国民所得計算に関する問題の研究


 

経済学検定試験、公務員試験に限らず、各種試験で「マクロ経済学」が受験科目になっていれば「国民所得計算」の問題は必ず出題されるはずである。
 従って、この問題は確実に正解しておくべき部分なのだ。以下ではその問題の解法を探ってみたい。


<第1回 経済学検定試験 2002年3月実施より>
 問題1 国内総支出の構成比率
  日本の国内総支出に占める比率がもっとも高い項目は次のうちどれか。
(1)在庫品増加
(2)民間最終消費支出
(3)政府最終消費支出
(4)総固定資本形成

(答え)(2)
 堺屋太一経済企画庁長官が「消費は国民所得の4番バッター」と呼んだように、民間最終消費支出は、国内総支出に占める比率がもっとも高く、近年では55%前後になっている。なお、その占める割合は以下のとおりである。
 民間最終消費支出 > 総固定資本形成 > 政府最終消費支出 >在庫品増加 
    55%            30%           15%         ?

 問題2 国民所得勘定
  国民経済計算に関連する指標について、以下の関係式のうち誤っているのものはどれ か。ただし、関係式は名目値によるものであり、統計上の不突合はゼロであるものとする。
(1)国内総支出(GDE)=民間最終消費支出+政府最終消費支出+総固定資本形成+在庫品増加+財貨・サービスの輸出−財貨・サービスの輸入
(2)国内純生産(NDP)=雇用者報酬+営業余剰・混合所得+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税−補助金
(3)国民総所得(GNI)=国内総生産+海外からの所得−海外に対する所得
(4)要素費用表示の国民所得(NI)=市場価格表示の国民所得−(生産・輸入品に課される税−補助金)

(答え)(2)

 問題3 国内総生産に含まれる項目
  国内総生産に含まれるものは次のうちどれか
(1)土地を売却して受け取る代金:すでに存在する価値が売買されただけなので、国内総生産には含まれない。
(2)土地が値上がりしたことによる利益:土地や株式等の資産のキャピタル・ゲインは、新たに生産されたサービスの価値ではないため、国内総生産には含まれない。
(3)土地が値下がりしたことによる損失:土地や株式等の資産のキャピタル・ロスは、新たに生産されたサービスの価値ではないため、国内総生産には含まれない。
(4)土地売買に伴う不動産業者の仲介手数料:土地取引を仲介するサービスの対価であるので、新たに生産されたサービスの価値として国内総生産に含まれる。

<第2回 経済学検定試験 2002年10月実施より>
問題4 ストック変数とフロー変数
  フロー変数として捉えられるものについて、正しい記述は次のうちどれか。
(1)銀行の不良債権
(2)駅の乗降客数
(3)土地の時価評価額
(4)図書館の蔵書数

(答え)(2)
 フロー変数・・・ある一定期間において数量として計測される変数。
 ストック変数・・・ある一時点において数量として計測される変数。

 問題5 国民経済計算
  次の記述の続きとして、正しいものは次のうちどれか。
 「国内総生産から国内純生産を差し引くと、」
(1)資本ストック摩耗による価値の損失分となる。
(2)労働者の疲労による生産力低下を金額化した額となる。
(3)労働による労働者のマイナスの効用を金額化した額となる。
(4)「外国人が日本で稼いだ所得」から「日本人が外国で稼いだ所得」の差額に等しくなる。

(答え)(1)
 固定資本減耗=国内総生産−国内純生産
 固定資本減耗とは、資本ストック摩耗による価値の損失分のことである。
 上記設問における(4)の「外国人が日本で稼いだ所得」は、国内総生産(GDP)の一部分であり、「日本人が外国で稼いだ所得」は国民総生産(GNP)の一部分である。
 「GDPの一部分 − GNPの一部分」という計算を行うことはありえない。

 問題6 GDPとGNI
  次の記述の続きとして、正しいものは次のうちどれか。
  「日本の居住者が、アメリカ企業への株式投資から受け取る配当所得は、」
(1)日本のGDPとアメリカのGDPに含まれる。
(2)日本のGNIとアメリカのGNIに含まれる。
(3)日本のGDPとアメリカのGNIに含まれる。
(4)日本のGNIとアメリカのGDPに含まれる。

(答え)(4)
 GDPは、国内総生産(Gross Domestic Product)。
 GNIは、国民総所得(Gross National Income)。
 「国内」とは、その国内領土に居住する経済主体を対象とすることを意味する。
 「国民」とは、国内に所在する企業、一般政府、対家計民間営利団体、および、当該国の居住者たる個人(国籍を問わず、主としてその領土内に6ヶ月以上居住しているすべ ての個人)を指す。したがって
  GNI=GDP+海外からの所得−海外への所得 となる。
 
 2000年10月以降、日本の国民経済計算(SNA)は、新たな国際基準である93SNAを採用している。この移行に伴い、従来使用されてきた国民総生産(GNP)の概念がなくなり、同様の概念として、GNIが新たに導入された。アメリカでもGNIの公表が行われている。
 
<第4回 経済学検定試験 2003年10月実施より>
問題7 国内総生産(GDP)の定義 
  国内総生産(GDP)の定義として、適切なものはどれか。
(1)一国の国内で一定期間に生産されたすべての最終生産物の価値の合計 
(2)一国の国民が一定期間に生産されたすべての最終生産物の価値の合計 
(3)一国の国内で一定期間に生産されたすべての中間生産物と最終生産物の価値の合計
(4)一国の国民が一定期間に生産されたすべての中間生産物と最終生産物の価値の合計
  
(答え)(1)
 最終生産物という言葉と中間生産物という言葉の意味を確認せよ。
 国内総生産の定義として、(1)の解答のほかに「一国の国内で一定期間に生産されたすべての粗付加価値の合計」というものがある。
 粗付加価値とは、最終生産物の中に中間生産物として、他の財・サービスに使用されるものを控除したものである。

<第3回 経済学検定試験 2003年3月実施より>
問題8
  国民経済計算のデータが次のように与えられているとき、国民所得はいくらになるか。  
  民間最終消費支出   287     財貨・サービスの輸入      49
  政府最終消費支出   87     海外からの要素所得の受け取り  12 
総固定資本形成    135     海外への要素所得の支払い     5
  在庫品増加       −2     固定資本減耗          93
  雇用者所得      280     間接税             43
  財貨・サービスの輸出  56  補助金              4
 
(1)389
(2)428
(3)514
(4)521

 第1段階 国内総生産を求める。
 Y=C+I+G+X−Mというケインズ開放体系の基本方程式に当てはめていく。
   287+87+(135−2)+56−49=514
 この時点で、(3)はありえない。
 
 第2段階 国民総生産を求める。
GNI=GDP+海外からの所得−海外への所得より
=514+12−5
    =521
この時点で(4)はありえない。

 第3段階 国民純生産を求める。
 NNP=GNP−固定資本減耗
    =521−93=428
この時点で(2)はありえない。

 第4段階 国民所得を求める。
 NI=NNP−間接税+補助金
   =428−43+4
   =389 

<第4回 経済学検定試験 2003年10月実施より>
 問題9 国民所得の計算
  下表は、ある年度における国民経済計算の「国内総生産と総支出勘定」に登場する項 目の数値である。これにより求められる国内総生産と国民総所得の値の組み合わせとし て、正しいものはどれか。

(単位:兆円)
政府最終消費支出   89       民間最終消費支出  286
海外に対する所得    5       財貨・サービスの輸入 48
 在庫品増加      −2       国内総固定資本形成 126
 財貨・サービスの輸出 52       海外からの所得    14

   国内総生産     国民総所得
(1)495兆円     486兆円
(2)495兆円     512兆円
(3)503兆円     486兆円
(4)503兆円     512兆円

第1段階 国内総生産を求める
 89+286+(126−2)+52−48=503兆円

第2段階 国民総所得を求める
 503+14−5=512兆円

(答え)(4) 

(2004年1月10日作成)

消費関数に関する問題の研究

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