森林の保健機能の増進に関する特別措置法
平成元年12月8日 法律第71号
第1条(目的)
この法律は、公衆の保健の用に供することが相当と認められる森林につき保健機能の増進を図るための特別の措置を講ずることによる、森林資源の総合的な利用を促進し、もって林業地域の振興と国民の福祉の向上に寄与することを目的とする。
第2条(定義)
1 この法律において「森林」及び「森林所有者」とは、それぞれ、森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項及び第2項に規定する森林及び森林所有者をいう。
2 この法律において「森林の保健機能の増進」とは、次に掲げる事項の一体的な推進により、森林の有する保健機能が向上することをいう。
- 森林の有する保健機能を高度に発揮させるための森林の施業
- 森林の有する保健機能を高度に発揮させるための公衆の利用に供する施設で政令で定めるもの(その設置によって森林の現に有する保健機能以外の諸機能に著しい支障を及ぼさないと認められるものに限る。以下「森林保健施設」という。)の整備
第3条(基本方針)
1 農林水産大臣は、中央森林審議会の意見を聴いて、公衆の保健の用に供することが相当と認められる森林につき、森林の保健機能の増進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
- 森林の保健機能の増進を図るべき森林(以下「保健機能森林」という。)の設定に関する基本的な事項
- 保健機能森林の整備に関する基本的な事項
- その他必要な事項
3 基本方針は、自然環境の保全に適切な考慮が払われたものでなければならない。
4 農林水産大臣は、基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 農林水産大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 農林水産大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。
7 第4項及び第5項の規定は、前項の規定による基本方針の変更について準用する。
第4条(全国森林計画の変更等)
農林水産大臣は、基本方針に基づき森林法第4条第1項の規定によりたてられた全国森林計画を変更し、森林の保健機能の増進に関する事項を追加して定めなければならない。同項の規定により全国森林計画をたてる場合においても、同様とする。
第5条(地域森林計画の変更等)
都道府県知事は、森林法第5条第1項の規定によりたてられた地域森林計画の対象とする森林につき、前条の規定により追加して定められた全国森林計画に即して森林の保健機能の増進を図ることが適当と認める場合には、当該地域森林計画を変更し、次に掲げる事項を追加して定めることができる。同項の規定により地域森林計画をたてる場合においても、同様とする。
- 保健機能森林の区域
- 前号の区域内の森林における造林、保育、伐採その他の施業の方法に関する事項
- 第1号の区域内における森林保健施設の整備に関する事項
- その他必要な事項
第6条(森林施業計画の変更等)
1 森林法第11条第5項の認定を受けた森林所有者(同法第18条の規定に基づき、数人共同して、同項の認定を受けた森林所有者を含む。)は、当該認定にかかる森林施業計画の対象とする前条第1号の区域内に存する森林で農林水産省令で定める基準に適合するもの(以下「対象森林」という。)がある場合には、当該森林施業計画を変更し、対象森林に係る森林の保健機能の増進を図るための計画(以下「森林保健機能増進計画」という。)を当該森林施業計画の全部又は一部として定め、同法第12条第2項の認定を求めることができる。同法第11条第1項の規定により森林施業計画を作成し、同項の認定を求める場合においても、同様とする。
2 森林保健機能増進計画には、対象森林に係る森林法第11条第3項各号に掲げる事項並びに対象森林の区域内において整備しようとする森林保健施設の位置、種類、規模、配置及び構造並びにその実施時期並びに当該施設の維持運営に関する事項を記載しなければならない。
3 都道府県知事は、第1項の規定による認定の請求があった場合において、当該請求に係る森林施業計画の内容が森林法第11条第5項に掲げるもののほか、次に掲げる要件のすべてを満たすときでなければ、同項の認定をしてはならない。
- 森林保健機能増進計画の内容が対象森林に係る森林の保健機能の増進を図るために有効かつ適切なものであること。
- 対象森林の面積のうち整備しようとする森林保健施設の面積の占める比率が農林水産省令で定める比率以下であること。
- 森林の施業の方法並びに整備しようとする森林保健施設の位置、規模、配置及び構造が農林水産省令で定める技術的基準に適合すること。
- 対象森林の全部又は一部が森林法第25条第1項又は第2項の規定により指定された保安林(以下「保安林」という。)である場合には、当該保安林の区域内において行われる森林保健施設の整備が当該保安林の指定の目的(同条第1項第10号に掲げるものを除く。)の達成に支障を及ぼさないと認められること。
4 第1項の規定により森林保健機能増進計画をその全部又は一部とする森林施業計画について森林法第11条第5項(同法第12条第3項において準用する場合を含む。)の認定(以下「特定認定」という。)を受けた者(以下「特定認定森林所有者」という。)についての同法第13条及び第14条の規定の適用については、同法第13条中「同項各号に掲げる要件」とあるのは「同項各号に掲げる要件及び森林の保健機能の増進に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)第6条第3項各項に掲げる要件」と、同法第14条中「森林の施業」とあるのは「森林の施業(特別措置法第6条第2項に規定する事項の実施を含む。)」とする。
第7条(開発行為の許可の特例)
特定認定森林所有者が特定認定に係る森林保健機能増進計画に従って森林保健施設を整備するために行う森林法第10条の2第1項に規定する開発行為については、同項本文の規定は、適用しない。
第8条(保安林における制限の特例)
1 特定認定森林所有者が保安林の区域内において特定認定に係る森林保健機能増進計画に従って森林保健施設を整備するために行う立木の伐採については、森林法第34条第1項本文及び第34条の2本文の規定は、適用しない。
2 特定認定森林所有者が保安林の区域内において特定認定に係る森林保健機能増進計画に従って森林保健施設を整備するために行う森林法第34条第2項本文に規定する行為については、同項本文の規定は、適用しない。
第9条(森林組合の事業の利用の特例)
森林組合は、森林組合法(昭和53年法律第36号)第9条第8項ただし書の規定にかかわらず、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、定款で定めるところにより、特定認定森林所有者である組合員がその森林所有者である対象森林と一体として森林の保健機能の増進を図ることが必要と認められる対象森林(当該森林組合の地区内にあるものに限る。)に係る特定認定森林所有者に、同条第2項第8号に掲げる事業を利用させることができる。
第10条(国有林野の活用)
国は、第4条の規定により追加して定められた全国森林計画に即して森林の保健機能の増進を図るため、国有林野の活用について適切な配慮をするものとする。
附則
この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日〔平成2年5月1日〕から施行する。
