母子保健法

昭和40年8月18日 法律第141号

最終改正 平成11年12月22日 法律第160号

※ 上記以前の改正で未確認の部分があります。

目次

 第1章 総則(第1条−第8条の3)
 第2章 母子保健の向上に関する措置(第9条−第21条の4)
 第3章 母子保健施設(第22条)
 第4章 雑則(第23条−第26条)


第1章 総則

第1条(目的)

 この法律は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医務その他の措置を講じ、もつて国民保健の向上に寄与することを目的とする。


第2条(母性の尊重)

 母性は、すべての児童がすこやかに生まれ、かつ、育てられる基盤であることにかんがみ、尊重され、かつ、保護されなければならない。


第3条(乳幼児の健康の保持増進)

 乳児及び幼児は、心身ともに健全な人として成長してゆくために、その健康が保持され、かつ、増進されなければならない。


第4条(母性及び保護者の努力)

1 母性は、みずからすすんで、妊娠、出産又は育児についての正しい理解を深め、その健康の保持及び増進に努めなければならない。

2 乳児又は幼児の保護者は、みずからすすんで、育児についての正しい理解を深め、乳児又は幼児の健康の保持及び増進に努めなければならない。


第5条(国及び地方公共団体の責務)

1 国及び地方公共団体は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に努めなければならない。

2 国及び地方公共団体は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関する施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前3条に規定する母子保健の理念が具現されるように配慮しなければならない。


第6条(用語の定義)

1 この法律において「妊産婦」とは、妊娠中又は出産後1年以内の女子をいう。

2 この法律において「乳児」とは、1歳に満たない者をいう。

3 この法律において「幼児」とは、満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者をいう。

4 この法律において「保護者」とは、親権を行なう者、後見人その他の者で、乳児又は幼児を現に監護する者をいう。

5 この法律において「新生児」とは、出生後28日を経過しない乳児をいう。

6 この法律において「未熟児」とは、身体の発育が未熟のまま出生した乳児であつて、正常児が出生時に有する諸機能を得るに至るまでのものをいう。


第7条(児童福祉審議会の権限)

 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第8条に規定する児童福祉審議会(中央児童福祉審議会、都道府県児童福祉審議会(同条第2項ただし書に規定する都道府県にあつては、地方社会福祉審議会。以下この条において同じ。)及び市町村児童福祉審議会をいう。)は、母子保健に関する事項につき、調査審議するほか、中央児童福祉審議会は厚生労働大臣の、都道府県児童福祉審議会は都道府県知事の、市町村児童福祉審議会は市町村長の諮問にそれぞれ答え、又は関係行政機関に意見を具申することができる。


第8条(都道府県の援助等)

 都道府県は、この法律の規定により市町村が行う母子保健に関する事業の実施に関し、市町村相互間の連絡調整を行い、及び市町村の求めに応じ、その設置する保健所による技術的事項についての指導、助言その他当該市町村に対する必要な技術的援助を行うものとする。


第8条の2(実施の委託)

 市町村は、この法律に基づく母子保健に関する事業の一部について、病院若しくは診療所又は医師、助産婦その他適当と認められる者に対し、その実施を委託することができる。


第8条の3(連携及び調和の確保)

 都道府県及び市町村は、この法律に基づく母子保健に関する事業の実施に当たつては、学校保健法(昭和33年法律第56号)、児童福祉法その他の法令に基づく母性及び児童の保健及び福祉に関する事業との連携及び調和の確保に努めなければならない。


第2章 母子保健の向上に関する措置

第9条(知識の普及)

 都道府県及び市町村は、母性又は乳児若しくは幼児の健康の保持及び増進のため、妊娠、出産又は育児に関し、相談に応じ、個別的又は集団的に、必要な指導及び助言を行い、並びに地域住民の活動を支援すること等により、母子保健に関する知識の普及に努めなければならない。


第10条(保健指導)

 市町村は、妊産婦若しくはその配偶者又は乳児若しくは幼児の保護者に対して、妊娠、出産又は育児に関し、必要な保健指導を行い、又は医師、歯科医師、助産婦若しくは保健婦について保健指導を受けることを勧奨しなければならない。


第11条(新生児の訪問指導)

1 市町村長は、前条の場合において、当該乳児が新生児であつて、育児上必要があると認めるときは、医師、保健婦、助産婦又はその他の職員をして当該新生児の保護者を訪問させ、必要な指導を行わせるものとする。ただし、当該新生児につき、第19条の規定による指導が行われるときは、この限りでない。

2 前項の規定による新生児に対する訪問指導は、当該新生児が新生児でなくなつた後においても、継続することができる。


第12条(健康診査)

 市町村は、次に掲げる者に対し、厚生労働省令の定めるところにより、健康診査を行わなければならない。
  1.  満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児
  2.  満3歳を超え満4歳に達しない幼児


第13条

 前条の健康診査のほか、市町村は、必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない。


第14条(栄養の摂取に関する援助)

 市町村は、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、栄養の摂取につき必要な援助をするように努めるものとする。


第15条(妊娠の届出)

 妊娠した者は、厚生労働省令で定める事項につき、速やかに、保健所を設置する市又は特別区においては保健所長を経て市長又は区長に、その他の市町村においては市町村長に妊娠の届出をするようにしなければならない。


第16条(母子健康手帳)

1 市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない。

2 妊産婦は、医師、歯科医師、助産婦又は保健婦について、健康診査又は保健指導を受けたときは、そのつど、母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならない。乳児又は幼児の健康診査又は保健指導を受けた当該乳児又は幼児の保護者についても、同様とする。

3 母子健康手帳の様式は、厚生労働省令で定める。


第17条(妊産婦の訪問指導等)

1 第13条の規定による健康診査を行つた市町村の長は、その結果に基づき、当該妊産婦の健康状態に応じ、保健指導を要する者については、医師、助産婦、保健婦又はその他の職員をして、その妊産婦を訪問させて必要な指導を行わせ、妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれがある疾病にかかつている疑いのある者については、医師又は歯科医師の診療を受けることを勧奨するものとする。

2 市町村は、妊産婦が前項の勧奨に基づいて妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれがある疾病につき医師又は歯科医師の診療を受けるために必要な援助を与えるように努めなければならない。


第18条(低体重児の届出)

 体重が2,500グラム未満の乳児が出生したときは、その保護者は、速やかに、その旨をその乳児の現在地の都道府県、保健所を設置する市又は特別区に届け出なければならない。


第19条(未熟児の訪問指導)

1 都道府県、保健所を設置する市又は特別区の長は、その区域内に現在地を有する未熟児について、養育上必要があると認めるときは、医師、保健婦、助産婦又はその他の職員をして、その未熟児の保護者を訪問させ、必要な指導を行わせるものとする。

2 第11条第2項の規定は、前項の規定による訪問指導に準用する。

3 都道府県知事は、第1項の規定による訪問指導を行うときは、当該未熟児の現在地の市町村長(保健所を設置する市の市長及び特別区の区長を除く。)に、その旨を通知しなければならない。


第20条(養育医療)

1 都道府県、保健所を設置する市又は特別区は、養育のため病院又は診療所に入院することを必要とする未熟児に対し、その養育に必要な医療(以下「養育医療」という。)の給付を行い、又はこれに代えて養育医療に要する費用を支給することができる。

2 前項の規定による費用の支給は、養育医療の給付が困難であると認められる場合に限り、行なうことができる。

3 養育医療の給付の範囲は、次のとおりとする。

  1.  診察
  2.  薬剤又は治療材料の支給
  3.  医学的処置、手術及びその他の治療
  4.  病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
  5.  移送

4 養育医療の給付は、厚生労働大臣又は都道府県知事が次項の規定により指定する病院若しくは診療所又は薬局(以下「指定養育医療機関」という。)に委託して行なうものとする。

5 厚生労働大臣は、国が開設した病院若しくは診療所又は薬局についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院若しくは診療所又は薬局についてその開設者の同意を得て、第1項の規定による養育医療を担当させる機関を指定する。

6 児童福祉法第21条並びに第21条の9第6項及び第7項の規定は、指定養育医療機関について、同法第21条の2から第21条の4までの規定は、養育医療の給付について、同法第21条の5の規定は、養育医療に要する費用について準用する。この場合において、同法第21条の3第4項及び第21条の4第2項中「都道府県」とあるのは、「都道府県、保健所を設置する市又は特別区」と読み替えるものとする。


第20条の2(医療施設の整備)

 国及び地方公共団体は、妊産婦並びに乳児及び幼児の心身の特性に応じた高度の医療が適切に提供されるよう、必要な医療施設の整備に努めなければならない。


第20条の3(調査研究の推進)

 国は、乳児及び幼児の障害の予防のための研究その他母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進のため必要な調査研究の推進に努めなければならない。


第21条(費用の支弁)

1 市町村が行う第12条の規定による健康診査に要する費用は、当該市町村の支弁とする。

2 都道府県、保健所を設置する市又は特別区が行う第20条の規定による措置に要する費用は、当該都道府県、当該市又は当該特別区の支弁とする。


第21条の2(都道府県の負担)

 都道府県は、政令の定めるところにより、前条第1項の規定により市町村が支弁する費用については、その3分の1を負担するものとする。


第21条の3(国の負担)

 国は、政令の定めるところにより、第21条第1項の規定により市町村が支弁する費用についてはその3分の1を、同条第2項の規定により都道府県、保健所を設置する市及び特別区が支弁する費用についてはその2分の1を負担するものとする。


第21条の4(費用の徴収)

1 第20条の規定による養育医療の給付に要する費用を支弁した都道府県、保健所を設置する市又は特別区の長は、当該措置を受けた者又はその扶養義務者(民法(明治29年法律第89号)に定める扶養義務者をいう。)から、その負担能力に応じて、当該措置に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の都道府県知事又は市町村長に嘱託することができる。

3 第1項の規定により徴収される費用を、指定の期限内に納付しない者があるときは、地方税の滞納処分の例により処分することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。


第3章 母子保健施設

第22条

1市町村は、必要に応じ、母子健康センターを設置するように努めなければならない。

2 母子健康センターは、母子保健に関する各種の相談に応ずるとともに、母性並びに乳児及び幼児の保健指導を行ない、又はこれらの事業にあわせて助産を行なうことを目的とする施設とする。


第4章 雑則

第23条(非課税)

 第20条の規定により支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課することができない。


第24条(差押えの禁止)

 第20条の規定により金品の支給を受けることとなつた者の当該支給を受ける権利は、差し押えることができない。


第25条 削除


第26条(大都市等の特例)

1 この法律中都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市若しくは中核市(以下「指定都市等」という。)が処理し、又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員に関する規定は、指定都市等又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員に関する規定として、指定都市等又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員に適用があるものとする。

2 前項の規定により指定都市等の長がした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。


第28条(権限の委任)

1 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。


附則(平成11年12月22日法律第160号)〔抄〕

第1条(施行期日)

 この法律〔括弧書省略〕は、平成13年1月6日から施行する。〔以下省略〕

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