第4節 生活環境
1.公害
1)大気汚染
上屋久町においては、塵芥焼却場、舗装材料製造業、窯業など8事業場がばい煙発生施設となっており、屋久町では、酒類製造業、舗装材料製造業、塵芥焼却場など6事業場がばい煙発生施設となっています。これらの事業場では、大気汚染防止法に基づくばい煙の濃度測定を定期的に行い、県に報告しています。しかしながら、上屋久町の窯業の工場から発生するばい煙(硫黄酸化物、ばいじん)は、昭和40年代から問題となっており、周辺住民の苦情が続いているため、工場では、大規模な処理施設を整備しました。
町では、これまでの公害防止協定を見直し、平成7年に排出基準をさらに厳しい値に設定した環境保全協定を締結しました。
2)水質汚濁
屋久島の河川については、環境基本法に基づく環境基準の類型指定がなされていません。また、上屋久町においては、4河川について平成6年から、屋久町においても平成8年から4河川について水質調査を実施しています。河川の水質調査の結果をみると、いずれも有機性の汚濁は小さく、環境基準のAA類型相当であることを示していますが、大腸菌群数については、A類型相当の水質であり、そのままでは飲用できない水質となっています。
海域の水質については、環境基準の類型指定がなされていません。
3)騒音・振動
両町における騒音・振動については、上屋久町の窯業の工場の騒音を除いては、町に届けられている住民の苦情はありません。上屋久町が、工場の周辺の敷地境界で測定した結果では、夜間の騒音レベルが規制基準値を上回っていたため、今後も継続して監視を行っていく必要があります。
振動については同様の測定の結果、規制基準値を満足していました。
4)悪臭
屋久町には、悪臭防止法に基づく規制地域の指定はありませんが、上屋久町では、窯業の工場周辺が指定されており、町は定期的に測定を実施しています。
5)土壌汚染
農業等の産業活動による土壌汚染に関しては、調査等は行われていません。しかしながら農作物の質的な劣化についての危惧の声が上がっており、小規模ですが有機・無農薬農産物の出荷も始まっています。
6)地盤沈下
豊富な表流水や湧水等の利用が中心となっている屋久島においては、地下水の過剰な摂取によって起こるとされる地盤沈下の問題等は発生していません。
2.廃棄物
観光客増による特定地域の利用から生じる自然荒廃の問題やゴミの増加、水汚染の問題が発生しています。また、島に暮らす人々の生活様式の都市化や第1次産業の衰退によって、以前と比べて私たちと自然のつながりが弱くなり、自然空間管理形態に変化がみられるようになってきています。
新たな一般廃棄物最終処分場及び産業廃棄物最終処分場の整備については上屋久町、屋久町両町で検討中となっています。ゴミは大部分が収集され、町に設置されている焼却施設で処理されています(収集率:98.4%、施設処理率:70.8%)。一方、私たちの生活の変化や観光客増加によるゴミの増加傾向は著しく、行政の対応とは別に老人会やこども会などのボランティア活動として環境美化活動が実施されています。
また、過去の廃棄物としてダイオキシンの一種である2.4.5−T等、処理に関して課題を残すものも存在しています。
3.教育
平成8年3月1日現在、屋久島には高等学校が1校(普通科・ビジネス情報科)、中学校7校、小学校9校及び幼稚園4園が設置されています。
島外への流出は高校の進路においてもみられ、屋久島高校では、卒業生のうち約半数が大学、及び専修学校等へ進学しています。これに島外への就職者数を加えると、9割以上が卒業後、島外へ出ていくという計算になります。
4.医療
平成7年4月1日現在、屋久島には一般診療所10、歯科診療所5の施設が設置されています。医療従事者についてみると、人口に対する医師、看護婦数はいずれも県平均に比べて少なく、特に眼科、耳鼻咽喉科の専門医がいないため、鹿児島大学医学部からへき地診療所に医師派遣が行われているほか、県医師会の協力を得た巡回診療を行っています。また、口永良部島では月に2回あるいは1回地元医師と鹿児島大学の医師が巡回診療を行っており、医師不在時は屋久島の診療所との遠隔問診システムによる診療が行われています。離島という状況もあり、医療状況の改善は私たち島民全体が強く切望していることがらです。
5.集落自治
屋久島では集落成立の歴史から、集落単位の自治活動が活発であり、生涯学習にかかわる各種団体として婦人団体、青年団体、少年団体などが多数組織されています。また、自治公民館が自主的に葬儀を行っているのも屋久島の地域社会の一つの機能です。老人クラブや青年団では郷土芸能の伝承活動やボランティア活動等を実施していますが、近年このような活発な活動が減少傾向を示しています。
6.町民意識
屋久町が平成6年に町民意識調査を行い、1,553世帯から回収がありました。ここではその結果を引用紹介します。57%の町民が世界遺産に登録された屋久島の自然に誇りをもち、82.7%が住みやすい町であると感じていることが示されました。また、全体的に町の行政に対して高い関心を持ち、第一次産業を基本とした地場産業に力を入れ、就労の確保を図る一方で、工業を中心とした企業誘致を求める声も小さくないことがうかがえます。
農業における問題として、鳥獣被害対策を第一とし、特産品と後継者育成に力を入れるべきであると考えています。過半数以上が無(低)農薬、有機農業に移行すべきであると考え、木炭や薬草等の活用・特産化の推進への要望が強く示されています。また、林業においても同様に林産物の特産品化、木材加工施設整備に大きな期待がかけられています。林道の整備を必要とする声も大きい一方で、造林・除間伐の推進を望む声は昭和61年と比べ減少していますが、林業に対する関心と問題には、水産業については漁場開拓、漁場造成を最も重要な課題と考え、漁場の安定性、生産量について不安があることが示されています。商業については流通機構の改善を求める声が高く、産業関連で宿泊施設としての旅館、ペンション、民宿の充実とキャンプ村の整備、自然の森などの自然とのふれあい施設充実等に対して高い要望があります。文化施設としては、屋久島の自然の生態系を生かした自然水族館や自然植物園・健康の森公園等屋久島型体育施設の充実や多目的ホール等が求められています。また、離島という位置的な問題を反映し、屋久島−鹿児島間の航空路の増便の実現を望む声が高いことが示されています。
生活環境に関連して、下水道整備や小型合併処理浄化槽の設置推進、主要道の緑化、集落ごとに個性のある環境美化と環境造成運動を推進するべきなどの声が大きく、ゴミ処理についてはゴミの分別とリサイクルの推進を望む声が強いことが示されています。また、大多数の人たちが集落ぐるみで積極的に水源かん養林等を守る必要があることを感じており、宅地の造成についても水源林や防潮林を破壊しないような規制が必要と考えていることが示されています。
社会生活面では、暮らし向きは良いと答える割合が昭和61年に比べ増加しており、一方で中核医療施設を中心にした医療福祉面の充実と体育施設の充実に対し強い要望があります。冠婚葬祭の簡素化を願う声が強くなっている一方で年中行事や郷土芸能等伝統文化の継承と育成が重要視されており、地元の伝統文化に対する強い誇りが感じられます。また、社会教育の発掘・育成の推進など人材確保に関心が高いことが分かります。国有林については就労の場の確保と自然資源を活用した観光開発について、トイレの整備と登山道、標識の整備を望むものが過半数を占めています。
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