行政不服審査法

昭和37年9月15日 法律第160号

最終改正 平成11年12月22日 法律第160号


第1章 総則

第1条(この法律の趣旨)

1 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

2 行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。


第2条(定義)

1 この法律にいう「処分」には、各本条に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの(以下「事実行為」という。)が含まれるものとする。

2 この法律において「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他の公権力の行使に当たる行為をすべきにもかかわらず、これをしないことをいう。


第3条(不服申立ての種類)

1 この法律による不服申立ては、行政庁の処分又は不作為について行なうものにあつては審査請求又は異議申立てとし、審査請求の裁決を経た後さらに行なうものにあつては再審査請求とする。

2 審査請求は、処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)以外の行政庁に対してするものとし、異議申立ては、処分庁又は不作為庁に対してするものとする。


第4条(処分についての不服申立てに関する一般概括主義)

1 行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第6条の定めるところにより、審査請求又は異議申立をすることができる。
 ただし、次の各号に掲げる処分及び他の法律に審査請求又は異議申立をすることができない旨の定めがある処分については、この限りでない。
  1.  国会の両院若しくは一院又は議会の議決によって行われる処分
  2.  裁判所若しくは裁判官の裁判により又は裁判の執行として行われる処分
  3.  国会の両院若しくは一院又は議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上で行われるべきものとされている処分
  4.  検察官会議で決すべきものとされている処分
  5.  当時者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
  6.  刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行なう処分
  7.  国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づき、国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づきこれらの職務を行なう者を含む。)が行なう処分
  8.  学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対して行われる処分
  9.  刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するために、被収容者に対して行われる処分
  10.  外国人の出入国又は帰化に関する処分
  11.  もっぱら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分

2 前項ただし書の規定は、同項ただし書きの規定により審査請求又は異議申立てをすることができない処分につき、別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。


第5条(処分についての審査請求)

1 行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。
  1.  処分庁に上級庁があるとき。
     ただし、処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれにおかれる庁の長であるときを除く。
  2.  前号に該当しない場合であって、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。

2 前項の審査請求は、同項第1号の場合にあっては、法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に特別の定めがある場合を除くほか、処分庁の直近上級庁に、同項第2号の場合にあっては、当該法律又は条例に定める行政庁に対してするものとする。


第6条(処分についての異議申立て)

 行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。
 ただし、第1号又は第2号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。
  1.  処分庁に上級行政庁がないとき。
  2.  処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
  3.  前2号に該当しない場合であって、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき。


第7条(不作為についての不服申立て)

 行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級庁に対する審査請求のいずれかをすることができる。
 ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれらに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。


第8条(再審査請求)

1 次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
  1.  法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
  2.  審査請求ができる処分につき、その処分をする権限を有する行政庁(以下「原権限庁」という。)がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、原権限庁が審査庁として裁決をしたとき。

2 再審査請求は、前項第1号の場合にあっては、当該法律又は条例に定める行政庁に、同項第2号の場合にあっては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁に対するものとする。

3 再審査請求をすることができる処分につき、その原権限庁がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る再審査請求につき、原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁が再審査庁としてした裁決に不服がある者は、さらに再審査請求をすることができる。
 この場合においては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る再審査請求についての再審査庁に対して、その請求をするものとする。


第2章 手続

 第1節 通則

第9条(不服申立ての方式)

1 この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。

2 不服申立書は、異議申立ての場合を除き、正副2通を提出しなければならない。


第10条(法人でない社団又は財団の不服申立て)

 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。


第11条(総代)

1 多数人が共同して不服申立てをしようとするときは、3人をこえない総代を互選することができる。

2 共同不服申立て人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、審査庁(異議申立てにあっては処分庁又は不作為庁、再審査請求にあっては再審査庁)は、総代の互選を命ずることができる。

3 総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。

4 総代が選任されたときは、共同不服申立て人は、総代を通じてのみ、前項の行為をすることができる。

5 共同不服申立て人に対する行政庁の通知その他の行為は、2人以上の総代が選任されている場合においても、1人の総代に対してすれば足りる。

6 共同不服申立人は、必要があると認めるときは、総代を解任することができる。


第12条(代理人による不服申立て)

1 不服申立ては、代理人によってすることができる。

2 代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。
 ただし、不服申立ての取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。


第13条(代表者の資格の証明等)

1 代表者若しくは管理人、総代又は代理人の資格は、書面で証明しなければならない。
 前条第2項ただし書に規定する特別の委任についても、同様とする。

2 代表者若しくは管理人、総代又は代理人がその資格を失ったときは、不服申立人は、書面でその旨を審査庁(異議申立てにあっては処分庁又は不作為庁、再審査請求にあっては再審査庁)に届け出なければならない。


 第2節 処分についての審査請求

第14条(審査請求期間)

1 審査請求は、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して60日以内(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定があつたことを知つた日の翌日から起算して30日以内)に、しなければならない。
 ただし、天災その他審査請求をしなかつたことについてやむをえない理由があるときは、この限りでない。

2 前項ただし書の場合における審査請求は、その理由がやんだ日の翌日から起算して1週間以内にしなければならない。

3 審査請求は、処分(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定)があつた日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。
 ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

4 審査請求書を郵便で提出した場合における審査請求期間の計算については、郵送に要した日数は、算入しない。


第15条(審査請求書の記載事項)

1 審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
  1.  審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
  2.  審査請求に係る処分
  3.  審査請求に係る処分があつたことを知つた年月日
  4.  審査請求の趣旨及び理由
  5.  処分庁の教示の有無及びその内容
  6.  審査請求の年月日

2 審査請求人が、法人その他の社団若しくは財団であるとき、総代を互選したとき、又は代理人によつて審査請求をするときは、審査請求書には、前項各号に掲げる事項のほか、その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏名及び住所を記載しなければならない。

3 審査請求書には、前2項に規定する事項のほか、第20条第2号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には、異議申立てをした年月日を、同条第3号の規定により異議申立てについての決定を経ないで審査請求をする場合には、その決定を経ないことについての正当な理由を記載しなければならない。

4 審査請求書には、審査請求人(審査請求人が法人その他の社団又は財団であるときは代表者又は管理人、総代を互選したときは総代、代理人によつて審査請求をするときは代理人)が押印しなければならない。


第16条(口頭による審査請求)

 口頭で審査請求をする場合には、前条第1項から第3項までに規定する事項を陳述しなければならない。
 この場合においては、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、陳述人に押印させなければならない。


第17条(処分庁経由による審査請求)

1 審査請求は、処分庁を経由してすることもできる。
 この場合には、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し第15条第1項から第3項までに規定する事項を陳述するものとする。

2 前項の場合には、処分庁は、直ちに、審査請求書の正本又は審査請求録取書(前条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下同じ。)を審査庁に送付しなければならない。

3 第1項の場合における審査請求期間の計算については、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し当該事項を陳述した時に、審査請求があつたものとみなす。


第18条(誤った教示をした場合の救済)

1 審査請求をすることができる処分(異議申立てをすることもできる処分を除く。)につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書の正本及び副本を処分庁又は審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。

2 前項の規定により処分庁に審査請求書の正本及び副本が送付されたときは、処分庁は、すみやかに、その正本を審査庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。

3 第1項の処分につき、処分庁が誤つて異議申立てをすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に異議申立てがされたときは、処分庁は、すみやかに、異議申立書又は異議申立録取書(第48条において準用する第16条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下同じ。)を審査庁に送付し、かつ、その旨を異議申立人に通知しなければならない。

4 前3項の規定により審査請求書の正本又は異議申立書若しくは異議申立録取書が審査庁に送付されたときは、はじめから審査庁に審査請求がされたものとみなす。


第19条

 処分庁が誤つて法定の期間よりも長い期間を審査請求期間として教示した場合において、その教示された期間内に審査請求がされたときは、当該審査請求は、法定の審査請求期間内にされたものとみなす。


第20条(異議申立ての前置)

 審査請求は、当該処分につき異議申立てをすることができるときは、異議申立てについての決定を経た後でなければ、することができない。
 ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
  1.  処分庁が、当該処分につき異議申立てをすることができる旨を教示しなかつたとき。
  2.  当該処分につき異議申立てをした日の翌日から起算して3箇月を経過しても、処分庁が当該異議申立てにつき決定をしないとき。
  3.  その他異議申立てについての決定を経ないことにつき正当な理由があるとき。


第21条(補正)

 審査請求が不適法であつて補正することができるものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。


第22条(弁明書の提出)

1 審査庁は、審査請求を受理したときは、審査請求書の副本又は審査請求録取書の写しを処分庁に送付し、相当の期間を定めて、弁明書の提出を求めることができる。

2 弁明書は、正副2通を提出しなければならない。

3 処分庁から弁明書の提出があつたときは、審査庁は、その副本を審査請求人に送付しなければならない。
 ただし、審査請求の全部を容認すべきときは、この限りでない。


第23条(反論書の提出)

 審査請求人は、弁明書の副本の送付を受けたときは、これに対する反論書を提出することができる。
 この場合において、審査庁が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。


第24条(参加人)

1 利害関係人は、審査庁の許可を得て、参加人として当該審査請求に参加することができる。

2 審査庁は、必要があると認めるときは、利害関係人に対し、参加人として当該審査請求に参加することを求めることができる。


第25条(審理の方式)

1 審査請求の審理は、書面による。
 ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。

2 前項ただし書の場合には、審査請求人又は参加人は、審査庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。


第26条(証拠書類等の提出)

 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
 ただし、審査庁が、証拠書類又は証拠物を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。


第27条(参考人の陳述及び鑑定の要求)

 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知つている事実を陳述させ、又は鑑定を求めることができる。


第28条(物件の提出要求)

 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求め、かつ、その提出された物件を留め置くことができる。


第29条(検証)

1 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。

2 審査庁は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を申立人に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。


第30条(審査請求人又は参加人の審尋)

 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求人又は参加人を審尋することができる。


第31条(職員による審理手続)

 審査庁は、必要があると認めるときは、その庁の職員に、第25条第1項ただし書の規定による審査請求人若しくは参加人の意見の陳述を聞かせ、第27条の規定による参考人の陳述を聞かせ、第29条第1項の規定による検証をさせ、又は前条の規定による審査請求人若しくは参加人の審尋をさせることができる。


第32条(他の法令に基づく調査権との関係)

 前5条の規定は、審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。


第33条(処分庁からの物件の提出及び閲覧)

1 処分庁は、当該処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を審査庁に提出することができる。

2 審査請求人又は参加人は、審査庁に対し、処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。
 この場合において、審査庁は、第3者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

3 審査庁は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。


第34条(執行停止)

1 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をすることができる。

3 処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取したうえ、執行停止をすることができる。
 ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をすることはできない。

4 前2項の規定による審査請求人の申立てがあつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。
 ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。

5 前3項の場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によつて目的を達することができるときは、することができない。

6 執行停止の申立てがあつたときは、審査庁は、すみやかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。


第35条(執行停止の取消し)

 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼし、又は処分の執行若しくは手続の続行を不可能とすることが明らかとなつたとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。


第36条(手続の併合又は分離)

 審査庁は、必要があると認めるときは、数個の審査請求を併合し、又は併合された数個の審査請求を分離することができる。


第37条(手続の承継)

1 審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。

2 審査請求人について合併があつたときは、合併後存続する法人その他の社団若しくは財団又は合併により設立された法人その他の社団若しくは財団は、審査請求人の地位を承継する。

3 前2項の場合には、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は法人その他の社団若しくは財団は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。
 この場合には、届出書には、死亡による権利の承継又は合併の事実を証する書面を添附しなければならない。

4 第1項又は第2項の場合において、前項の規定による届出がされるまでの間において、死亡者又は合併前の法人その他の社団若しくは財団にあててされた通知その他の行為が審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は合併後の法人その他の社団若しくは財団に到達したときは、これらの者に対する通知その他の行為としての効力を有する。

5 第1項の場合において、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者が2人以上あるときは、その1人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなす。

6 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる。


第38条(審査庁が裁決をする権限を有しなくなった場合の措置)

 審査庁が審査請求を受理した後法令の改廃により当該審査請求につき裁決をする権限を有しなくなつたときは、当該行政庁は、審査請求書又は審査請求録取書及び関係書類その他の物件を新たに当該審査請求につき裁決をする権限を有することになつた行政庁に引き継がなければならない。
 この場合においては、その引継ぎを受けた行政庁は、すみやかに、その旨を審査請求人及び参加人に通知しなければならない。


第39条(審査請求の取下げ)

1 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。

2 審査請求の取下げは、書面でしなければならない。


第40条(裁決)

1 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

2 審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3 処分(事実行為を除く。)についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、裁決で、当該処分の全部又は一部を取り消す。

4 事実行為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、処分庁に対し当該事実行為の全部又は一部を撤廃すべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。

5 前2項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。
 ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。

6 処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。
 この場合には、審査庁は、裁決で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。


第41条(裁決の方式)

1 裁決は、書面で行ない、かつ、理由を附し、審査庁がこれに記名押印をしなければならない。

2 審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請求をすることができる旨並びに再審査庁及び再審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない。


第42条(裁決の効力発生)

1 裁決は、審査請求人(当該審査請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における第40条第3項から第5項までの規定による裁決にあつては、審査請求人及び処分の相手方)に送達することによつて、その効力を生ずる。

2 裁決の送達は、送達を受けるべき者に裁決書の謄本を送付することによつて行なう。
 ただし、送達を受けるべき者の所在が知れないとき、その他裁決書の謄本を送付することができないときは、公示の方法によつてすることができる。

3 公示の方法による送達は、審査庁が裁決書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を当該審査庁の掲示場に掲示し、かつ、その旨を官報その他の公報又は新聞紙に少なくとも1回掲載してするものとする。
 この場合においては、その掲示を始めた日の翌日から起算して2週間を経過した時に裁決書の謄本の送付があつたものとみなす。

4 審査庁は、裁決書の謄本を参加人及び処分庁に送付しなければならない。


第43条(裁決の拘束力)

1 裁決は、関係行政庁を拘束する。

2 申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し若しくは棄却した処分が裁決で取り消されたときは、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。

3 法令の規定により公示された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、処分庁は、当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。

4 法令の規定により処分の相手方以外の利害関係人に通知された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、処分庁は、その通知を受けた者(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、又は変更された旨を通知しなければならない。


第44条(証拠書類等の返還)

 審査庁は、裁決をしたときは、すみやかに、第26条の規定により提出された証拠書類又は証拠物及び第28条の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件をその提出人に返還しなければならない。


 第3節 処分についての異議申立て

第45条(異議申立て期間)

 異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して60日以内にしなければならない。


第46条(誤った教示をした場合の救済)

1 異議申立てをすることができる処分につき、処分庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合(審査請求をすることもできる処分につき、処分庁が誤つて審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合を含む。)において、その教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、当該行政庁は、すみやかに、審査請求書を当該処分庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。

2 前項の規定により審査請求書が処分庁に送付されたときは、はじめから処分庁に異議申立てがされたものとみなす。


第47条(決定)

1 異議申立てが法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。

2 異議申立てが理由がないときは、処分庁は、決定で、当該異議申立てを棄却する。

3 処分(事実行為を除く。)についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
 ただし、異議申立人の不利益に当該処分を変更することができず、また、当該処分が法令に基づく審議会その他の合議制の行政機関の答申に基づいてされたものであるときは、さらに当該行政機関に諮問し、その答申に基づかなければ、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更することができない。

4 事実行為についての異議申立てが理由があるときは、処分庁は、当該事実行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更するとともに、決定で、その旨を宣言する。
 ただし、異議申立人の不利益に事実行為を変更することができない。

5 処分庁は、審査請求をすることもできる処分に係る異議申立てについて決定をする場合には、異議申立人が当該処分につきすでに審査請求をしている場合を除き、決定書に、当該処分につき審査請求をすることができる旨並びに審査庁及び審査請求期間を記載して、これを教示しなければならない。


第48条(審査請求に関する規定の準用)

 前節第14条第1項本文、第15条第3項第17条第18条第20条第22条第23条第33条第34条第3項第40条第1項から第5項まで、第41条第2項及び第43条を除く。)の規定は、処分についての異議申立てに準用する。


 第4節 不作為についての不服申立て

第49条(不服申立て書の記載事項)

 不作為についての異議申立書又は審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
  1.  異議申立人又は審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
  2.  当該不作為に係る処分その他の行為についての申請の内容及び年月日
  3.  異議申立て又は審査請求の年月日


第50条(不作為庁の決定その他の措置)

1 不作為についての異議申立てが不適法であるときは、不作為庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。

2 前項の場合を除くほか、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあつた日の翌日から起算して20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。


第51条(審査庁の裁決)

1 不作為についての審査請求が不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

2 不作為についての審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3 不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。


第52条(処分についての審査請求に関する規定の準用)

1 第15条第2項及び第4項第21条第37条から第39条まで、第41条第1項並びに第42条第1項から第3項までの規定は、不作為についての異議申立てに準用する。

2 第2節第14条第15条第1項及び第3項第16条から第20条まで、第24条第34条第35条第40条第41条第2項並びに第43条を除く。)の規定は、不作為についての審査請求に準用する。


 第5節 再審査請求

第53条(再審査請求期間)

 再審査請求は、審査請求についての裁決があつたことを知つた日の翌日から起算して30日以内にしなければならない。


第54条(裁決書の送付要求)

 再審査庁は、再審査請求を受理したときは、審査庁に対し、審査請求についての裁決書の送付を求めることができる。


第55条(裁決)

 審査請求を却下し又は棄却した裁決が違法又は不当である場合においても、当該裁決に係る処分が違法又は不当でないときは、再審査庁は、当該再審査請求を棄却する。


第56条(審査請求に関する規定の準用)

 第2節第14条第1項本文、第15条第3項第18条から第20条まで、第22条及び第23条を除く。)の規定は、再審査請求に準用する。


第3章 補則

第57条(審査庁等の教示)

1 行政庁は、審査請求若しくは異議申立て又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において単に「不服申立て」という。)をすることができる処分を書面でする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を教示しなければならない。

2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。

3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。

4 前3項の規定は、地方公共団体その他の公共団体に対する処分で、当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、適用しない。


第58条(教示をしなかった場合の不服申立て)

1 行政庁が前条の規定による教示をしなかつたときは、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。

2 前項の不服申立書については、第15条第3項を除く。)の規定を準用する。

3 第1項の規定により不服申立書の提出があつた場合において、当該処分が審査請求をすることができる処分であるとき(異議申立てをすることもできる処分であるときを除く。)は、処分庁は、すみやかに、当該不服申立書の正本を審査庁に送付しなければならない。当該処分が他の法令に基づき、処分庁以外の行政庁に不服申立てをすることができる処分であるときも、同様とする。

4 前項の規定により不服申立書の正本が送付されたときは、はじめから当該審査庁又は行政庁に審査請求又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。

5 第3項の場合を除くほか、第1項の規定により不服申立書が提出されたときは、はじめから当該処分庁に異議申立て又は当該法令に基づく不服申立てがされたものとみなす。


附則

1 この法律は、昭和37年10月1日から施行する。

2 訴願法(明治23年法律第105号)は、廃止する。

3 この法律は、この法律の施行前にされた行政庁の処分及びこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為についても、適用する。

4 この法律の施行前に提起された訴願については、この法律の施行後も、なお従前の例による。
 この法律の施行前にされた訴願の裁決又はこの法律の施行前に提起された訴願につきこの法律の施行後にされる裁決にさらに不服がある場合の不服申立てについても、同様とする。

5 訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立てにつき、この法律の施行前にされた行政庁の裁決、決定その他の処分については、附則第3項の規定にかかわらず、この法律による審査請求又は異議申立てをすることができない。
 前項の規定によりこの法律の施行後にされる訴願の裁決についても、同様とする。


附則(平成11年12月22日法律第160号)〔抄〕

第1条(施行期日)

 この法律〔括弧書省略〕は、平成13年1月6日から施行する。〔以下省略〕