戦場の狼
ジャンル 縦スクロールシューティング
メーカー カプコン
発売年 1985


スーパージョー

 『戦場の狼』は'85年にカプコンから発売された痛快なコンバットアクションゲーム。従来のゲームには見られなかったその残虐性と、荒唐無稽さ、そして誰にでも理解できる単純明快な爽快感の充足をプレイヤーに提供。高難度ながらもプレイヤーの好評を勝ち取りスマッシュヒットとなった。
 主人公はスーパージョーという名の一兵卒。弾数無限のマシンガンと6発の手榴弾を持って単身敵陣に乗り込み、数々の防衛網を突破、要塞を破壊するのが任務だ。

YM-2203

 コインを投入。小気味良いクレジット投入音に胸を躍らせスタートボタンを押す。UH-1イロコイスに似た軍用ヘリに乗ってスーパージョーが登場。飛び去るヘリに向かって手を振るスーパージョーの姿がプレイヤーのヒロイックな心をくすぐる。
 ゲームが始まると、素晴らしく勇壮でプレイヤーの闘争本能を高揚させるオリジナルのコンバットマーチが流れ始める。殊に、間奏で流れるスネアドラムの音色が秀逸。『戦場の狼』は業界初のFM音源採用ゲーム。そのロジックには当時主流のザイログ社Z-80が採用されていたが、サウンドにヤマハ社YM-2203を搭載。PSGとは一線を画する高品位で厚みのある音にプレイヤーは魅了された。

息づいているジオラマ的世界

 プレイヤーに対して、まず耳から「このゲームは一味違う」と感じさせてくれた『戦場の狼』だが、そのグラフィックにも目を見張るものがあった。緻密に描きこまれた背景やキャラクタの存在感は素晴らしく良くできており、田宮模型の1/35ミリタリーミニチュアシリーズがモニタの中でそのまま動いているような、痛烈で愉快なインパクトがあった。特に印象深いのはやはり敵兵士たちの死に様だろう。マシンガンで奴らの体に風穴を開ける。従来のゲームならその場で消え失せるだけだったのだろうが、『戦場の狼』では違う。手足を大きく広げ、ピクピクと痙攣、断末魔の筋弛緩を繰り返した後昇天していく。その様はいまでこそ滑稽なものに映るが、当時の倫理観の物差しなどを勘案するとそれは衝撃的な映像だった。プレイヤーは当初その姿に多少の良心の呵責に苛まれることになる。だがそれも束の間、FM音源が奏でる勇壮なBGMも手伝って、プレイヤーの心はいつしか冷酷な殺人マシーンと化す。当時、その高難度に下唇を噛み締めつつも口角を吊り上げ、怪しい笑みを浮かべてゲームに没頭するプレイヤーの姿がよく見られたものだ。

任意縦スクロール

 ゲームシステムについても触れておこう。このゲームは縦スクロールシューティングゲームの体裁を取っているが、後戻り不可能のフリースクロール性であるところに特徴がある。縦スクロールシューティングゲームといえば強制スクロールの作品が圧倒的に多く、ゲームの流れに身を任せてプレイするのが一般的だ。だが、『戦場の狼』ではプレイヤーがレバーを上に入れてスーパージョーを侵攻させていかない限り画面は止まったままだ。これにより、後戻りは不可能ながらも自分のペースでゲームを進めていくことができるのではないか、という思いがプレイヤーの脳裏をかすめるが実際にはそれほど甘いゲームではない。じっとしていれば、敵兵士どもはそれこそ無限かと思えるほどワラワラと出現し事態は収拾がつかなくなる。必然的に、プレイヤーはほぼ常にレバーを上に入れておくことを要求される。一見、向こう見ずとも思える大胆な行動が、実は活路を開く攻略法につながっているあたりには感心させられる。また、常にレバーを上に入れておくという行為には、「自分の手で敵陣に侵攻しているのだ」という実感を噛み締める効果もあり、感情移入度も高まった。
 演出面では、ステージクリア時に挟まれるデモ画面が印象深い。それは、主人公スーパージョーがタバコを吹かしたり、レーションを口にするというもので、非常に渋い内容で少年たちをシビれさせる魅力に満ちていた。僕は駄菓子屋に設置されたミニアップライト筐体でこの作品をプレイすることが多かったのだが、画面の中で休息を取るスーパージョーに合わせて、自分自身もうまい棒やチョコバット、かば焼きさん太郎などといった菓子をくわえ、ミリンダやチェリオなどでそれらを喉に流し込んでいた。
 思えば駄菓子屋という場所も忘れがたい。合成着色料や保存料の効きまくった、サイケな極彩色に彩られたビビッドな菓子。そこにたむろする仲間や、他所のエキサイティングなグループ。それらが織り成す独特の雰囲気には、プレイヤーを高揚させ、反応速度を高める効果があったように思う。合成添加物によるドーピング効果もあったのかもしれない。
 現在では時代も変わり、そんなスポットも見られなくなってしまった。残念至極。

2000 10/7


●一口メモ


●スクリーンショット

パワーアップ等のフィーチャーは一切なし。
途中、捕虜を救出したり敵将校を射殺すると高得点を得られるフィーチャーもあるが、ゲームは淡々と進む。
後年ファミコンに移植されたものは流行りの隠し要素を満載していたが、オリジナルの朴訥とした素朴な良さは失われた。


陸橋周辺は混戦になりやすい。
度胸を決めて一気に通り抜けるのが吉。
動体視力などよりもプレイヤーの度胸が物を言うプレイフィールは今プレイしてみても新鮮だ。


ゲームは4エリア1ラウンド構成で、2ラウンド。
2ラウンド目をクリアするとラウンド1に戻りループに突入。グラフィックが魅力的な作品で、先のステージに進むのが楽しみだった。


ステージクリア時のデモ。
スーパージョーとともにプレイヤー自身も休憩。英気を養う。
チョコバットをタバコに見立ててくわえるのが僕のお気に入りだった。



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