レートに何が起こるのでしょうか?与えられた世界利子率では、投資需要の増加はより高い投資に導きます。Iのより高い値はS−IとNXのより低い値を意味します。つまりそれは、投資需要の増加が貿易赤字を引き起こすということです。
 図8−11は投資需要の増加が垂直なS−I直線を左側へ移動させます。つまりドルの供給を外国へ投資されることで低くくなります。均衡実質為替レートは上昇します。ここでは、投資減税はアメリカにおける投資をもっと魅力的なものにするとき、投資減税はまたこれらの投資をするために必要なアメリカ・ドルの価値を増加させます。ドルの価値が高まるとき、国内の財は外国の財に対して相対的に高くなり、そして純輸出は下落します。

 The Effects of Trade Policies(貿易政策の効果)


 さて、我々が貿易収支と実質為替レートを説明するモデルを持つことで、我々は貿易政策のマクロ経済学的な効果を検証するための道具を持ちます。貿易政策は、広く定義すると、輸出されたり、輸入されたりした財・サービスの異なった金額に影響を及ぼすために計画された政策です。最も多いのは、貿易政策が国内産業を外国産業から保護する形態を取ることです。つまり外国の輸入品に関税を課したり、輸入できる財・サービスの数量を制限したりのどちらか一方で行われます。
 保護主義者の貿易政策の事例として、もし政府が外国車の輸入を禁止したのならば、何が起こるのか考えなさい。いかなる与えられた実質為替レートにおいても、輸入は今、より低くなり、純輸出(輸出−輸入)がより高くなることを意味します。このようにして、純輸出の計画は、図8−12のように外側へ移動します。政策の効果を見るために、我々は古い均衡と新しい均衡を比較します。新しい均衡においては、実質為替レートがより高くなり、そして純輸出は変わりません。純輸出の計画の移動にも関わらず、純輸出の均衡水準は同じままです。なぜならば保護主義者の政策は貯蓄も投資も変更しません。

 この分析は保護主義的貿易政策が貿易収支に影響を及ぼさないことを示しています。この驚くべき結論はしばしば、貿易政策における多くの議論において見過ごされます。貿易赤字は輸出に対する輸入の超過部分に反映するので、ある人は外国車の輸入を禁止するように、輸入を削減することが貿易赤字を削減すると思うかもしれない。また我々のモデルは保護主義的貿易政策は単に実質為替レートが変化するのみに導くことであることを示します。外国の財に対する国内の財の相対価格の増加は、輸入を促進して、輸出を抑圧することによって純輸出をより低くする傾向があります。このようにして、減価償却が直接の貿易制限に起因する純輸出の増加を相殺します。
 保護主義的貿易政策は貿易収支を変更しないのだけれども、それらは貿易金額に影響を及ぼします。我々が見てきたように、実質為替レートは増加するので、我々が生産した財・サービスは外国の財・サービスに対して相対的に高くなります。我々はそれゆえに新しい均衡では余り輸出しません。純輸出が変わらないので、我々は同じように輸入を少なくしなければならない。(為替レートの増価はある程度輸入を促進します。しかしこれはほんの一部分貿易制限に起因する輸入の減少に相殺されます。)このようにして、保護主義的貿易政策は輸入数量と輸出数量の両方を削減します。
 この総貿易数量の下落は、経済学者たちがいつも保護主義的貿易政策に反対する理由です。国際貿易は、すべての国々に最も良いものを何か生産することを特化するおのおのの国を容認することによって、そしておのおのの国に非常にたくさんの財・サービスを供給することによって、利益をもたらします。保護主義的貿易政策は貿易からのこれらの獲得物を減殺します。これらの政策は社会の範囲内でのグループに利益をもたらすのだけれども、例えば、輸入車における禁止令は国内の自動車生産者を助けます。しかし平均的な社会は、政策が国際貿易の数量を制限したときにより悪くなります。
 The Determinants of the Nominal 
 Exchange Rate(名目為替レートの決定要因)
 これまでに実質為替レートを何が決定するのか見てきましたが、我々は今我々の注意を名目為替レートに向けます。つまりそれは、2国間貿易の通貨の交換率です。実質為替レートと名目為替レートの間の相関関係を思い出しなさい。:
    実質為替レート = 名目為替レート × 価格水準の比率
ε = e  × (P/P*) 
 我々は名目為替レートを以下のように書くことができる。:
          e = ε  × (P*/P) 
この方程式は名目為替レートが2国間における実質為替レートと価格水準に依存することを示します。与えられた実質為替レートの価値では、もし国内の価格水準のPが上昇するのならば、そのとき名目為替レートeは下落するでしょう。:ドルの価値が下がるので、ドルで買える円は少なくなるでしょう。一方で、もし日本の価格水準P*が上昇するのならば、そのとき名目為替レートは増加するでしょう。:円の価値が下がるので、ドルで買える円は増加するでしょう。
 時間を通じて為替レートの変化を考えることは教訓的です。為替レート方程式は以下のように書くことができます。
eの変化率%=εの変化率%+P*の変化率%−Pの変化率%
εの変化率は実質為替レートの変化です。Pの変化率は国内のインフレ率πあり、P*の変化率は外国のインフレ率π*です。このようにして、名目為替レートの変化率は以下のようになります。
    eの変化率%      = εの変化率%      + (π*−π)
名目為替レートの変化率 = 実質為替レートの変化率 + インフレ率の差
この方程式は2国の通貨間の名目為替レートにおける変化率が実質為替レートの変化率とインフレ率の差の合計であることを表しています。もしある国がアメリカに対して相対的に高いインフレ率ならば、ドルは時間を通じて外国通貨をたくさん買えるでしょう。もしある国のインフレ率が低いのならば、時間を通じて外国通貨をあまりたくさん買えないでしょう。
この分析はいかにして金融政策が名目為替レートに影響を及ぼすのかを示しています。我々は第7章から、高い貨幣供給の成長率が高いインフレーションに導くことを知っています。ここでは、我々はちょうど高いインフレが通貨価値を減少させることを見ました。:高いπ(インフレ率)は、e(名目為替レート)の下落を意味します。言い換えれば、ちょうど貨幣数量の成長のように貨幣表示で測定される財の価格が引き上げられると、それはまた、国内の通貨表示で測定される外国通貨の価格を引き上げる傾向があります。

 CASE STUDY
 Inflation and Nominal Exchange Rates
 (インフレと名目為替レート)


 もし我々が異なる国々の為替レートと価格水準のデータを見るのならば、我々は直ぐに名目為替レートにおける変化を説明するためにインフレーションの重要性を見ます。最も劇的な事例は、非常に高いインフレーションの時代から来ています。例えば、メキシコにおける価格水準は1983年から1988年までに2300%上昇しました。このインフレのために、1人当たりがペソで買うことができるアメリカ・ドルの金額は1983年の144から1988年の2281まで上昇しました。
 同じ相関関係がもっと適当なインフレーションを伴う国々にとって現実を抱えています。図8−13はインフレーションと15カ国の為替レートの間の相関関係を示した分布図です。横軸は、おのおのの国々の平均インフレ率とアメリカの平均インフレ率の間の差(π*−π)です。垂直軸(縦軸)は、おのおのの国々とアメリカ・ドルの間の通貨の為替レートにおける平均変化率(eの変化率%)です。これらの2つの変数の間の正の相関関係はこの図では明らかです。相対的に高いインフレーションの国々では、通貨価値が下落する傾向があります。そして、相対的に低いインフレーションの国々では、通貨価値が上がる傾向があります。
 ある事例として、ドイツ・マルクとアメリカ・ドルの間の為替レートを考えなさい。ドイツとアメリカの両方は、過去20年間にインフレーションを経験したので、マルクとドルの両方は以前よりも余り財・サービスが買えなくなりました。しかし、図8−13が示すように、ドイツにおけるインフレーションはアメリカにおけるインフレーションよりも低くなりました。これはマルクの価値がドルの価値よりも下落したことを意味します。それゆえに、あなたがアメリカ・ドルで買うことができるドイツ・マルクの金額は時間を通じて下落してます。

 The Special Case of Purchasing−Power
 Parity(購買力平価の特殊な場合)


 経済における有名な仮説で、一物一価の法則と呼ばれるものは、同じ財は同じ時に違った場所で異なる価格で売ることは出来ないと言うことを表しています。もし1ブッシェルの小麦がシカゴよりもニューヨークで安く売られるのならば、ニューヨークで小麦を買うことが有益で、そのときシカゴで小麦を売ります。抜け目のない裁定取引人たちは機会のような有利性を取るでしょう。そしてそれゆえに、ニューヨークでの小麦の需要が増加し、シカゴでの供給が増加するでしょう。これはニューヨークでの価格が上昇し、シカゴでの価格が下落するでしょう。つまりそれゆえに、価格が2つの市場で均衡することが確実になります。
 一物一価の法則は購買力平価と呼ばれる国際市場に適用されます。もし国際的な裁定取引が可能ならば、そのときドル(あるいは何か別の通貨)はすべての国で同じ購買力平価を持つに違いないことを表してます。この議論は以下のようになる。もしドルが外国よりも国内で小麦をたくさん買うことができたのならば、そこには国内で小麦を買って、外国でそれを買うことによって利潤を得る機会があるでしょう。利潤探しをする裁定取引人たちは外国の価格に対して、相対的に国内の小麦の価格を上昇させるでしょう。同様に、もしドルが国内よりも外国でたくさん小麦を買うことができなのならば、裁定取引人たちは、外国で小麦を買って、国内で小麦を売るでしょう。外国の価格に相対して国内の価格は下落するでしょう。このようにして、国際的な裁定取引人たちによる利潤探しは、すべての国々で小麦価格で同じように起こります。
 我々は実質為替レートのモデルを使うことによって購買力平価の原則を解釈することができます。これらの国際的な裁定取引人たちの俊敏な行動は純輸出が実質為替レートにおける小さな動きに対してかなり敏感であることを意味します。外国の財に対して国内の財の価格の小さな減少、つまりそれは、実質為替レートにおける小さな減少であり、裁定取引人たちは国内で財を買って、外国で財を売ります。同様に、国内の財の相対的に小さな増加は、裁定取引人たちが外国から財を輸入するようにさせます。それゆえに、図8−14のように、純輸出の計画は国々の間の購買力を均等化する実質為替レートで非常に水平です。:実質為替レートにおけるいかなる小さな動きも純輸出における大きな変化に導きます。この極端な純輸出の敏感さは、均衡実質為替レートがいつも購買力平価を保証する水準に接近していることを保証します。

 購買力平価は2つの重要な含みを持ちます。第1に、純輸出の計画が水平なので、貯蓄あるいは投資の変化は、実質為替レートあるいは名目為替レートに影響を与えません。第2に、実質為替レートが固定されているので、名目為替レートにおけるすべての変化は価格水準の変化から来ます。
 この購買力平価説は現実的ですか?たいていの経済学者たちは、その論理が明らかであるにも関わらず、購買力平価が世界を完全に描写しているわけでなないと信じています。第1に、多くの財は簡単には取り引きされない。散髪はニューヨークよりも東京では非常に高価である。また散髪は移動することが不可能なので、国際的な裁定取引の入る余地はない。第2に、たとえ取り引きできる財であっても、いつも完全代替的ではない。ある消費者たちはトヨタを選好し、別の消費者たちはフォードを選好します。このようにして、トヨタとフォードの相対価格はいかなる利潤機会もなしに、いくらか変化することができます。これらの理由のために、実質為替レートは事実、時間を通じて変化します。
 購買力平価説は完全に世界について述べてはいないのだけれども、なぜ実質為替レートの変動が極限になるのかという理由を提供します。そこには論理に含まれる多くの妥当性があります。:はるかに実質為替レートは購買力平価によって予測された水準とかけ離れており、財における裁定取引を行おうという個々人のインセンティブはもっと大きい。我々は実質為替レートにおけるすべての変化を促進する購買力平価に頼ることはできないので、この説は実質為替レートが典型的に小さいかあるいは通常である場合の変動を予測する理由を持っています。
 
 

CASE STUDY
 The Big Mac Around the World
 (世界中のビック・マック)


 購買力平価説は、我々が為替レートを調整した後に、我々はどこででも同じ価格で売られている財を見つけるべきであると言います。反対に、それは2国間の為替レートは2国における価格水準に依存するはずだと言います。
 いかにしてこの説が機能するのか見るために、世界的なニュース誌「エコノミスト」では、いつもマクドナルドのビッグ・マックのハンバーガーのような、多くの国々で売られている財の価格のデータを集めています。購買力平価によれば、ビッグ・マックの価格はその国の名目為替レートに密接しているはずである。地方通貨においてビック・マックの価格が高ければ高いほど、ますます為替レート(1ドルを地方通貨の表示で測定した)は高くなるはずです。
表8−1は1997年における国際価格を表現しています。つまりそのときアメリカでは、2.42$で売られました。これらのデータで我々は名目為替レートを予測するために、購買力平価説を使うことができます。例えば、日本ではビック・マックが294円かかるので、我々はドルと円の間の為替レートは294/2.42あるいは121円/ドルであったと予測するでしょう。この為替レートでは、ビック・マックは日本とアメリカでは同じコストを持つでしょう。
 表8−1は、32カ国における予想と実際の為替レートを、予想為替レートで序列化したものを示しています。あなた方は購買力平価が混合されている証拠を見ることができます。後ろの2列が示すように、現実と予想した為替レートはいつも同じです。例えば、我々の理論はアメリカ・ドルは最もたくさんロシアのルーブルを買って、最も少なくイギリスのポンドを買うべきであると予測します。そしてこれが現実になるできです。日本の場合には、予測される為替レートの121円は実際の為替レート126円に非常に接近しています。また理論上の予想は正確にはかけ離れており、そして、多くの場合には、20%以上も離れている。ここでは、購買力平価説は為替レートの大雑把な水準を提供するのだけれども、それは為替レートを完全には説明していません。

8−4 Conclusion:The United States as a
     Large Open Economy
     (結論:大国開放経済にしてのアメリカ合衆国)


この章では、我々はいかにして小国開放経済が機能するのか見てきました。我々は国際的な資本蓄積のための資金の流れと財・サービスの国際的な流れの決定要因を検証しました。我々はまた、ある国の実質為替レートと名目為替レートを検証しました。我々の分析は、いかにしていろいろな政策が、つまりそれは金融政策、財政政策、と貿易政策なのであるが、貿易収支と為替レートに影響を及ぼすのか示します。

我々が学習した経済は「小国」です。本質的にその利子率は世界の金融市場で固定されています。つまりそれは、我々がこの経済が世界利子率に影響を及ぼさず、そしてこの経済は無制限に世界利子率で借り入れたり貸し付けたりできることを仮定しました。この仮定は、我々が第3章で閉鎖経済を学習したときに我々が作った仮定で対比します。閉鎖経済では、国内利子率は国内貯蓄と国内投資に等しくなります。つまり均衡利子率を変更する貯蓄あるいは投資に影響を及ぼす政策に適用されます。
 これらの分析のどちらを我々はアメリカのような経済に適用すべきでしょうか?その答えは両方を少しずつということである。アメリカはそんなに大きくもなければ、孤立させられているのでもないので、外国で起こるような発展に対して除外されている。1980年代と1990年代の大きな貿易赤字はアメリカ投資に対する国際金融市場の重要性を示しています。ここでは、第3章の閉鎖経済の分析は、それ自身では十分にアメリカ経済における政策の衝撃を説明できない。
 またアメリカ経済はそんなに小さくないし、そして大変開放的なので、この章の分析は完全に適用されない。第1に、アメリカは十分に大きいので世界金融市場に影響を及ぼすことができます。例えば、大きなアメリカの財政赤字は1980年代に世界で克服された高い実質利子率に対してしばしば非難されました。第2に、資本は各国間で完全に可動的ではないかもしれない。もし個々人が外国の資産よりもむしろ国内で彼らの富を保持することを選好するのならば、資本蓄積に対する資金はすべての国々で自由に移動して、等しくなるとは限らない。これら2つの理由のために、我々は直接アメリカに対して小国開放経済の我々のモデルを適用できません。
 アメリカのような国に対する政策を分析する時には、我々は第3章の閉鎖経済の論理とこの章の小国開放経済の論理を組み合わせることが必要です。この章の付録では、これらの2つの極端な場合の中間の経済モデルを組み立てます。この中間的な場合において、国際的な借り入れや貸し付けが存在しますが、しかし利子率は世界金融市場において固定されていません。その代わりに、もっと経済が外国から借り入れれば、ますます経済が外国の投資家たちに提供するに違いない利子率は上昇します。その結果、驚くべきではないのは、我々がすでに検証した2つの正反対の場合の混合物です。
 例えば、国民貯蓄の削減が財政的な理由によると考えなさい。閉鎖経済のように、この政策は実質利子率を引き上げ、国内投資を締め出します。小国開放経済のように、それはまた純海外投資を削減します。つまりそれは貿易赤字と為替レートの増価に導かれます。ここでは、ここで検証された小国開放経済のモデルは正確にアメリカのような経済を述べていないのだけれども、それはいかにして政策が貿易収支と為替レートに影響を及ぼすのかほぼ正しい答えを提供します。

 

Summary(要約)


1 純輸出は輸出と輸入の差である。それらは我々が生産した物と我々が消費、投資に対して需要する物と政府支出の間の差が等しい。

2 純海外投資は国内投資を上回る国内貯蓄の超過部分です。貿易収支は我々の財・サービスの純輸出に対する受領した金額です。国民所得勘定恒等式は、純海外投資がいつも 貿易収支に等しくなることを示します。

3 貿易収支に対するいかなる政策の衝撃も、貯蓄と投資に対するその衝撃を検証するこ とによって決定することができます。貯蓄を引き上げたり、投資を低める政策は貿易黒 字に導きます。そして貯蓄を低めたり、投資を引き上げる政策は貿易赤字に導きます。

4 名目為替レートは人々がある国の通貨と別の国の通貨を交易する利率です。実質為替 レートは人々が2国間で生産された財を交易する利率です。実質為替レートは名目利子 率に2国間の価格水準の利率を掛けた物に等しくなります。
 
5 実質利子率は外国の財に対する相対的な国内の財の価格なので、実質為替レートの増 価は純輸出の削減する傾向があります。均衡実質為替レートは純輸出の需要数量が純海 外投資に等しくなる利率です。
6 名目為替レートは2国での実質為替レートと価格水準によって決定されます。他の事 情が等しいならば、高いインフレ率は通貨の減価に導きます。