中谷マクロ(第4版)を読む その2


 第2章 GDPの概念と物価指数

<GDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)> 

GDP(国内総生産)

ある一定期間に、分析の対象とされる「ある国の経済において」、 「生産された」、すべての財・サービスの付加価値額の「総額」である。
 @「ある国の経済において」とは、日本人によるものであれ外国人によるものであれ、日本国内で生産された価値の総計である。
 A「生産された」とは、各生産段階において「付加的に」生産されたという意味で使われる。
 B国内総生産は、単なる生産額の総計ではなく、各産業、各企業が作り出す付加価値の総計の統計である。

GNP(国民総生産)

ある一定期間に、生産される場所が国内であれ国外であれ、日本人の所得として計上されるものをすべて含む。


*最近では、@海外における日本人や日本企業の所得の把握が必ずしも簡単でないこと。 A国内景気の動向を見るのであれば、当該国の国民であれ、外国人であれ国内におけるすべての経済主体による経済活動を対象にしたほうが好都合であると考えられるという理由で、GDPが重視されるようになっている。 

<グロスとネット>

グロス(Gross)

国内総生産を定義するうえでの付加価値の総額としての「総」を意味する。

ネット(Net)

国民所得統計上の「純」を意味する。「純」とは、生産をする際に使用する機械、工具、プラントなどの既存の資本ストックに対して、その使用料(会計上の用語では減価償却、国民経済計算では固定資本減耗)を控除した金額を意味する。


<三面等価の原則>

*付加価値の合計として計上されたGDPは必ず、政府、家計、企業のいすれかの主体に分配されるので、以下のような関係が成立する。
GDP=家計の収入+企業の収入+政府の収入
=雇用者所得+営業余剰+固定資本減耗+間接税−補助金
@雇用者所得:家計部門の所得になる
A営業余剰:企業部門の営業部門の余剰として発生している
B固定資本減耗:期間中に減価した資本財価値に当たり、課税対象にならない
C「間接税−補助金」:直接税(所得税、法人税)以外の政府の純租税収入(消費税)を意味する

*生産されたGDPは、政府、家計、企業のいすれかの主体に分配され、所得となるので、 以下のような関係が成立する。
生産面から見たGDP=分配面から見たGDP

*国内総生産の支出面のことを「国内総支出」と呼び、以下のように定義される。
国内総支出=民間最終消費支出+政府最終消費支出+国内総資本形成
+在庫品増加+財貨・サービスの純輸出

*三面等価の原則とは、国内総生産を生産面、分配面、支出面でみようとすべて等しいことをいう。

<日本経済における三面等価>
最近の国民所得統計の数値により、三面等価の原則を検証してみよう。以下の数字は、
経済企画庁から刊行される「国民経済計算年報」による。


(a)生産面から見たGDP
*上記の表における生産主体は、@産業、A政府サービス生産者B対家計民間非営利サー ビス生産者である。

*政府サービス生産者対家計民間非営利サービス生産者のサービスは必ずしも、市場価格 に基づいて販売されるわけではないので、近似的に、生産者の付加価値は「サービスを 生産するのに費やされたコスト」で測られます。

(b)分配面から見たGDP
*国民所得(National Income)をNIとすると、以下のようにまとめる ことができる。
NI=GDP−(固定資本減耗分−<間接税−補助金>)+海外からの純要素所得
=雇用者所得+営業余剰 +海外からの純要素所得

<図解:マクロ経済循環と三面等価>



仮定1 GDPが100で、すべて企業が産み出すものとする。
仮定2 企業の減価償却は存在しないものとする

(1)分配面から見たGDP
法人税5 + 生産要素用役提供への見返り95 = 100

*家計の支出は、生産要素用役提供への見返り95を消費に60、所得税に10、残りの25を貯蓄するものとすると、すでに企業が政府に法人税を5おさめているので、分配された所得は以下のように処分されていると考えられる。
消費60+貯蓄25+税金15 =100

(2)支出面まら見たGDP
*貯蓄25は、金融機関を通じて、企業に17、政府に5、海外へ3融資され、以下のようになる
消費60+投資17+政府支出20+財・サービス収支黒字3=100

<若干の注意すべき事項>
*「帰属価値」の概念:市場で評価できない経済活動は「帰属価値」で計算する。つまり、 政府サービスの場合の帰属価値はかかった費用で計算している。
「帰属計算」とは、実際にはその財貨・サービスが市場で取引されることがないにも関わらず、あたかもそれが市場で取引きされたかのように擬制し、市場で取引きされた場合を想定して評価する国民所得計算上の特殊な概念。

*帰属計算の問題点
@部分的に行われているのに過ぎず、主婦の家事労働等は含まれない。
A市場取引の対象とならない「生活の質」の高低は含まれない。

(2001年7月31日)


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