ムーンクレスタ
ジャンル 固定画面シューティング
メーカー 日本物産
発売年 1980


ニチブツ

 脱衣麻雀メーカーとして一時代を築き上げたことで知られる日本物産(ニチブツ)。巷のロケーションの売上を影で支えている存在としてオペレータから一目置かれる存在であった、…かどうかは知らないが、『クレイジークライマー』など、ビデオゲーム史に名を残す名作も手掛けていた。今回紹介する『ムーンクレスタ』は、ニチブツの名を世間の少年たちに知らしめることになった、ビデオゲーム黎明期に登場したシューティングゲームの超名作である。

合体

 少年の夢とロマン、“合体”というフィーチャーを引っさげてそいつはお目見えした。1プレイ毎に3機の自機が与えられるのがビデオゲームの不文律となっているが、『ムーンクレスタ』におけるそれは、他と少し事情が違っていた。
 ゲームは、甲高い戦場のラッパを思わせるような旋律とともに自機が登場するところから始まる。この自機は、実は三機の機体が合体したものであり、最初は先頭の一号機が切り離されて最初のステージが始まる。この一号機が撃墜されると次は二号機、次いで三号機という順番で出撃していき、三号機が落とされるとゲームオーバーとなる。一号機は単発のショットしか発射できないが機体が小さいので敵の攻撃をかわしやすい。二号機は一号機よりやや大きいものの、二連装のショットを発射可能。三号機は二連装ショットを持つが、一、二号機を支える役どころのため機体が大きく、敵の攻撃をかわすのが難しい。
 …と、儀礼的に各機体の特徴などを書いてみたが、ハッキリ言ってそんなことはどうでもイイ。このゲームは合体してナンボのものだ。ゲーム途中にはドッキングシーンが用意されており、これに成功することによって合体が可能。見事合体に成功すると、軽快なファンファーレがプレイヤーを祝福。一号機の単発ショットでチマチマと狙撃していたときの鬱憤を晴らす、爽快な戦闘を運ぶことができるようになる。殊に、三機全てが合体した場合など、その巨大な偉容もあいまって、駄菓子屋プレイヤーの少年たちの心を鷲掴みにした。

燃えたねぇ〜

 『ムーンクレスタ』に登場する敵キャラの種類は決して多いとはいえないものの、どれもトリッキーな動きで、プレイヤーを悩ませた。最初のステージに登場するコールドアイからして、緩急のある動きと分裂するアルゴリズムを見せる難敵だし、プレイヤー目掛けて一直線に垂直落下してくるアトミックパイルなども忘れ難い。特に高次の周回で登場するそれのスピードは凄まじく、僕のシューティングマインドを存分に揺さぶった。

サウンド

 『ムーンクレスタ』の鮮烈な記憶は、そのサウンドとともに僕の脳味噌に強烈にこびりついている。1980年といえば、世の中がアナログからデジタルへと変遷していく過渡期であり、デジタル時計をしている奴がヒーローになれる、そんな時代だった。そんな時代であったからこそ、“コンピュータを使った遊戯”であるところの、ビデオゲームという娯楽に強烈に惹き付けられたのかもしれないが、殊にその“音”には、少年ながらに興味を抱いていた。
 自然界には存在し得ない電子音。その音の数々は、少年時代の僕の耳に鮮烈に切り込んできたものであるが、『ムーンクレスタ』のそれは特に秀逸であった。
 SF的、未来的な敵の飛行音。胸のすく撃墜音。飛行音と撃墜音の相乗効果によって奏でられる、コンピュータでしか聞くことの出来ない旋律…。いや、「譜面に起こせ」と言われたらそれは無理であろうし、旋律という言葉を使うのは不適当かもしれない。だが、そこには紛れもなく音楽があった、と思うのは僕の贔屓目のせいだろうか…。

2000 5/22


●一口メモ


●スクリーンショット

当時のゲームらしく素っ気ないタイトル画面。
しかし、画面上方に「日本物産株式会社」と漢字で表示されていることにミョーに感動を覚えさせられた。


これが少年たちをアツくさせたドッキングシーン。
前のステージを画面中央付近でクリアしていれば成功させるのは容易いが、画面の端のほうからアプローチしなければならない状況だと、慣性を考慮したレバーさばきや逆噴射の使用が要求される。


アトミックパイル。
画面上方でフラフラと揺らめいていたかと思うと、その名のとおり杭のように形を変えて猛スピードで垂直落下してくる。
緊迫感あふれる効果音とともに、プレイヤーのアドレナリンを滾らせた。



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