国際ネットワーク大学コンソーシアム 平成12年10月23日(月)
第1回 IT革命と新事業の創出
一橋大学イノベーション研究センター長 米倉誠一郎
平成12年度の「知識社会論U」の開幕を飾った講義である。ところが、いきなり米倉氏の人を喰ったような態度が炸裂し、講義態度が余りにも悪いため、講義の内容よりもその悪態ぶりが目立つ結果となってしまいました。共同授業を初めて受講する生徒が多い中、いきなり悪い雰囲気になってしまったことを反省すべきだと思いました。とにかく、「東京に住んでいて、私は明日仕事があるので、今日中に新幹線でオジサンは帰らなければならない」などと禁句を発言しては困ると思いました。
私などは、郡上郡の山奥から、高速道路を使って50分かけて通学していた訳で、そのくらいの根性のある学生、いやむしろ「なけなしのお金」を払って講義を聴きに来ているお客様に対して失礼ではなかったかと思うのです。
とにかく、気を取り直して講義内容のレポートを続けます。おもに米倉氏は講義の中でIT革命の意義について述べていました。そのポイントは以下の3つです。
<IT革命の意義>
1 産業革命に匹敵する大変化により、人類は仮想空間を手に入れた
2 20世紀モデルを崩壊させた
3 新しいビジネス・モデルを提示した
個々について検討を加えると、1と2は何を意味するかというと、経済学の世界における完全競争市場成立条件の一部が達成されたと言うことである。それは「情報が完全であること」という従来は考えられなかったことがITによって可能になったということなのである。従って、現在は「大きな会社の広告よりも、ネット掲示板の書き込みが消費を変える時代」が到来しているのである。
次に、新しいビジネス・モデルの台頭が同時に、日本社会の問題点を提示していると米倉氏は述べていました。第1に、日本における産業構造において、製造業の占める割合は25%であり、サービス業が力を持つことが重要であると力説しました。つまり、モノだけ売っている日本企業がモノからソリューション(問題解決)へシフトしていくべきであると提言されたのです。第2に、日本はアメリカと比べて、廃業率が開業率よりも大きいため、縮小再生産にならざるをえないと言います。そして、第3に老齢化は人口だけではなく、会社にも起こっていると指摘し、新陳代謝の進むアメリカ社会を事例として解説されました。レーガン大統領時代の産業競争力会議に始まるアメリカ企業の産業構造の転換は、1990年代後半に花開いたと考えて良いと思いますが、その10年後にしか日本が取り組んでいないことに問題がありそうです。現在、日本企業の生き残り策として、リエンジニアリングとリストラクチャリング及びキャッシュフロー経営などが模索されています。しかし、激変するマーケットと俊敏な競争はハイテク市場においては、新製品の寿命がわずか3ヶ月しかもたず、周辺機器での競争にシフトしていると言います。
最後に、結論として、米倉氏は言います。「インターネットを中心とするネット・ビジネスはまだ何もルールが決まっていない。」従って、ベンチャービジネスは、失敗の方が断然多いわけで、「トラーアンドエラー、ロウ・エントリーリスクとハイ・リターンを中心に数を打つシステムの確立こそが重要である」と言いました。これは、NHK教育テレビの「21世紀ビジネス塾」の番組の中でも米倉氏が述べていたこと同じなので、十分に理解できるのではないでしょうか。
(2001年1月3日)