中谷マクロ(第4版)を読む その3

 

第3章 マクロ経済分析の基本的枠組み:短期と長期


<短期と長期>
*マクロ経済学で使う時間の概念は、必ずしも歴史的時間ではなく、いわば「抽象的な時間」である。具体的に測定のできない時間である。

短期(short−run)

需要と供給に不一致があったとしても価格が変化しない期間。固定価格経済

長期(long−run)

需要と供給に不一致があった場合に、価格が変動し、それによって需要と供給が調節されるのに十分な期間。
伸縮価格経済


*長期に、価格が変化することによって需要と供給が一致した状態を「長期均衡」と呼ぶ。

<「短期」のマクロ経済モデル>
(1)短期においては、総供給曲線ASは水平な曲線になる。
つまり、一度決められた価格は、ある程度以上の生産コスト変動がないかぎり、頻繁に変更することはない。このように、短期においては、産出量は固定された価格のもとで多くなったり、少なくなったりする。

(2)産出量は「有効需要」の大きさによって決まる。
有名なケインズの「有効需要の原理」によれば、「需要が供給を、すなわち経済活動の水準を決定する」と考えられる。

*短期においては、需給不均衡は価格調整ではなく、数量調整に依存している。

<長期均衡>
*長期均衡:労働市場、財市場、資産市場における需要と供給の不一致が価格調整により解消し、すべての市場で需要と供給の均衡が成立した状態。

(1)長期均衡においては総供給は完全雇用GDPに等しく、総供給曲線ASは垂直な直線になる

(2)長期均衡においては、GDPの水準を決めるのは供給側の諸要因であり、需要側は物価水準に影響を与える以外、なんらの役割を果たさない。

*長期においては、公共事業、減税、金融緩和などの政府による総需要管理政策は、物価水準には影響を与えるが、経済活動の水準にはなんらの影響力をもたない。このような 「供給が需要を創る」考え方をセイの法則と呼びます。

*短期モデル:総需要管理政策はきわめて有効
長期モデル:物価水準に影響を与えるだけで、雇用や実質GDPなどの実物経済には影響力をもたない。

*「価格の調整能力に対する判断」の問題は、マクロ経済政策の有効性を巡る議論の中心的位置を占めている。


(2001年8月1日)

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