金融マンなら、コレを読め!江上剛作品集

従来は、「経済小説への招待」というホームページの中で掲載していたのですが、作品数が増加して、江上さんの作品ばかりになってしまったので独立させることにしました。
タイトルは、やはり元銀行員の江上さんのメッセージを金融マンに理解して貰いたいと思い決めました。ここならば、気楽に江上作品だけ扱っても納得できるのではないでしょうか?ネットで検索して、月刊誌「フォーブス」掲載のコラムのタイトルもまとめてあります。
とりあえず、ご覧下さい。

(2009.5.11)

ただいま連載中

1 成り上がり:安田善次郎伝

 月刊誌「文蔵」(PHP研究所)で連載中の伝説の銀行家シリーズ第2弾である。第1弾は、三井銀行の池田成彬、そして第2弾では安田財閥の生みの親=安田善次郎が描かれている。
 幼名が、岩次郎で、貯蓄に励みながらも「千両の分限者」になることを夢見て故郷の富山を家出して、江戸に進出することになります。
 ところが、関所を抜けようとして、岐阜の高山、そして長野へ向かいますが、途中で雨宿りした宿での老人に説得されて、江戸行きを断念することになります。
 しかし、再び江戸に行こうと決心し、薬売りの籐兵衛の援助を受けて江戸に出発したのでありました。
 この先、どうやって「成り上がる」のだろうか?

回数 年月日 連載内容 読了日 
2009.1月号 第1章 神童誕生 3/23 
2009.2月号 第2章 寺子屋商人 3/24 
2009.3月号 第3章 最初の出奔 3/24
2009.4月号 第4章 親不孝  4/4
 5 2009.5月号 第5章 江戸へ 5/11

ピックアップ
1 我、弁明せず。

三井銀行の頭取、日銀総裁、大蔵大臣兼商工大臣と明治時代から昭和初期において、無類の活躍をした経済人=池田成彬だ。慶応大学からハーバード大学に留学したのに、非常に金銭的に苦労をさせられました。
そして、新聞記者を夢見て、福沢諭吉の主催する時事新報に就職するが、福沢を好きになれなくて、月給が安すぎるという理由で辞めてしまう。それが、銀行に就職するきっかけとなる。
銀行員の手腕は、不良債権処理に凄腕を発揮し、後の日本経済の運営に力を注ぐことになる。経済を重視し、戦争を批判した無骨の人。
そんな人物が21世紀の世の中にも必要なのかも知れない。昨今の日銀総裁人事において、「日銀総裁不在」という極めて異例の事態に、金融が政争の具となってしまっている非常事態を嘆かざるを得ない。


2 円満退社

ある銀行員が今日で退職して、退職金で悠々自適の老後を楽しみにしていたのに、最後の1日は大変な災厄の1日になってしまう。職員の失踪、裏金問題、金融庁の特別検査、不正融資などなど、退職金の行方は?「円満退社」とはほど遠い結末が待っているのだ!


3 頭取無惨
 

「頭取無惨」は短編集である。しかも、物語の舞台は銀行ばかり。単行本時代の「レジスタンス」というタイトルから分かるように、構造改革路線で、国際金融時代に入った日本の金融界をリアルに描いている。
書き下ろされた中編の「いつかの、本番のために」は同時期に連載された「M&Aのハムレット」「霞ヶ関中央合同庁舎第四号館ー金融庁物語」の中間的な要素を持った作品ではないでしょうか。
そんな読み方も楽しめます。


4 腐蝕の王国

この作品を連載当時から読むことができたことに驚いています。自分ではまったく気が付いていませんでしたが、季刊「文芸ポスト」において連載されていたのです。この雑誌では、幸田真音さんの「代行返上」西村京太郎さんの「兇悪な街」が連載されており、当時はそちらばかり読んでいました。
その裏でこんな凄い作品が連載されていたことに、ただただ驚いています。

5 非情銀行
 

この作品は、江上剛さんの衝撃のデビュー作です。実は、江上さんこそ「呪縛 金融腐蝕列島2」のモデルとなった銀行員らしいとのことです。江上さんは覆面作家としてデビューして以来、精力的な活動をされているので、いつか独立させて採り上げたいと思っています。

6 銀行告発

なぜか?この作品は、まさに「呪縛 金融腐蝕列島2」とまったく同じテーマを取り扱っています。実体験談なのか?

7 不当買収

「小説現代」連載当時は、「M&Aのハムレット」というタイトルでしたが、出版時は平凡なタイトルに。「ハムレット」という言葉をタイトルに使うことに抵抗でもあったのでしょうか?内容は、企業買収の世界に、男女の恋愛が盛り込まれたハラハラドキドキのストーリー。「読むべきか、読まないべきか。それが問題だ。」

8 平成「経済格差社会」

朝日新聞東京版で「街かど経済散歩」として連載されていたものをまとめたエッセイ集である。この作品の中に平成18年に出版された作品と平成18年から連載の始まった作品のエピソードがあった。つまり、PHPの「文蔵」で平成18年10月号から連載の始まった「我、弁明せず。」のサムライ経営者池田成彬(いけだせいひん)のことが採り上げられているし、金融庁の金融検査を取り扱った作品「霞ヶ関中央合同庁舎第四号館ー金融庁物語」の取材の裏話も書かれています。特に、「金融庁物語」の方は「月刊Jノベルズ」での雑誌連載時から読んでいたので感慨深いものがあります。

9 総会屋勇次

江上さんの作品には珍しいアウトローであるアンチヒーローの木下勇次が活躍する短編連作式の長編作品である。資本主義社会の矛盾に鋭く切り込んだ作品となっているような気がしました。

江上剛作品集

番号 作     品     名 出版社名 文庫・新書・ハード 短編・長編 ページ数 出版時期 読書期間あるいは読了日
1 非情銀行 新潮社 文庫 長編 373 読了
2 起死回生 新潮社 文庫 長編 543 平成15年3月 平成17年8月18日〜22日
3 大罪 徳間書店 ハード 長編 384 平成18年4月30日 平成18年6月5日〜8日
4 霞ヶ関中央合同庁舎第四号館ー金融庁物語 実業之日本社 ハード 長編 363 平成18年6月18日 平成18年6月21日〜23日
5 銀行告発 光文社 文庫 長編 401 平成18年10月 平成18年10月13日〜15日
6 不当買収 講談社 ハード 長編 387 平成18年9月 平成18年10月15日〜17日
7 平成「経済格差社会」 講談社 ハード エッセイ集 233 平成18年10月 平成19年1月1日
8 総会屋勇次 新潮社 文庫 長編 395 平成18年11月 平成19年1月1日〜2日
9 失格社員 新潮社 文庫オリジナル 短編 462 平成19年3月 平成19年5月4日〜7日
10 狂宴の果て 角川書店 ハード 長編 514 平成19年5月 平成19年6月24日〜29日
11 扶桑社 ハード 長編 370 平成19年8月 平成20年1月9日〜11日
12 腐蝕の王国 小学館 文庫 長編 777 平成17年4月 平成19年10月17日〜21日
13 円満退社 幻冬社 文庫 長編 477 平成19年12月 平成20年1月5日
14 頭取無惨 講談社 文庫 短編 374 平成19年12月 平成20年1月4日〜5日
15 日暮れてこそ 光文社 ハード 長編 平成19年11月 平成20年1月7日〜9日
16 会社を辞めるのは怖くない 幻冬社 新書 エッセイ集 171 平成17年3月 平成20年2月22日
17 我、弁明せず PHP出版社 ハード 長編 429 平成20年3月 平成20年3月19日〜22日
18 怒れるガバナンス 時事通信社 ハード エッセイ集 236 平成20年3月 平成20年3月18日〜19日
19 組織再生 PHP出版社 文庫 長編 474 平成20年4月 平成20年4月20日〜22日
20 戦いに終わりなし 最新アジアビジネス熱風録 文藝春秋社 ハード エッセイ集 270 平成20年4月 平成20年6月29日
21 非情人事 文藝春秋社 文庫 短編 277 平成20年5月 平成20年5月19日
22 座礁 朝日新聞社 文庫 長編 359 平成17年6月 平成20年6月8日〜10日
23 合併人事 29歳の憂鬱 幻冬社 文庫 長編 432 平成20年8月 平成20年8月11日
24 いつもそばにいるよ 実業之日本社 未出版 長編 月刊Jノベルズ
2007.11-2008.8に10回連載
平成20年8月13日〜15日
25 隠蔽指令 徳間書店 ハード 長編 349 問題小説
2007.10-2008.6に大幅加筆訂正
平成20年9月9日〜10日
26 社長失格 光文社 文庫オリジナル 短編 278 平成20年9月 平成20年9月12日〜13日
27  部下を活かす上司、殺す上司 幻冬社  文庫 エッセイ集  283  平成21年4月
「最高の上司が実践する哲学」を改題
平成21年4月20日〜21日

月刊フォーブス(ぎょうせい)連載コラム

2008年6月号 チームワークこそが最も力を発揮できる組織形態
5月号 ヒラリー候補と日本人のメンタリティー
4月号 職場の「絆」
3月号 企業に求められる「社会的営業免許」の概念
2月号 メガ食品ブームに思う
1月号 調査中
2007年12月号 「角を矯めて牛を殺す」の愚
11月号 若者にとって就職とは?転職ではなくて天職に
10月号 韓国コンテンツ・ビジネスのたくましさ
9月号 株長者も誕生、バブルに狂奔する中国
8月号 韓国人に教わる日本人が忘れてしまったこと
7月号 日本には見向きもしないアジアのエリート
6月号 昭和初期の暗黒時代と酷似の現在の状況
5月号 労基法改正の前にやるべきこと
4月号 「カントリーリスク」の怪
3月号 友好的TOBの中身
2月号 日本の「規律文化」は風前のともしび?
1月号 景気回復道半ば?いっこうに減らない自殺者数
2006年12月号 「TOB」報道の危うさ
11月号 産業再生機構が果たした役割
10月号 真の商人道はマネーゲームにあらず
9月号 「数値目標」とモラル
8月号 額に汗して働くことのたいせつさ
7月号 従業員が働く幸せを実感できる会社
6月号 団塊世代を元気づける映画の復活
5月号 シェア争いは誰を喜ばす?
4月号 失敗するトップの共通性
3月号 トップに求められる現場主義
2月号 経営者はどこを向いて経営していくべきか?
1月号 再考「もったいない」論
2005年12月号 「やおよろず」は世界に誇れる日本的考え方
11月号 2007年問題をポジティブにとらえよう
10月号 「ムラは時代の最先端」という皮肉
9月号 悲しきかな「良きに計らえ」式経営