| 上屋久町環境基本計画 | 第3部 各種施策の展開 |
| 第4章 おいしい水、澄み切った空気、安全な土のもとで永続できる町づくり |
第2節 大気環境の保全
課題
屋久島は、標高2,000m近い奥岳までを覆う森林や離島という地域性により、一部の地域を除いては正常な大気環境に恵まれております。このような清浄な大気環境を保全するために、大気汚染防止法に基づくばい煙発生施設を有する工場・事業場や島内の交通手段として依存度の高い自動車からの排気ガス等への対策を講じる必要があります。また、地球規模で見た場合、二酸化炭素(CO2)の発生による地球温暖化対策とオゾン層破壊物質への対策は、地球上のどのような場所であっても、人間が活動する限り規模の大小にかかわらず、検討すべき課題であります。
目標
健康でさわやかな生活ができる大気環境を確保します。
1.工場事業場対策の推進
大気汚染防止法の適用される工場・事業場については、法律や環境保全協定等をもとに大気環境の保全に係る施策を実施します。
(1) 法律に基づく公害防止対策の推進
上屋久町の窯業を中心とする大規模事業場のほかに塵芥焼却場やボイラーを使用する工場等が大気汚染防止法の規制の対象となっています。
これらの事業場等については、大気汚染防止法に基づき、必要な大気汚染防止対策を推進します。
(2) 主要な工場・事業場との環境保全協定の締結
事業規模が大きく、環境への負荷が大きい工場・事業場については、町との間で環境保全協定を結び、必要な環境保全対策を推進します。
2.自動車排出ガス対策の推進
国では、自動車排出ガスについて昭和48年以降逐次規制の強化を行いながら、大気汚染物質の削減を進めてきています。その中では、窒素酸化物の大幅削減や、粒子状物質の規制、軽油中の硫黄分の低減が示されています。現在の屋久島では、自動車の保有台数が少ないこともあって自動車排出ガスによる大気汚染の問題は顕在化しておりませんが、良好な大気環境を確保するため、自動車使用の抑制、徒歩や自転車など環境への負荷の小さい乗り物の利用、低公害車の普及等の自動車排出ガス対策を積極的に推進します。
- 近距離は自転車を利用するとか、自動車を利用しない日を設定するなど、自動車使用の抑制・改善等の普及啓発を行います。
- 日常的な移動手段として使われている徒歩や自転車がさらに利用されやすいように、歩道や自転車道及び置き場の整備を進めます。
- 現在、進めている電気自動車の導入事業等について、自動車の手作りも検討するなど低公害車の普及促進を図り、多面的なとりくみを進めます。
3.悪臭対策の推進
悪臭防止法によると、工場・事業場から発生する悪臭物質の濃度が規制基準を上回ることによって周辺環境に著しい影響を及ぼす場合には、市町村長が改善命令等を行うことができることになっています。
悪臭防止法に基づく規制地域内において、悪臭物質を発生する工場・事業場の敷地境界における濃度を定期的に監視し、必要に応じ悪臭防止の対策を指導します。また、規模の大きな工場・事業場については、環境保全協定を締結し、必要な環境保全対策を推進します。
4.有害化学物質対策の推進
微量有害化学物質による環境汚染については、その実態調査及び健康影響についての情報収集に努めるとともに、以下のような施策を推進します。
- トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物については、県との連携協力のもと、環境濃度や排出実態の把握に努めるとともに、代替品への転換等による排出抑制や適正使用の指導を図ります。
- ヘリコプターによる農薬の空中散布などの共同防除事業について、農薬による大気等の汚染につながらないよう限定的な使用にとどめるか、もしくは全面的な中止を行います。
- その他大気環境を通じて人の健康等に影響を与えるおそれのある未規制の有害化学物質については、県との連携協力のもと、健康影響、使用状況等の情報を収集するとともに、環境濃度の把握に努めます。
5.地球規模の環境対策
オゾン層破壊、地球の温暖化、熱帯林の減少、酸性雨など地球規模の環境問題が21世紀に向け大きな課題となっています。これらの問題は、社会経済活動の拡大と密接な関連があり、エネルギーや資源の大量消費が大きな要因となっています。
地球環境問題については、屋久島も例外ではなく、私たちは身近でできる取り組みを積極的に実施しなければなりません。将来の世代に、健康で快適な環境を受け継いでいくため、以下に示すような実効ある取り組みを推進するとともに、クリーンエネルギーへの転換モデル事業等について情報発信します。
(1) オゾン層保護対策
オゾン層破壊の問題は、1974年アメリカの学者によってクロロフルオロカーボン(フロンの一種)によるオゾン層破壊に関する論文が発表されて以来世界的な注目を集め、1985年に「オゾン層の保護のためのウィーン条約」、1987年に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択されてオゾン層保護に対する国際的取り組みが始まりました。
我が国においても、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」の制定等、種々の対策が講じられています。
- オゾン層を破壊する特定フロン等を削減、全廃するために、脱フロン化に向けての指導・情報提供に努めるとともに、フロンを使用しない製品使用の普及啓発を推進します。
- 冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として使用されている特定フロン等の回収・処理のためのシステムの整備に努めます。
- 温室効果を持つ代替フロンの使用削減に努めます。
(2) エネルギーの適正利用
現在屋久島では島の電気エネルギーの8割以上をまかなっている水力発電も、冬季には化石燃料を使った火力発電で不足分を補っている現状があります。地球温暖化や酸性雨に対する対策として重要なエネルギーの適正利用を推進するため、エネルギーのむだづかいを減らし、未利用エネルギーの利用促進等の施策を講じなければなりません。
- 省エネルギー型の設備や生産工程の導入、排熱利用等の未利用エネルギーの利用を促進し、エネルギー使用の少ない生産構造の形成を進めます。
- 化石燃料を使った発電に代えて、水力とともに地域レベルで確保できるエネルギー源として太陽、風力、波力、地熱、廃棄物の処理エネルギーについての可能性の検討や地域特性を活かしたクリーンエネルギーへの転換モデル事業を導入します。
- 効率の良い小規模・分散型発電施設の検討を行います。
- ソーラー給湯システム等による給湯、暖房への利用を推進します。
- 自動車の購入・選択に当たっては、電気自動車、天然ガス自動車等の低公害車の積極的な推進を図ります。
- エネルギー使用の少ないライフスタイルの実現に向けての普及啓発を推進します。
(3) 森林の保全・育成
森林は、生物の貴重な生息空間であるとともに、二酸化炭素の吸収源でもあります。地球的視野に立ちながら森林の保全・育成を図ります。
6.大気環境の監視体制の整備
大気環境の保全施策の効果と現状を的確に把握するためには、監視測定体制の体系的な整備が必要です。また、上屋久町には、窯業を中心とする規模の大きな事業場が操業しているため、引き続きばい煙や悪臭等も継続して監視するとともに、大気質の自動測定局の設置について、国、県との協議を進めます。
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