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従来のサンドブラストを使った、ガラス彫刻の技法は、カッティングシートや
樹脂フィルムをマスキング材に使用しています。これらのマスキング材は摩擦熱に弱いので、モチーフのまわりだけを集中的に彫ることや、マスクに対して斜めに砂をあてるような技法はできません。
そのため、一般的には、ブラスターのノズルの径を大きく(3mm以上)して砂を拡散させ、全体的に彫るという技法を使います。
日本では、吸い込み式ブラスターが多いためとも言えるでしょう。
沈め彫りの基本的な考え方は、ブラスターのノズルから噴出する砂を木彫り用の彫刻刀の刃と考えます。
細いところは細く鋭く、大きく広いところは広く、また深いところは強く、木彫刻が彫刻刀を変えながら彫るといった発想から生まれた、直圧式ブラスターならではの技法です
@マスキングにゴム材を使用する。
Aノズルの口径は、1.8mm。
B圧力を0.02〜0.3Mpaに変えることができる。
C砂の量を変えることができる。
上記の@〜Cは、ごく普通の直圧式ブラスターの能力でに十分できます。これらの項目を利用すれば、彫刻刀の刃を変えていくことと同じ作業ができます。そしてこれらをもとに作られた技法が、鎌倉彫り(沈め彫り)を応用した渡部流の基本となる彫り方、沈め彫りです。
モチーフの輪郭を強調して彫る鎌倉彫りと違い、素材がガラスの場合、強調する必要がありません。さらに木は、彫っても見た目は変化しませんが、ガラスを彫ると、透明ではなくなるので、変化がよりはっきりと見てとれます。
【 沈め彫り五つの原則 】
1.ゴムは(が)右
彫る時に必ずゴムマスクが右側にあるよう状態で彫ります。
2.ノズルはマスクに対して常に真っ直ぐあてる
ノズルは生地の砂をあてる部分に対して、必ず真っ直ぐの位置で彫ります。
3.生地とノズルの距離は一定に
ノズルと生地の距離を一定にしないと、彫りのタッチが安定しません。
4.ノズルから出る砂の中心はマスクに
4:6〜5:5微妙ですが中心(砂の一番多い部分)はマスク側におきます。
5.モチーフの輪郭だけを彫る
モチーフの重なりの順にマスクを剥がし、輪郭だけを彫ります。
以上が、沈め彫りの彫り方の原則です。
では、一つずつ解説していきましょう。
1. ゴムは(が)右
上図は、「ゴムは右」を表している図です。
上図の上側が正確な、「ゴムは右」で彫刻した物の断面図です。
この図のように、「ゴムは右」で彫ると、真っ直ぐに彫る事ができるのと、左側と右側の彫りのタッチが同じになります。
悪い例の図は、「ゴムは右」を守らず、ただノズルの狙いを変えた彫りで、彫りのタッチが左右で違ってしまいます。
この原則1が、沈め彫りの基本中の基本になります。
くれぐれも勝手に解釈しないで下さい。(ゴムが上など。)
この事を守らないと、沈め彫りとは言えません。
2. ノズルはマスクに対して常に真っ直ぐあてる
この図は、ゴムは右ではなく、ただマスクの周りを彫っている彫り方の断面図です。
Aは、ゴムは右で彫っていますが、あとは生地を動かさないで(回さないで)、そのまま砂をマスクあてた彫りかたです。
この狙い方だと左右の彫りのタッチがまるで違ってしまうのと、斜めに彫れてしまうので、表現が強い感じになって
しまいます。
生地を動かさずに、ノズルの角度(方向)だけを変えて彫刻するとこの図のような彫りになり、ゴムが右ではなくなり、ノズルも生地に対して真っ直ぐではなくなります。
注意して下さい。
3. 生地とノズルの距離は一定に
沈め彫りに限らず、ワタベの技では、この図の意味がとても重要です。
ノズルから砂が出る、このことは誰でも分かりますが、その砂はどのような状態で、ノズルから出ているのか、また出ている砂はどのように広がるのか、その事について考えてみた事はありますか?
よく、私がノズルから出る砂を、彫刻刀に例えますが、この彫刻刀の刃、これが沈め彫り(他の彫りでも)の極意です。
では次の事を、想像してみてください。
砂がノズルから出ます。噴出します。ノズルから出た砂がテーパー状に広がります。
生地とノズルの距離を一定に保たないと、砂の広がり(強さ)が変わってしまい、同じタッチの表現が出来ません。
距離が近いと強くなり、距離が遠いいと弱くなります。
例えば、花びらや、動物の輪郭がでこぼこになるなど、彫りの状態が安定しないのは、ノズルと生地の距離が安定しないからです。
吸い込み式のブラスターの彫刻がでこぼこになりにくいのは、直圧式のブラスターと違い、砂がはじめから広がっているからです。覚えておいて下さい。
4. ノズルから出る砂の中心はマスクに
4:6〜4.5:5.5くらいと微妙ですが、ノズルから出る砂の中心をマスク側に置きます。
単に何割ではなく、彫る人の技量の問題になりますが、あくまでも砂の中心はマスクです。
5. モチーフの輪郭だけを彫る
モチーフの重なりの順にマスクの輪郭だけを彫り、図に書いてあるように、一度彫った部分は彫りません。
これが、逆レリーフとの大きな違いです。
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