上屋久町環境基本計画第2部 屋久島の概況
第1節 自然的条件

1.地形・地質・水系

 屋久島は、佐多岬の南、約60kmの海上に浮かぶ面積約504.8km^2の丸い陸塊で、全島はほぼ山地となっています。中央部は九州最高峰の宮之浦岳(標高1,935m)をはじめ、永田岳(同1,886m)、黒味岳(同1,831m)等の山群が奥岳を形成し、この中央部と海岸部との間の大部分が前岳と呼ばれる標高400m以上の大起伏山地となっているため、周辺の海岸から中央部の高峰を望むことはできません。1,500m以上の山が17座、1,000m以上は46座以上あり、多くの登山者から「洋上アルプス」と呼ばれています。
 山麓は、永田から栗生にかけての西岸は直接海に落ち、近年まで道路の開設をはばんだ険しい山地を形成しています。現在でもこのルートは大型車両は通過できません。一方宮之浦から栗生にかけての東・南岸は、最大幅3kmに達する三日月形の海岸段丘が発達し、農業と生活の舞台となっています。
 海岸は、ほとんど全島海食崖をなしており、特に西岸では高さが100mを超える崖も珍しくありません。海食崖下に陸地がある場所では、ほとんどすべてが磯を形成し、砂浜であっても岩盤の上に薄く砂礫の乗ったものが大部分です。明確な砂浜は永田北東に若干発達しています。
 口永良部島は、屋久島の西方約12kmの海上に位置する面積38.04km^2の瓢箪形の島で、緑に覆われた丘陵と活火山を持ち「緑の火山島」と呼ばれています。中央部のくびれた部分を境に、西部の古期火山群地域と東部の新期火山群地域に分けられ、最高点は新岳の657mで、低地は海岸線の湾入部にわずかに見られるのみとなっています。周囲の大部分は、幅の狭い磯に海食による急な崖が迫っており、火山を刻む小河川は峡谷状のものが多く、その谷壁は非常に急峻となっています。
 屋久島の本体は、種子島と同時にできた熊毛層群の中に新第三紀初頭に貫入した花崗岩からなっていて、種子島と屋久島の間には南西諸島を構成する地域構造帯の一つが通っています。貫入を受けた熊毛層群はその作用で花崗岩を取り巻くように海岸線に沿って円形に分布し、北西部は不連続となっています。花崗岩の貫入の影響を強く受けた部分は、接触変成作用を受けており、その結果タングステンなどの鉱床を生じるなどしています。貫入後、この付近の地殻が隆起するに従って浸食が進み、堅い花崗岩体が突出し、現在の高い山岳が形成されたと考えられています。海岸断面の平坦地には砂岩、泥質岩を主とする砂礫槽があり、安房北方磯部、春牧付近では厚さ15mに達しています。また、一部に火山性岩石や火山灰層等がわずかながら認められています。
 屋久島は山岳地帯では年間1万mmに近い雨が降り、台風時には1日に300〜400mm降ることがあるほどの多雨の島です。
 雨の一部は島の中央を占める山岳部から海岸に向けて140あまりの川となって流れ出しており、その中には安房川、栗生川、永田川、宮之浦川などの10本の二級河川が含まれています。
 川は急峻な山をかけ下りながら花崗岩でできた山肌を削り、無数の滝を創り出して、最も長い安房川でも延長は約13.3km足らずです。日本の滝百選に選ばれている大川の滝は、落差88mの規模を誇ります。鯛之川中流にある千尋滝は右岸の高さ200mに及ぶ大スラブや山腹を被う照葉樹林と世界でも類を見ない瀑布景観を呈しています。山が高いわりに海岸までの距離が短く、急流が多いため、途中淀んだり、人為的な影響を受けたりすることがほとんどないため、麓の居住地域までは清冽さを保って流れています。


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