IS−LM分析の基礎
ここでは、所得決定理論によって貯蓄と投資の均衡から所得水準が決定され、流動性選好説によって貨幣需要と貨幣供給の均衡から利子率が決定されることが議論します。
ここで、財市場で所得水準が決定され、貨幣市場で利子率が決定されることを相互依存関係で考えて統合するとすれば、以下の図1のようになります。

図1 財市場と貨幣市場との関係
ここでは、投資Iと貯蓄Sの均衡のもとで成立する所得と利子率の組み合わせを結んだ曲線をIS曲線といいます。Yが決まると、貨幣需要Lが決まるので、貨幣需要と貨幣供給Mが均衡するもとでの所得と利子率を結ぶ曲線LM曲線が導出されます。そして、それによって、投資水準が決定されます。

図2 IS曲線の導出
次に、IS曲線とLM曲線を導出することにします。まず、IS曲線ですが通常は図2のような4象限グラフを用いると容易に導出することができます。
このグラフの特徴は、第2象限に投資曲線(投資関数)、第4象限に貯蓄曲線(貯蓄曲線)を描き、投資と貯蓄の均衡、すなわちI=Sを第3象限に描きます。
いま、利子率がi0であるとすれば、投資はI0です。I0に等しい貯蓄水準はS0であり、それに対応する所得はY0です。こうして、I0=S0のもとでのi0とY0の組み合わせは第1象限のaとなります。
次に、 利子率がi1であるとすれば、投資はI1です。I1に等しい貯蓄水準はS1であり、それに対応する所得はY1です。こうして、I1=S1のもとでのi1とY1の組み合わせは第1象限のbとなります。このようにして導かれた第1象限のaとbを結んだ曲線をIS曲線といいます。

図3 IS曲線の右側と左側の領域
なお、IS曲線の右側の領域にあるA点の貯蓄水準Saと投資水準Iaを比較すると、Sa>Iaで超過供給の状態なので、Yを減少させる力が働きます。
次に、IS曲線の左側の領域にあるB点の貯蓄水準Sbと投資水準Ibを比較すると、Sb<Ibで超過需要の状態なので、Yを増加させる力が働きます。
今度は、IS曲線が移動する場合を考えてみます。IS曲線が右方にシフトする主なケースは以下のとおりです。
(@)独立投資が増加すると、投資曲線が左方シフトするために。
(A)消費支出が増加すると、貯蓄曲線が右方シフトするために。
(B)政府支出が増加すると、第2象限の投資曲線がΔG分だけ左方シフトするために。(C)減税が行われると、独立投資が増加して、貯蓄曲線が右方シフトするために。
LM曲線の導出には、第2象限に投機的需要にもとづく貨幣需要(L2)、第4象限には取引需要にもとづく貨幣需要(L1)、第3象限には貨幣供給をMとすると、第3象限では貨幣市場の均衡を示すので、M=L1+
L2 が成立しています。

図4 LM曲線の導出
いま、利子率i0におけるL2 をAとし、第3象限より、そのときの貨幣供給はMなので、L1はBだけ利用されることになります。このBに対する所得は、Y0
で利子率i0と所得Y0 に対応する第1象限の座標はaとなります。同様に利子率がi1の時、所得Y1が対応して、対応する座標はbとなります。このaとbを結んだものがLM曲線になります。

図5 LM曲線の右側と左側の領域
なお、図5よりLM曲線の左側の領域A点では、第3象限のa点で貨幣需要が定まり、貨幣需要をLaとすれば、M>Laで貨幣市場は超過供給になっています。
LM曲線の右側の領域B点では、第3象限のb点で貨幣需要が定まり、貨幣需要をLbとすれば、M<Lbで貨幣市場は超過需要になっています。
今度は、LM曲線が移動する場合を考えると、貨幣需要L1、L2のどちらかが変化するか、貨幣供給Mが増減した場合にシフトしますが、一般的には、貨幣供給の変化によるLM曲線のシフトがよく利用されます。