トランキライザー ガン
ジャンル 固定画面アクション
メーカー セガ
発売年 1980


麻酔銃

 『トランキライザー ガン』、“麻酔銃”と名付けられたこの作品は、'80年にセガ・エンタープライゼスから発売された、緊張感あふれるハンティングアクションゲーム。
 ゲームの舞台となるのは数々の猛獣たちが潜む密林。ジャングルの緑が目に鮮やかだ。当時のゲームシーンは、インベーダーブームは一段落ついていたものの、まだまだインベーダーの亜流ともいえる固定画面のシューティングが圧倒的に多く、ハードウェアの面でもラインカラーの作品が多かった。しかし、『トランキライザー ガン』は同社の『スペースインビンコ』等でも採用されていたスペシャルデュアルボードでリリースされ、アトリビュートカラーによるキャラクター単位の8色カラーを誇る美しい画面を持っていた。
 そんな美麗な画面に心惹かれてコインを投入。スタートボタンを押す。プレイヤーが操ることになるハンターがトラックに乗って颯爽と登場。彼をトラックから降ろし、猛獣たちを捕獲すべく密林へと姿を忍ばせる。
 トロフィーとなる獲物は、ヘビ、ゴリラ、ライオン、ゾウ。これらの獲物たちを携帯している麻酔銃で眠らせ、トラックまで運んでいくのが当面の目的だ。ヘビは2発、ゴリラは3発、ライオンは4発、巨体を誇るゾウにいたっては5発もの麻酔弾を撃ち込まなければ眠らせることができない。各猛獣の耐久力を把握していない愚かなプレイヤーは、ライオンやゾウに対して正面から勝負を挑むという狂気の沙汰を演じるが、心得たプレイヤーは密林にじっと身を潜め、待ち伏せして攻撃することを常とした。
 猛獣たちは密林の中を自在に動き回る。その出現パターンはランダムだが、姿を現すときにはその直前にチラチラとその場所に影が見える。プレイヤーはいち早くその影を察知して、逃げるのか攻勢に出るのかを判断しなければならない。しかし、ハンターの動きは非常に緩慢なので、至近距離に出現された場合には逃げ切れないということが多々ある。熟練したプレイヤーは、なるべく密林と接触する面積を少なくしてこれに対処した。

トラック

 この作品に奥行きを与えているものに、ハンターの運転するトラックの存在がある。トラックはフィールドの外周に沿って半時計回りに運転することができ、都合の良い場所に停車させたり、眠らせた猛獣を迎えに行くことができる。トラックには燃料が設定されていて、なぜかは知らぬが時間とともにその燃料が減少していく。そして燃料が無くなってしまうと、当然のことながらトラックは運転不能となり、それに加えて猛獣どもが狂ったように暴れ出す。ハンターの機動力で素早い猛獣どもに立ち向かうのは困難を極め、ほぼ間違い無くハンターは惨殺されてしまうことになる。ただ、燃料の減少には簡単な対応策があり、ショットボタンを押しっぱなしにしておけば燃料は全く減ることはない。
 また、燃料を補給するチャンスも設けられている。4種類の猛獣をそれぞれ一匹ずつ、二匹ずつといった具合に同数で揃えると、ボーナスとして600ドルと燃料10リットルが与えられるのだ。そのため、闇雲に猛獣を捕まえてトラックに運び込むのではなく、数を揃えながら捕獲するのがゲームを長持ちさせるコツだ。しかし、ここにも一つ罠がある。あと一匹ゾウを捕まえれば燃料補給だ、というような時にトラックの付近にゴリラが出現。トラックの檻の鍵を外して、今まで苦労して捕獲した獲物を逃がしてしまうのだ。

16キロバイト

 このゲームは当時としては多彩なフィーチャーが盛り込まれ、ルールが複雑だった。それゆえ、ゲーム内容をしっかりと理解できない低学年層には不人気だった。僕自身、発売された当初は小さな子供だったこともあり、このゲームよりも、『コスミックゲリラ('79、ユニバーサル)』や『ムーンクレスタ('80、日本物産)』といった、分かりやすいシューティングゲームで衝動を解放するためにコインを費やすことが多かった。しかし、後年ふとしたきっかけでデパート屋上のゲームコーナーの片隅に置かれた『トランキライザー ガン』と再会し、友人の薦めに従うままにコインを投入。彼のアドバイスを受けながらプレイするうちにすっかりハマッてしまった。獲物の耐久力を考慮しながらの行動や、トラックの停車位置を変更して自分に有利な状況を作り出すという攻略性の高さが、高学年になった僕の知的好奇心を存分にくすぐったからだろう。
 基板を見ると、スペシャルデュアルボードでは最大の16キロバイトのROM容量を誇っている。製作陣の意気込みが感じられる仕上がりと内容になっていたといえよう。

2003 9/16


●一口メモ


●スクリーンショット

鮮やかな緑がプレイヤーの目を引く。
音源にはアナログ回路のオシレーターボードが付随し、現在のデジタル回路では聞くことのできない、独特の素晴らしい音声を奏でる。


眠らせた猛獣は一定時間内にトラックへ運び込む。ラウンドが進むとカウントダウンのスピードが上がり、トラックを停める位置などがより重要となる。


一度に四種全ての猛獣を眠らせるとラウンドクリア。
後に家庭用としてセガ・マークIII用に『サファリハンティング』のタイトルで移植された。
また、ドリームキャスト用『ダイナマイト刑事2』のおまけゲームとしても収録されている。



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