鹿児島県
福祉のまちづくり条例
平成11年3月26日 条例第11号
一人一人が個人として尊重され、すべての県民が、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に主体的かつ自主的に参加し、生きがいを持って暮らせる地域社会を築いていくことは、私たち県民すべての願いである。
こうした社会を実現するためには、高齢者、障害者等の日常生活又は社会生活における自由な活動を制限している様々な障壁を取り除き、すべての県民が自分の意思で自由に行動し、社会に参加することができる心豊かで住みよい福祉のまちづくりに、県、市町村、事業者及び県民が一体となって取り組むことが必要である。
ここに、私たちは、共に力を合わせて福祉のまちづくりを推進することを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
第1条(目的)
この条例は、福祉のまちづくりに関し、県、市町村、事業者及び県民の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本方針及びこれに基づく施設等の整備その他必要な施策を定めることにより、福祉のまちづくりの総合的な推進を図り、もって県民の福祉の増進に資することを目的とする。
第2条(定義)
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
- 高齢者、障害者等 高齢者、障害者その他の者で日常生活又は社会生活において身体の機能上の制限を受けるものをいう。
- 公共的施設 病院、劇場、集会場、百貨店、道路、公園その他の不特定かつ多数の者の利用に供する施設で規則で定めるものをいう。
- 特定公共的施設 公共的施設のうち、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようにするための整備を促進することが特に必要な施設として規則で定めるものをいう。
- 公共輸送車両等 一般の旅客の用に供する鉄道の車両、自動車、船舶等で規則で定めるものをいう。
- 施設等 公共的施設及び公共輸送車両等をいう。
第3条(県の役割)
県は、福祉のまちづくりに関し、総合的な施策を実施するものとする。
第4条(市町村め役割)
市町村は、その地域の実情に応じて、福祉のまちづくりに関する施策を推進するよう努めるとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
第5条(事業者の役割)
事業者は、自ら所有し、又は管理する施設等について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう、その整備に努めるとともに、県及び市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
第6条(県民の役割)
1 県民は、福祉のまちづくりについて理解を深めるとともに、県及び市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力するものとする。
2 県民は、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるように整備された施設等のその円滑な利用を妨げないよう努めるものとする。
第2章 福祉のまちづくりに関する施策
第7条(施策の基本方針)
県は、次に掲げる基本方針に基づき、福祉のまちづくりに関する施策の推進を図るものとする。
- すべての県民が高齢者、障害者等についての理解を深め、福祉のまちづくりに積極的に参加するよう県民の意識の高揚を図るとともに、高齢者、障害者等があらゆる分野の活動に主体的かつ自主的に参加できる環境づくりを推進すること。
- 高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう施設等の整備を促進すること。
第8条(推進体制の整備)
県は、県、市町村、事業者及び県民が一体となって福祉のまちづくりを推進する体制を整備するよう努めるものとする。
第9条(啓発及び情報の提供等)
県は、福祉のまちづくりに関し、事業者及び県民の理解と関心を深めるため広報その他の啓発活動の推進に努めるとともに、必要な情報の収集及び提供に努めるものとする。
第10条(調査及び研究)
県は、福祉のまちづくりを推進するため、必要な調査及び研究に努めるものとする。
第11条(ボランティア活動の促進)
県は、県民の福祉のまちづくりに関するボランティア活動を促進するため、必要な施策の推進に努めるものとする。
第12条(福祉教育の充実及び学習機会の提供)
県は、児童及び生徒が高齢者、障害者等についての理解を深め、思いやりのある心をはぐくむことができるよう、福祉教育の充実に努めるとともに、県民が福祉のまちづくりに関する学習に取り組むことができるよう、その機会の提供に努めるものとする。
第13条(文化活動等の機会の提供)
県は、高齢者、障害者等が積極的に文化、スポーツ及びレクリエーションに関する活数に参加することができるよう、その機会の提供に努めるものとする。
第14条(安全な生活の確保)
県は、高齢者、障害者等が安全な日常生活及び社会生活を営むことができるよう、交通安全の確保及び防災に努めるものとする。
第15条(財政上の措置)
県は、福祉のまちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第3章 公共的施設等の整備
第1節 公共的施設の整備
第16条(整備基準)
知事は、公共的施設における出入口、廊下、階段、昇降機、便所その他の規則で定める部分の構造及び設備の整備に関し、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようにするために必要な基準(以下「整備基準」という。)を規則で定めるものとする。
第17条(整備基準への適合)
1 公共的施設の新築、新設、増築、改築、大規模な修繕、大規模な模様替え又は用途の変更(以下「新築等」という。)をしようとする者は、当該公共的施設を整備基準に適合させるよう努めるものとする。
2 この節の規定の施行の際現に存する公共的施設(現に新築等の工事中のものを含む。)を所有し、又は管理する者は、当該公共的施設を整備基準に適合させるよう努めるものとする。
第18条(維持保全)
公共的施設を所有し、又は管理する者は、当該公共的施設について、整備基準に適合している部分の機能を維持するよう努めるものとする。
第19条(適合証の交付)
1 公共的施設を所有し、又は管理する者は、知事に対し、規則で定めるところにより、当該公共的施設が整備基準に適合していることを証する証票(次項において「適合証」という。)の交付を請求することができる。
2 知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該公共的施設が整備基準に適合していると認めるときは、当該請求をした者に対し、適合証を交付するものとする。
第2節 特定公共的施設の整備
第20条(新築等の届出)
1 特定公共的施設の新築等をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、当該特定公共的施設の新築等の内容を知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、知事に届け出なければならない。
第21条(指導及び助言)
知事は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る特定公共的施設が整備基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な指導及び助言をすることができる。
第22条(工事完了の届出)
第20条の規定による届出をした者は、当該届出に係る工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに、知事に届け出なければならない。
第23条(調査の実施)
1 知事は、この節の規定の施行に必要な限度において、その職員に、特定公共的施設の整備基準への適合の状況について調査させることができる。
2 前項の規定により調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第24条(勧告)
知事は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該各号に規定する者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
- 特定公共的施設の新築等をしようとする者が第20条の規定による届出をしないで当該特定公共的施設の新築等の工事に着手したとき。
- 第20条の規定による届出をした者が当該届出の内容と異なる工事を行ったとき。
第25条(公表)
1 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、勧告の内容その他規則で定める事項を公表することができる。
2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第3節 公共輸送車両等の整備
第26条
公共輸送車両等を所有し、又は管理する者は、当該公共輸送車両等について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう、その整備に努めるものとする。
第4章 雑則
第27条(国等に関する特例)
1 国、地方公共団体その他規則で定める者(次項において「国等」という。)については、前章第2節の規定は、適用しない。
2 知事は、必要があると認めるときは、国等に対し、特定公共的施設の整備基準への適合の状況その他必要と認める事項について、報告を求めることができる。
第28条(規則への委任)
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成11年4月1日から施行する。
ただし、第3章及び第27条の規定は、平成12年4月1日から施行する。