ワタベ流の五つの彫り方

4.浮き彫り

木彫りのタッチをガラスに表現する技法です。
難しいのは、生地からモチーフを浮かすときにはマスクがありますが、彫り進むと、マスクがなくなりフリーの技になっていきます。それこそ、直圧式ブラスターの説明で何回も使っている、ノズルから出る(吹き出る)砂を彫刻刀のように使います。
これは絶対に吸い込み式のブラスターではできない技です。直圧式ブラスターならではの面白さと言えるのではないでしょうか。
面白いですよ、この彫刻は。今までの彫りでは(被せガラスの段彫り以外)マスクを剥がすまでは本当の意味で、できあがりが分かりませんでした。しかし、この浮き彫りは直にガラスに砂を当ててモチーフを彫刻していきますので、目の前で花が、葉が、イルカが、鯨が、動物が浮かんできます。
大袈裟に書きますと、貴方の手の働きでモチーフが形作られ、動き出すのです。

【彫り方】
木彫りと同じように、目で見たままを彫刻して表現しますので、彫りの順番や彫り方はとても解りやすいです。
ただ、よほどノズルワークを訓練しないと、どのように彫るのか解らなくなります。ノズルと生地の距離、角度、砂の量、エアーの圧力等これらの仕事は、繰り返し、又繰り返して自分で理解して掴みます。
まずは、サンドブラスターを自分の道具(彫刻刀)にする事です。
では、図を利用して解説していきましょう。

図1(絶対的基本形)の解説です。
上の絵は浮かした状態をあらわしています。
だいたい、花(植物)は5mm程度浮かせれば十分ですね。
(このモチーフを生地から浮かす量は、植物より動物の方が深くします)
下の絵が、絶対的基本形の形で、上の絵の矢印の方向で、彫りを入れて下の絵の形にします。これが、浮き彫りの絶対形でこの形にしないと、私の所で言う“浮き彫り”のような物になってしまいます。(羊羹のような花びら、裾野の広がった山のようなクジラですね)
図1の下の絵の↓は、彫刻をするときに砂を当てる方向をあらわしています。
上から砂を両側にかけると(砂をかける=彫る)両側だけが彫れて(削れて)いきます。両側だけが彫れていくとどうなるか。
下図2のようになります。

この図2の上の絵のような矢印の方向(→)で砂をかけると、下の絵なります。
このなんだか分からないような形が、浮き彫り彫刻の花びらの断面図です。
真ん中が膨らんでいて、左右が凹む、この感じです。


図3は、写実な浮き彫り彫刻の花の断面図で、上の絵に斜めに(矢印の方向)砂をかけて下の絵にして、また↓から砂をかけます。
立ち上げる(浮かせる)斜めから、次が上から、これが基本です。
気がついていましたか?花びらの真ん中のラインには砂をかけていません。(彫らない)
それで図4になります。

図4は花の浮き彫り(仕上げ前)ができたところです。
花びらの真ん中のラインに砂をかけていませんので、その部分が浮きます。それで花びらの形ができます。

この図が仕上げのときのノズルの狙いです。この矢印の方向で仕上げをします。
ここで作家自身の花のイメージを彫り込みます。

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