国際ネットワーク大学コンソーシアム  平成12年11月21日(火)

第10回 正岡子規の食欲と知識とカツ丼の地政学
         岐阜女子大学文学部教授 内藤厚
 

 本講義の当番校であり、ホスト校なので、仕方がないが、岐阜女子大学の教授の登場である。しかも、いきなり変な展開なので、いままでにない新鮮な物を感じたのも事実である。何を始めるのかと言えば、いきなり「丼」の写真のスライドを映して、食文化について語り始めるではないか。何を隠そう内藤厚教授は、雑誌「諸君」で丼物について考察し、2年半余り連載をしていたらしい。その時の名物編集長こそが、内藤氏だったそうである。
 内藤氏は、現在の食文化の伝承を強く望み、特に「丼物」を書物として残していくことに使命感を感じていたそうである。そこから、正岡子規の食道楽ぶりの話が展開された。内藤氏は、「諸君」の中で、賢者の食欲を担当し、その中で述べたことなのであるが、正岡子規は死に至る病床で、3つの不朽の名作を残したという。それは、「墨汁一滴」(エッセイ集)、「病床六尺」(続編)、「仰臥漫録」(秘密手記)である。
  その中で、正岡子規は、古今和歌集の紀貫之を「下らない」と批判したり、親友である夏目漱石を漱石が米が稲からできることを知らないことを馬鹿にしたりしたそうである。それと、正岡子規の美意識ぶりは、その食通ぶりに現れているそうである。
 特に、不朽の名作の中でも、「仰臥漫録」(秘密手記)は3度の食事、間食の記録がこと細かに記されており、病人とは思えぬ食欲にビックリする内容が目白押しだそうである。それだけでなく、たくさん食べては苦痛する様子が記されており、「仰臥漫録」から、子規を介護した母親と妹の献身ぶりも読みとれるらしい。
 内藤氏によれば、正岡子規はウナギが大好きで、かなりの食通であったが、もし生きているのならば、是非カツ丼を食べさせてやりたいという思いから、「カツ丼」の研究に没頭するようになったそうである。
 「カツ丼」の研究成果をスライドにて説明する内藤氏は、丼上(どんじょう)の具について写真を撮って、文章で説明してくれました。
以下がその内容です。
 ・カツ丼は、パン粉と卵としょう油味が江戸の味である。
 ・玉置宏が考えたソース味のカツ丼もある。
・カレーカツ丼も登場 → 東京や関東では、そば屋がカツ丼をやっているのが影響?
 ・ロースカツ丼からヒレカツ丼に変化
 ・大阪のカツ丼は、卵がないが、山椒が入っている。
・岡山のカツ丼は、しょう油味で、卵が上でカツが下という逆転現象が起きている。
 ・名古屋の味噌カツ丼には八丁味噌が入っている。
・岡山では、ドミグラスソースのカツを食べている。:岡山県は日本一の美食家か?
 ・岐阜県明智町のドミグラスソースのカツ丼もある
・新潟のカツ丼はウナギ丼とダブルである

(2001年3月19日)