原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
平成6年12月16日 法律第117号
最終改正 平成11年12月22日 法律第160号
※ 上記以前の改正でチェック漏れ有り
目次
第1章 総則(第1条−第2条)
第2章 原子爆弾被爆者医療審議会(第3条−第5条)
第3章 援護(第6条−第39条)
第4章 調査及び研究(第40条)
第5章 平和を祈念するための事業(第41条)
第6章 費用(第42条−第43条)
第7章 雑則(第44条−第54条)
第1章 総則
前文
昭和20年8月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾という比類のない破壊兵器は、幾多の尊い生命を一瞬にして奪ったのみならず、たとい一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした。
このような原子爆弾の放射能に起因する健康被害に苦しむ被爆者の健康の保持及び増進並びに福祉を図るため、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律を制定し、医療の給付、医療特別手当等の支給をはじめとする各般の施策を講じてきた。また、我らは、再びこのような惨禍が繰り返されることかないようにとの固い決意の下、世界唯一の原子爆弾の被爆国として、核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の確立を全世界に訴え続けてきた。
ここに、被爆後50年のときを迎えるに当たり、我らは、核兵器の究極的廃絶に向けての決意を新たにし、原子爆弾の惨禍が繰り返されることのないよう、恒久の平和を念願するとともに、国の責任において、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害であることにかんがみ、高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講じ、あわせて、国として原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記するため、この法律を制定する。
第1条(被爆者)
この法律において「被爆者」とは、次の各号のいずれかに該当する者であって、被爆者健康手帳の交付を受けたものをいう。
- 原子爆弾が投下された際当時の広島市若しくは長崎市の区域内又は政令で定めるこれらに隣接する区域内に在った者
- 原子爆弾が投下された時から起算して政令で定める期間内に前号に規定する区域のうちで政令で定める区域内に在った者
- 前2号に掲げる者のほか、原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者
- 前3号に掲げる者が当該各号に規定する事由に該当した当時その者の胎児であった者
第2条(被爆者健康手帳)
1 被爆者健康手帳の交付を受けようとする者は、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地とする。)の都道府県知事に申請しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による申請に基づいて審査し、申請者が前条各号のいずれかに該当すると認めるときは、その者に被爆者健康手帳を交付するものとする。
3 被爆者健康手帳に関し必要な事項は、政令で定める。
第2章 原子爆弾被爆者医療審議会
第3条(設置及び権限)
1 厚生労働大臣の諮問に応じ、被爆者の医療等に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省に原子爆弾被爆者医療審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、被爆者の医療等に関する事項につき、関係各大臣に意見を具申することができる。
第4条(委員)
1 審議会は、委員20人以内で組織する。
2 委員は、学識経験のある者のうちから厚生労働大臣が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、非常勤とする。
第5条(政令への委任)
この章に定めるもののほか、議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第3章 援護
第1節 通則
第6条(援護の総合的実施)
国は、被爆者の健康の保持及び増進並びに福祉の向上を図るため、都道府県並びに広島市及び長崎市と連携を図りながら、被爆者に対する援護を総合的に実施するものとする。
第2節 健康管理
第7条(健康診断)
都道府県知事は、被爆者に対し、毎年、厚生労働省令で定めるところにより、健康診断を行うものとする。
第8条(健康診断に関する記録)
都道府県知事は、前条の規定により健康診断を行ったときは、健康診断に関する記録を作成し、かつ、厚生労働省令で定める期間、これを保存するものとする。
第9条(指導)
都道府県知事は、第7条の規定による健康診断の結果必要があると認めるときは、当該健康診断を受けた者に対し、必要な指導を行うものとする。
第3節 医療
第10条(医療の給付)
1 厚生労働大臣は、原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかり、現に医療を要する状態にある被爆者に対し、必要な医療の給付を行う。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射能に起因するものでないときは、その者の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているため現に医療を要する状態にある場合に限る。
2 前項に規定する医療の給付の範囲は、次のとおりとする。
- 診察
- 薬剤又は治療材料の支給
- 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
- 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
- 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
- 移送
3 第1項に規定する医療の給付は、厚生労働大臣が第12条第1項の規定により指定する医療機関(以下「指定医療機関」という。)に委託して行うものとする。
第11条(認定)
1 前条第1項に規定する医療の給付を受けようとする者は、あらかじめ、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の認定を行うに当たっては、審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因すること又は起因しないことが明らかであるときは、この限りでない。
第12条(医療機関の指定)
1 厚生労働大臣は、その開設者の同意を得て、第10条第1項に規定する医療を担当させる病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)又は薬局を指定する。
2 指定医療機関は、30日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
3 指定医療機関が次条第1項の規定に違反したとき、担当医師に変更があったとき、その他指定医療機関に第10条第1項に規定する医療を担当させるについて著しく不適当であると認められる理由があるときは、厚生労働大臣は、その指定を取り消すことができる。
第13条(指定医療機関の義務)
1 指定医療機関は、厚生労働大臣の定めるところにより、第10条第1項に規定する医療を担当しなければならない。
2 指定医療機関は、第10条第1項に規定する医療を行うについて厚生労働大臣の行う指導に従わなければならない。
第14条(診療方針及び診療報酬)
1 指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
2 前項に規定する診療方針及び診療報酬の例によることができないとき又はこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。
第15条(診療報酬の審査及び支払)
1 厚生労働大臣は、指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を臨時審査し、かつ、指定医療機関が前条の規定により請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
2 指定医療機関は、厚生労働大臣が行う前項の規定による診療報酬の額の決定に従わなければならない。
3 厚生労働大臣は、第1項の規定による診療報酬の額の決定に当たっては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)に定める審査委員会、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
4 国は、指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。
5 第1項の規定による診療報酬の額の決定については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てをすることができない。
第16条(報告の請求及び検査)
1 厚生労働大臣は、前条第1項の規定による審査のため必要があるときは、指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員をして指定医療機関についてその管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
2 指定医療機関の管理者が、正当な理由がなく前項の規定による報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、厚生労働大臣は、当該指定医療機関に対する診療報酬の支払を一時差し止めることができる。
第17条(医療費の支給)
1 厚生労働大臣は、被爆者が、緊急その他やむを得ない理由により、指定医療機関以外の者から第10条第2項各号に掲げる医療を受けた場合において、必要があると認めるときは、同条第1項に規定する医療の給付に代えて、医療費を支給することができる。被爆者が指定医療機関から同条第2項各号に掲げる医療を受けた場合において、当該医療が緊急その他やむを得ない理由により同条第1項の規定によらないで行われたものであるときも、同様とする。
2 前項の規定により支給する医療費の額は、第14条の規定により指定医療機関が請求することができる診療報酬の例により算定した額とする。ただし、現に要した費用の額を超えることができない。
3 厚生労働大臣は、第1項の規定により医療費を支給するため必要があるときは、当該医療を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った医療に関し、報告若しくは診療録若しくは帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員をして質問させることができる。
第18条(一般疾病医療費の支給)
1 厚生労働大臣は、被爆者が、負傷又は疾病(第10条第1項に規定する医療の給付を受けることができる負傷又は疾病、遺伝性疾病、先天性疾病及び厚生労働大臣の定めるその他の負傷又は疾病を除く。)につき、都道府県知事が次条第1項の規定により指定する医療機関(以下「被爆者一般疾病医療機関」という。)から第10条第2項各号に掲げる医療を受け、又は緊急その他やむを得ない理由により被爆者一般疾病医療機関以外の者からこれらの医療を受けたときは、その者に対し、当該医療に要した費用の額を限度として、一般疾病医療費を支給することかできる。ただし、その者が、当該負傷若しくは疾病につき、健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)若しくは地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)(以下この条において「社会保険各法」という。)、老人保健法(昭和57年法律第80号)、介護保険法(平成 9年法律第123号)、労働基準法(昭和22年法律第49号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、船員法(昭和22年法律第100号)若しくは日本体育・学校健康センター法(昭和60年法律第92号)の規定により医療に関する給付を受け、若しくは受けることができたとき、又は当該医療が法令の規定により国若しくは地方公共団体の負担による医療に関する給付として行われたときは、当該医療に要した費用の額から当該医療に関する給付の額を控除した額(その者が社会保険各法による療養の給付を受け、又は受けることができたときは、当該療養の給付に関する当該社会保険各法の規定による一部負組金に相当する額とし、当該医療が法令の規定により国又は地方公共団体の負担による医療の現物給付として行われたときは、当該医療に関する給付について行われた実費徴収の額とする。)の限度において支給するものとする。
2 前条第2項の規定は、前項の医療に要した費用の額の算定について準用する。
3 被爆者が被爆者一般疾病医療機関から医療を受けた場合においては、厚生労働大臣は、一般疾病医療費として当該被爆者に支給すべき額の限度において、その者が当該医療に関し当該医療機関に支払うべき費用を、当該被爆者に代わり、当該医療機関に支払うことができる。
4 前項の規定による支払があったときは、当該被爆者に対し、一般疾病医療費の支給があったものとみなす。
5 社会保険各法の規定による被保険者又は組合員である被爆者が、第1項に規定する負傷又は疾病について被爆者一般疾病医療機関から医療を受ける場合には、当該社会保険各法の規定により当該医療機関に支払うべき一部負担金は、当該社会保険各法の規定にかかわらず、当該医療に関し厚生労働大臣が第3項の規定による支払をしない旨の決定をするまでは、支払うことを要しない。
第19条(被爆者一般疾病医療機関)
1 都道府県知事は、その開設者の同意を得て、前条第3項の規定による支払を受けることができる病院若しくは診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。支は薬局を指定する。
2 被爆者一般疾病医療機関は、30日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
3 都道府県知事は、被爆者一般疾病医療機関に前条第3項の規定による支払を受けるについて著しく不適当であると認められる理由があるときは、その指定を取り消すことができる。
第20条
1 厚生労働大臣は、第18条第3項の規定による支払をなすべき額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法に定める審査委員会、国民健康保険法に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
2 国は、第18条第3項の規定による支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。
第21条(報告の請求等)
第16条の規定は、第18条第3項の規定による支払のため必要がある場合に、第17条第3項の規定は、一般疾病医療費を支給するについて必要がある場合に、それぞれ準用する。
第22条(一般疾病医療費の支給の制限)
被爆者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に負傷し、又は疾病にかかったときは、当該負傷又は疾病に係る一般疾病医療費の支給は、行わない。
第23条
被爆者が、闘争、泥酔又は著しい不行跡によって負傷し、又は疾病にかかったときは、当該負傷又は疾病に係る一般疾病医療費の支給は、その全部又は一部を行わないことができる。被爆者が、重大な過失により、負傷し、若しくは疾病にかかったとき、又は正当な理由がなく療養に関する指示に従わなかったときも、同様とする。
第4節 手当等の支給
第24条(医療特別手当の支給)
1 都道府県知事は、第11条第1項の認定を受けた者であって、当該認定に係る負傷又は疾病の状態にあるものに対し、医療特別手当を支給する。
2 前項に規定する者は、医療特別手当の支給を受けようとするときは、同項に規定する要件に該当することについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。
3 医療特別手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、135,400円とする。
4 医療特別手当の支給は、第2項の認定を受けた者が同項の認定の申請をした日の属する月の翌月から始め、第1項に規定する要件に該当しなくなった日の属する月で終わる。
第25条(特別手当の支給)
1 都道府県知事は、第11条第1項の認定を受けた者に対し、特別手当を支給する。ただし、その者が医療特別手当の支給を受けている場合は、この限りでない。
2 前項に規定する者は、特別手当の支給を受けようとするときは、同項に規定する要件に該当することについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。
3 特別手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、5万円とする。
4 特別手当の支給は、第2項の認定を受けた者が同項の認定の申請をした日の属する月の翌月から始め、第1項に規定する要件に該当しなくなった日の属する月で終わる。
第26条(原子爆弾小頭症手当の支給)
1 都道府県知事は、被爆者であって、原子爆弾の放射能の影響による小頭症の患者であるもの(小頭症による厚生労働省令で定める範囲の精神上又は身体上の障害がない者を除く。)に対し、原子爆弾小頭症手当を支給する。
2 前項に規定する者は、原子爆弾小頭症手当の支給を受けようとするときは、同項に規定する要件に該当することについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。
3 原子爆弾小頭症手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、46,600円とする。
4 原子爆弾小頭症手当の支給は、第2項の認定を受けた者が同項の認定の申請をした日の属する月の翌月から始め、その者が死亡した日の属する月で終わる。
第27条(健康管理手当の支給)
1 都道府県知事は、被爆者であって、造血機能障害、肝臓機能障害その他の厚生労働省令で定める障害を伴う疾病(原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く。)にかかっているものに対し、健康管理手当を支給する。ただし、その者が医療特別手当、特別手当又は原子爆弾小頭症手当の支給を受けている場合は、この限りでない。
2 前項に規定する者は、健康管理手当の支給を受けようとするときは、同項に規定する要件に該当することについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。
3 都道府県知事は、前項の認定を行う場合には、併せて当該疾病が継続すると認められる期間を定めるものとする。この場合においては、その期間は、第1項に規定する疾病の種類ごとに厚生労働大臣が定める期間内において定めるものとする。
4 健康管理手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、33,300円とする。
5 健康管理手当の支給は、第2項の認定を受けた者が同項の認定の申請をした日の属する月の翌日から始め、その日から起算してその者につき第3項の規定により定められた期間か満了する日(その期間が満了する日前に第1項に規定する要件に該当しなくなった場合にあっては、その該当しなくなった日)の属する月で終わる。
第28条(保健手当の支給)
1 都道府県知事は、被爆者のうち、原子爆弾が投下された際爆心地から2キロメートルの区域内に在った者又はその当時その者の胎児であった者に対し、保健手当を支給する。ただし、その者が医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当又は健康管理手当の支給を受けている場合は、この限りでない。
2 前項に規定する者は、保健手当の支給を受けようとするときは、同項に規定する要件に該当することについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。
3 保健手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、16,700円とする。ただし、次の各号のいずれかに該当する旨の都道府県知事の認定を受けた者であって、現に当該各号のいずれかに該当するものに支給する保健手当の額は、1月につき、33,300円とする。
厚生労働省令で定める範囲の身体上の障害(原子爆弾の傷害作用の影響によるものでないことが明らかであるものを除く。)がある者
配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第33条第2項において同じ。)、子及び孫のいずれもいない70歳以上の者であって、その者と同居している者がいないもの
4 保健手当の支給は、第2項の認定を受けた者が同項の認定の申請をした日の属する月の翌月から始め、第1項に規定する要件に該当しなくなった日の属する月で終わる。
5 第2項の認定を受けた者が新たに第3項ただし書に規定する都道府県知事の認定を受けた場合における保健手当の額の改定は、その認定の申請をした日の属する月の翌月から行う。
6 第2項の認定を受けた者が第3項ただし書に規定する者に該当しなくなった場合における保健手当の額の改定は、その該当しなくなった日の属する月の翌月から行う。
第29条(手当額の自動改定)
1 医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当及び保健手当(以下この条において単に「手当」という。)については、総務庁において作成する年平均の全国消費者物価指数(以下「物価指数」という。)が平成 5年(この項の規定による手当の額の改定の措置が講じられたときは、直近の当該措置が講じられた年の前年)の物価指数を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の4月以降の当該手当の額を改定する。
2 前項の規定による手当の額の改定の措置は、政令で定める。
第30条(届出)
1 第24条第2項、第25条第2項、第26条第2項、第27条第2項又は第28条第2項の認定を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。
2 都道府県知事は、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当又は保健手当の支給を受けている者が、正当な理由がなく前項の規定による届出をしないときは、その支払を一時差し止めることができる。
第31条(介護手当の支給)
都道府県知事は、被爆者であって、厚生労働省令で定める範囲の精神上又は身体上の障害(原子爆弾の傷害作用の影響によるものでないことが明らかであるものを除く。以下この条において同じ。)により介護を要する状態にあり、かつ、介護を受けているものに対し、その介護を受けている期間について、政令で定めるところにより、介護手当を支給する。ただし、その者(その精神上又は身体上の障害が重度の障害として厚生労働省令で定めるものに該当する者を除く。)が介護者に対し介護に要する費用を支出しないで介護を受けている期間については、この限りでない。
第32条(葬祭料の支給)
都道府県知事は、被爆者が死亡したときは、葬祭を行う者に対し、政令で定めるところにより、葬祭料を支給する。ただし、その死亡が原子爆弾の傷害作用の影響によるものでないことが明らかである場合は、この限りでない。
第33条(特別葬祭給付金)
1 被爆者であって、次の各号のいずれかに該当する者(次項において「死亡者」という。)の遺族であるものには、特別葬祭給付金を支給する。
昭和44年3月31日以前に死亡した第1条各号に掲げる者
昭和44年4月1日から昭和49年9月30日までの間に死亡した第1条各号に掲げる者(当該死亡した者の葬祭を行う者が、附則第3条の規定による廃止前の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(昭和43年法律第53号。以下「旧原爆特別措置法」という。)による葬祭料の支給を受け、又は受けることができた場合における当該死亡した者を除く。)
2 前項の遺族の範囲は、死亡者の死亡の当時における配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹とする。
3 特別葬祭給付金の支給を受ける権利の認定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、厚生労働大臣が行う。
4 前項の請求は、厚生労働省令で定めるところにより、平成 9年6月30日までに行わなければならない。
5 前項の期間内に第3項の請求をしなかった者には、特別葬祭給付金は、これを支給しない。
第34条(特別葬祭給付金の額及び記名国債の交付)
1 特別葬祭給付金の額は、10万円とし、2年以内に償還すべき記名国債をもって交付する。
2 前項の規定により交付するため、政府は、必要な金額を限度として国債を発行することができる。
3 前項の規定により発行する国債は、無利子とする。
4 第2項の規定により発行する国債については、政令で定める場合を除き、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることかできない。
5 前各項に定めるもののほか、第2項の規定により発行する国債に関し必要な事項は、財務省令で定める。
第35条(国債の償還を受ける権利の承継)
前条第1項に規定する国債の記名者が死亡した場合において、同順位の相続人が2人以上あるときは、その1人のした当該死亡した者の死亡前に支払うべきであった同項に規定する国債の償還金の請求又は同項に規定する国債の記名変更の請求は、全員のためにその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした同項に規定する国債の償還金の支払又は同項に規定する国債の記名変更は、全員に対してしたものとみなす。
第36条(国債の償還金の支払)
1 第34条第1項に規定する国債の償還金の支払に関する事務は、総務大臣が取り扱うことができる。
2 前項の規定により総務大臣が取り扱う事務について必要な事項は、総務省令で定める。
第5節 福祉事業
第37条(相談事業)
都道府県は、被爆者の心身の健康に関する相談、被爆者の居宅における日常生活に関する相談その他被爆者の援護に関する相談に応ずる事業を行うことができる。
第38条(居宅生活支援事業)
都道府県は、被爆者の居宅における日常生活を支援するため、次に掲げる事業を行うことができる。
- 被爆者であって、精神上又は身体上の障害があるために日常生活を常むのに支障があるものにつき、その者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜を供与する事業
- 被爆者であって、精神上又は身体上の障害があるために日常生前を営むのに支障があるものを、都道府県知事が適当と認める施設に通わせ、入浴、食事の提供、機能訓練その他の便宜を供与する事業
- 被爆者であって、その介護を行う者の疾病その他の理由により、居宅において介護を受けることが一時的に困難となったものを、都道府県知事が適当と認める施設に短期間入所させ、必要な養護を行う事業
第39条(養護事業)
都道府県は、精神上若しくは身体上又は環境上の理由により養護を必要とする被爆者であって、居宅においてこれを受けることが困難なものを、当該被爆者又はその者を現に養護する者の申出により、都道府県知事が適当と認める施設に入所させ、必要な養護を行う事業を行うことができる。
第4章 調査及び研究
第40条(調査及び研究)
1 国は、原子爆弾の放射能に起因する身体的影響及びこれによる疾病の治療に係る調査研究(次項において「原爆放射能影響調査研究」という。)の推進に努めなければならない。
2 国は、原爆放射能影響調査研究の促進を図るため、民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人であって、原爆放射能影響調査研究を主たる目的とするものに対し、予算の範囲内において、当該法人が行う原爆放射能影響調査研究に要する費用の一部を補助することができる。
第5章 平和を祈念するための事業
第41条(平和を祈念するための事業)
国は、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記し、かつ、恒久の平和を祈念するため、原子爆弾の惨禍に関する国民の理解を深め、その体験の後代の国民への継承を図り、及び原子爆弾による死没者に対する追悼の意を表す事業を行う。
第6章 費用
第42条(都道府県の支弁)
次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当、介護手当及び葬祭料の支給並びにこの法律又はこの法律に基づく命令の規定により都道府県知事が行う事務の処理に要する費用
第37条から第39条までの規定により都道府県が行う事業に要する費用
第43条(国の負担等)
1 国は、政令で定めるところにより、前条の規定により都道府県が支弁する同条第1号に掲げる費用(介護手当に係るものを除く。)を当該都道府県に交付する。
2 国は、政令で定めるところにより、前条の規定により都道府県が支弁する同条第1号に掲げる費用のうち、介護手当の支給に要する費用については十分の8を、介護手当に係る事務の処理に要する費用についてはその2分の1を負担する。
3 国は、予算の範囲内において、都道府県に対し、前条の規定により都道府県が支弁する同条第2号に掲げる費用の一部を補助することができる。
第7章 雑則
第44条(譲渡又は担保の禁止)
この法律に基づく給付を受ける権利は、譲り渡し、又は担保に供することができない。
第45条(差押えの禁止)
この法律に基づく給付を受ける権利及び第34条第1項に規定する国債は、差し押さえることができない。
第46条(非課税)
1 租税その他の公課は、この法律に基づく給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。
2 特別葬祭給付金に関する書類及び第34条第1項に規定する国債を担保とする金銭の貸借に関する書類には、印紙税を課さない。
第47条(不正利得の徴収)
1 偽りその他不正の手段によりこの法律に基づく給付を受けた者がある場合は、厚生労働大臣(当該給付が都道府県知事により行われた場合にあっては、都道府県知事は、国税徴収の例により、その者から、当該給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
第48条(戸籍事項の無料証明)
市町村長(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市においては、区長とする。)は、第24条第1項、第25条第1項、第26条第1項、第27条第1項若しくは第28条第1項に規定する者又は第33条第1項に規定する遺族である者に対して、当該市町村の条例で定めるところにより、これらの者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
第49条(広島市及び長崎市に関する特例)
この法律の規定(第6条及び第51条を除く。)で中「都道府県知事」又は「都道府県」とあるのは、広島市又は長崎市については、「市長」又は「市」と読み替えるものとする。
第50条(再審査請求)
広島市又は長崎市の長が行う被爆者健康手帳の交付又は医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当、介護手当若しくは葬祭料の支給に関する処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。
第51条(権限の委任)
この法律に定める厚生労働大臣の権限の一部又は権限に属する事務であって政令で定めるものは、政令で定めるところにより、都道府県知事並びに広島市長及び長崎市長に委任することができる。
第52条(省令への委任)
この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。
第53条(罰則)
第7条に規定する健康診断、第9条に規定する指導又は第37条に規定する事業の実施の事務に従事した者が、その職務に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第54条
第10条第2項各号に掲げる医療を行った者又はこれを使用する者が、第17条第3項(第21条において準用する場合を含む。)の規定により報告若しくは診療録若しくは帳簿書類その他の物件の提示を命ぜられて、正当な理由がなくこれに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は第17条第2項の規定による当該職員の質問に対して正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、10万円以下の過料に処する。
附則(平成11年12月22日法律第160号)〔抄〕
第1条(施行期日)
この法律〔括弧書省略〕は、平成13年1月6日から施行する。〔以下省略〕
