第2章 自然と人間が共生する豊かな町づくり
課題
屋久島の岳参りに代表される山岳信仰やさまざまな伝承の根底には、自然と人間が不可分であること、人間は屋久島の自然から恩恵を受けている存在であるという思想がありました。
両町の環境基本条例においても、‘そもそも環境は、人間の営みと不可分のものであって、環境の保全は、自然と人為との調和なくしては実現し得ないものである。’とうたわれています。全世界の自然遺産の中でも例外的に多くの人々が生活する現在の屋久島では、共生の確保は最優先事項の一つです。しかしながら、観光客等の増加による植物の踏み荒らし、湿原への土砂の流入や近年のサル・シカ等の農作物被害、生物の多様性の現象や生態系の撹乱、あるいは生きものと町民との共生にかかわる問題が発生しています。
このような問題を野放しにすれば、世界遺産としての価値まで失いかねない状況にあります。これらの負荷を取り除きつつ、優れた自然が保全・再生されながら、自然にダメージを与えず、地域の活性化を行わなければなりません。
第1節 豊かな自然環境の保全とふれあい利用
目標
屋久島の原生的な森林、豊かで澄みきった川、そしてさまざまな海洋生物の生息環境である海とこれらの生態系を保全します。また、これらの豊かな自然環境に十分配慮しながら、その環境特性に配慮したふれあい利用を進めます。
1.各種法制度等を活用した自然環境の保全
保護ゾーンから海辺親水ゾーンまでの4つのゾーンには、それぞれの環境特性に応じ法規制と地域指定とがなされています。したがってこれからも各種の法制度を活用して国と協議の場を持ち、連携・協力しながら原生的な森林をはじめ、川、海などの豊かな自然環境と生態系の保全を図ります。
- 屋久島の世界遺産登録地、原生自然環境保全地域、国立公園、森林生態系保護地域及び特別天然記念物については、屋久島世界遺産地域管理計画や自然環境保全法、自然公園法、文化財保護法、鳥獣保護及び狩猟に関する法律など各種の法制度等に基づく保護施策を国、県と連携協力しながら推進します。
- 各種法制度を活用した原生的な自然・優れた自然の保護施策や国有林の地域別の森林計画及び、施業管理計画に基づいた育成天然林施業導入等による森林の育成、保全・管理について、国と協議の場を持ち、連携・協力しながら施策の効果的な推進を図ります。
- 上屋久町自然保護条例、屋久町水と緑のふるさと環境条例等を活用して、自然環境の保全を進めます。
- ウミガメ保護条例などを活用し、ウミガメ類の産卵地など優れた自然の保全を行います。
- 干潟、魚類相を誇るタイド・プールやサンゴ群落については、必要に応じて条例等に基づく保護地域などの指定・拡充を行います。
2.良好な自然とのふれあい利用
町民のみならず、国や国際社会にとってもかけがいのない財産である原生的な森林、川、農地、海など多様な自然環境について、それぞれのゾーン別の自然環境の特性に配慮しながら適正なふれあい利用を図ります。
ふれあい利用
- 登山や自然体験などの普及啓発を行います。
- 登山や自然体験等においては、ガイドを同伴するよう推進します。
- 屋久島において利用者の指導、環境教育や自然観察、エコツーリズムの推進に取り組んでいる団体等の協力を得ながら、適正な利用への誘導や保護ゾーン域外への利用の分散を進めます。
施設整備
- 国立公園の利用計画に基づき、国と連携・協力しながら登山客等による負荷を緊急に低減するよう、歩道、山小屋、避難小屋、トイレ等の適切な整備・管理を推進します。
- 国と連携協力しながら縄文杉に代表される特殊植物の保全施設等の施設整備、植生の衰退防止のための土砂流出防止措置や登山客侵入防止措置等を推進します。
- 国と連携協力しながら保全すべき場所が人為的・非人為的に撹乱を受けた場合は、自然の持つ回復力を助けるよう、植生保護・復元、景観維持・創造等のための対策を推進します。
ふれあい利用
- 生態系を保全しながら生産活動の場としての持続可能な利用のほかに、産業体験の場としての森林の活用を図ります。
- フラワーウォッチングやバードウォッチング等の自然観察など、生態系を保全しながら自然と親しむ活動等の活用を図ります。
- 林業体験等による林業の多面的なふれあい利用を推進します。
施設整備
- 自然利用による環境への負荷を制限するために、環境学習や自然利用の拠点施設、既存道路・林道に限定した整備を進めます。
- 環境学習のための拠点施設の充実を図ります。
- 国と連携協力しながら、保育作業等を通じて針広混交林への誘導・復元を図ります。
ふれあい利用
- 地域文化の学習・生きものとのふれあい学習、産業体験学習の場としての機能の充実を図ります。
- 環境に負荷を与えない町づくりや事業活動を推進します。
- 環境を保護・再生するような産業活動の推進や誘致を行います。
- 産業学習、環境文化の学習や体験型ツアーのために活用します。
- 優良農地の確保や農村原風景の保全活用に努めます。
施設整備
- 環境学習施設、自然利用の施設、ふれあい施設等の充実を図ります。
- 軽登山や小さな野外博物館等の施設整備を推進します。
- 遊歩道、散策路等の自然利用、自然とのふれあい施設整備を推進します。
ふれあい利用
- 海域における水産資源等の持続可能な利用を行います。
- 養魚林の育成を行い、水産資源の維持管理を図ります。
- 養殖漁業等の活用に当たっては、周辺海域への環境負荷の低減に努めます。
- フィッシュ・ウォッチング等やダイビング等の海洋レクリエーションと漁業との共存を図りながら、活用を行います。
施設整備
- 親水域の遊歩道、自然観察施設等の自然利用、自然とのふれあい施設の整備を推進します。
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