パラスコード
ジャンル クォータービューシューティング
メーカー セガ
発売年 1995/7/14


レッツ ハッキング!

 『パラスコード』は、斜め上からの俯瞰画面で展開するシューティングゲーム。画面から受ける印象は、ネオジオの『ビューポイント('92年、サミー工業)』や、アーケードの名作『ザクソン('82年、セガ)』に近い。余談だが、欧米でリリースされた製品のタイトルは『ZAXXON'S MOTHER BASE 2000』となっていた。もっとも、タイトル画面以外の内容は国内版と全く同じで、『ザクソン』のような地形の高低差という概念はなく、普通のシューティングの感覚で操作できる。
 自機はバイオユニットと銘打たれ、映画『エイリアン』のフェイスハガーを思わせる、どこか有機的なデザインで「パラサイト・コネクター」と呼ばれる。装備は正面へのシングルショットのみで、ジャンプが可能であるほかは貧弱な存在だ。アイテムを取得してパワーアップする、などということもない。では、どのようにして強大な敵に立ち向かうのか。「パラサイト・コネクター」というその名称が暗示しているように、敵機を乗っ取る(ハッキングする)のである。そのメカニズムは、敵軍の兵器のほとんどが、高度に発達した戦闘コンピュータによって制御されていることを逆手に取ったもので、敵機体のコアに干渉してプログラムと強制コネクトするというもの。
 実際にハッキングするための手順は簡単で、敵機のコア(赤く輝いている)に重なるようにジャンプすればいい。成功すると、その瞬間からハッキングした機体が操作可能となる。小型戦闘機から中型の戦艦や削岩機など、火力や機動性、耐久力などが異なるさまざまな機体がハッキングでき、多彩に戦闘を運ぶことができる。このユニークなパワーアップ方法こそが『パラスコード』の真骨頂といえるだろう。また、ハッキングした機体はいつでも脱出可能で、脱出した後の機体を敵にぶつけてダメージを与えるといった使い方もできる。
 さらに、パラサイト・コネクターにはラーニング機能が備わっている。これはハッキングした敵機の武器情報を学習する能力で、一定時間敵機をハッキングしつづけると発動する。機体が青白い電光に包まれ、「レディ!」という声がすればラーニング完了。敵機を分離してからも、その敵が使用していた武器を使用することができるのである。ただし、一度に覚えられる武器は一つだけで、新たな敵をハッキングするとそれまで覚えていた武器情報は忘れてしまう。

デジタルな雰囲気がイカす

 このゲームは敵を乗っ取る行為、ハッキングが肝となっているために、シューティングゲームとしては全体のスピードがゆったりとしている。そのため、シューティングマインドを激しく揺さぶられるということはない。だが、そのユニークなパワーアップ方式や全編に漂う独特の雰囲気は、鋭い感受性と感性を有するプレイヤーを魅了し、継続意欲をかき立て、おおいにハマらせた。
 第一の魅力はフルポリゴンでモデリングされたキャラクターたちである。ドット絵ならではの精細に書きこまれたグラフィックを犠牲にし、ポリゴンを採用して説得力のある動きを見せようという方針がヒシヒシと伝わってくる。美麗なテクスチャでデコレートされている最近のゲームを見慣れた目にはチープに映るかもしれない。だが、少ないポリゴン数、しかもノンテクスチャのソリッドなポリゴンで、実に多彩かつ個性的なキャラクターを作り上げるセンスは素晴らしい。飛行形態に変形するロボットや華麗に宙返りする戦闘機、ズッコケて手足をバタつかせる小型ロボット、虫嫌いのプレイヤーを悩ませるほどの動きを見せるゴキブリやクモなどなど…。小さな雑魚キャラからボスたちまで、しっかりとした演技を見せてくれる。特に圧巻なのがステージ6のボス、ビッグモヤイ。巨大な顔、手、足が別々に動くのだが、ポリゴンならではの回転。拡大縮小や変形、指の動き、そして巨大なアホ面に、プレイヤーは驚き、シビれ、爆笑した。まさに『パラスコード』のランドマークといえる存在だろう。
 もう一つの魅力は音楽である。内蔵音源の硬質なサウンドが奏でるBGMは、CD-DAのクリアなサウンドには真似のできない独特なテイストを持っており、狂ったようなテクノの楽曲とともにデジタル世代のプレイヤーを虜にした。特に、サンプリングボイスによる粋な合いの手が印象的で、素ポリゴンの無機質なゲーム画面にとても良くマッチしていた。
 現在の視点で眺めると、随所に見られる処理落ちや低いフレームレートに不満が残る。だが、雰囲気は抜群にいいし、ゲームの肝であるハッキングというフィーチャーも色褪せていない。新世代機のマシンパワーで、洗練された続編を見てみたいタイトルの一つだ。

2000 5/12
階TC刊『ユーズド・ゲームズ Vol.3』寄稿記事に加筆修正


●スクリーンショット

これがプレイヤーが操るパラサイト・コネクター。
尻尾の動きがなんとも愛らしいんである。
左は以前著者が飼育していたフェイスハガーの剥製。


噂のアイツ、ビッグモヤイ。
あまりにもキッチュでけれん味タップリなその姿は、初めて目にする者にめまいにも似た感覚をもたらす。


ポリまったキャラクタどもが繰り広げる、拡大・縮小、変形といった動きが、プレイヤーの目を存分に楽しませてくれる。



MENU HOME