Viva MEGA DRIVE!

MEGA DRIVE is My Best!

 家庭用ゲーム機の善し悪しはハードウェアの優劣で決められるものではない。速いCPUや豪勢な音源は良質なゲームを生み出すためのアドバンテージにはなり得るが、良質なゲームが生み出されることを約束してくれるものではない。
 家庭用ゲーム機において最も重要なのは、ズバリ“コンテンツの充実”だ。俗にいう“キラーソフト”の存在の有無がそのマシンの未来を掌握しているのを見てもそれは明らかだ。改めて申し述べる必要もないほどに…。しかしそれは、あくまでも売る側の立場の理論である。プレイヤーである我々にとって重要なのは“俺的キラーソフト”、つまり、「他人にとってはどうだか知らねぇけど、俺様にとっちゃこれほどイカすゲームはないね」と言い切れるコンテンツがどれだけ揃っているかだ。
 何が言いたいのかって? MEGA DRIVE is My Best! っていうことさ。自分にとってのお気に入りのゲームが何本動作するのかという点に着目して家庭用ゲーム機を測ってみたとき気が付いたんだ。無人島に持っていくならMEGA DRIVEしかねぇワな、ってね。無人島にコンセントは無ぇだろうけどさ(苦笑)。

Visual Shock! Speed Shock! Sound Shock!

 MEGA DRIVEが登場したのは、'88年10月。老若男女、誰もが知っている文字どおりの国民機、“ファミコン”の愛称でおなじみの『ファミリーコンピュータ(任天堂、'83年発売)』がハードの成熟期を通過し、息切れを起こしかけていたころのことだ。ファミコンに参入しているサードパーティー各社は、貧弱なハードウェアを補うために自社のロムカセットに自前のカスタムチップをごっそりと載せて、目の肥えたユーザーを満足させることに努めていたが、それは同時にソフトの値段が高騰することを意味していた。誰もが高性能なハードウェアの登場を待ち望んでいた。そう、その枯渇感といったら現在の比ではなかった。当時のビデオゲームの花形は間違いなくアーケードゲームだったワケだが、「優れたハードがあればウチでもアレが遊べるんだ」という具体的な“ブツ”がいつも目の前にぶら下がっていただけに、まだ見ぬ高性能ハードへの幻想も抱きやすく、期待は高まるばかりだった…。
 我々プレイヤーたちの間にそんな空気が漂う中現れたのが、時代が求めた16ビット Visual Shock! Speed Shock! Sound Shock!という謳い文句とともに発表された、“セガ・マークV(ファイブ)”こと『MEGA DRIVE』だった。ゲーム誌に掲載されたスクリーンショットの数々は目を見張るばかりに美しく、程なくオンエアの開始されたCFで流された実際のゲーム画面がダメ押しとなり、僕はMEGADRIVEを手にすることになる。漆黒の筐体に刻まれた黄金の“16-BIT”の文字どおり、メインCPUにはモトローラのMC-68000(8MHz)を採用。これだけのことでも、当時のゲーセンに入り浸っていたゲーマーどもは「アレが移植される、コレも移植される…」などと期待を膨らませて狂喜したものだ。それに加えてザイログのZ80A(4MHz)までも搭載したツインCPU構成でマニアも納得。FM音源がかき鳴らす厚みのあるサウンドも素晴らしく、ファミコンのPSGサウンドしか知らないプレイヤーを驚かせた。

ブレイクならず…

 キャッチコピーどおりの高性能を誇るMEGA DRIVEだったが、センセーションを巻き起こすことはできなかった。任天堂の、牽制ともブラッフとも取れるスーパーファミコン発売のアナウンスが多くのユーザーに財布の紐を締めさせて、NECのPCエンジンなども含めた新ハードの買い控えを誘ったことや、発売当初のコンテンツ不足はいかんともしがたかった。
 そして、そのまま波に乗りそこね、世間からは“マイナー”のレッテルを貼られることになる。だが、皮肉にも世間の評価が固まっていくのと反比例するかのようにソフトラインナップは充実の兆しを見せ始める。中でもアクションゲーム史に残る名作『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が白眉で、セガの看板キャラクターにまで成長したのはご存知のとおりだ。
 アクションやシューティングといった、プレイヤーにある程度技術的なものを要求するジャンルのコンテンツが特に充実していたことや、指向性が高く味わい深いながらも、チョット取っ付きにくい異色作が目立っていたことなどから、“MEGA DRIVE=マニアック”という評価をされることも多かった。
 まぁ、僕に関して言えば、実際にMEGA DRIVEを所有している立場として、スノビッシュな風をふかせてそうした世間の空気を少なからず楽しんでいるようなところがあった。「やっぱ違いのわかるゲーマーはメガドラでしょ」とかうそぶいて、本体を所有していることそのものにさえ喜びを見出したりなんかしてた。今思うとスゲぇカッコ悪くて恥ずかしいんだけどさ…。

短所は長所

 アクションやシューティングばかり、ヘンなゲームが多い…。営業的なことは知らないけど、これらのことは僕にとっては紛れもない“長所”なんだ。ヘンなゲーム? 取っ付きにくいゲーム? そんな言い方するのはやめてくれよ。“個性的なゲーム”といってくれ。
 コンピュータにイニシアチブを握らせて、プレイヤーがゲーム内に“どのように関わったか”、“どのようにインタラクトしたか”ということよりも、“何時間プレイしたか”ということが最重要であるようなジャンルのゲーム(要するに、かったりぃRPGやなんかのことさ。;-P)に血道を上げてるような人にはMEGA DRIVEの良さっていうのはわからないと思う。でも、うまく言葉にはできないんだけど、そこには紛れもない、“ピュア”なゲームが揃っているんだ。
 黎明期からビデオゲームを見てきている人にはわかってもらえると思うんだけど、プログラマーとプレイヤーとの間で交わされる知恵比べというか対話感みたいなものがビデオゲームの醍醐味だよね。そうした感覚を満喫できるソフトがMEGA DRIVEには充実している。っていうか、そうした感覚を満喫できるのはアクションやシューティングが多いからっていうのもあるんだけど(逆にいうと、僕はそういう対話感みたいなのが好きだからアクションやシューティングが好きなんだな)。それが僕にとっては何より嬉しいことなんだ。
 多くの人たちにとってはスクウェアのソフトが遊べるゲーム機がベストなのかもしれない。でも僕にとっては、トレジャーやテンゲンやDECOといった“わかっている”メーカーの手による名作の数々が動く、MEGA DRIVEがベストなんだ。

2000/5/7


メガドライブ、メガCD、スーパー32Xのフルセット。
漆黒の筐体に燦然と輝く、黄金の“16-BIT”の文字がなんともセクシーじゃないか。


スーパー32Xはメガドライブを32ビットゲームマシンに変身させる。
右はメガジェット。携帯用メガドライブだ。コントローラと本体が一体になったユニークな筐体。
左に方向キー、右に6つのボタンが並んでいて、こいつを持ってプレイする。
ロムは上部にセットするようになっている。



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