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ワタベ流の五つの彫り方

3.被せガラス段彫り

この被せガラスの段彫りの技法は、一言で言いますと『減らしていく』マイナスの技法です。
ガラス工芸に限らず普通の彫刻は彫り足していくプラスの仕事ですが、被せガラス段彫りだけが、
少しづつ、少しづつ、被せガラスの部分を削り取って表現します。
他にはあまりない独特な表現方法です。


【段彫りの理論】
モチーフの重なりに何段階にも砂をかけ、彫刻することにより、色の段差を出します。
たとえば3つの重なりがある場合、重なりを1.2.3とします。
(下図参照)

まず、1に砂をかけます。次に2に砂をかけますが同時に、1にも砂をかけます。
最後の3に砂をかける時に1と2にも砂をかけます。
このように全部に砂をかけることで、1.2.3の間には、必ず1回分の砂をかけた差ができます。
被せガラスの段彫りでは、モチーフの重なりを表現するのに砂をかけた(彫刻した)量の違いで
段差(表現)をつけることがポイントになります。

もう少し簡単に説明しますと、一回砂をかけた部分と、二回砂をかけた部分では、被せてあるガラスの削れる量が違います。それのくりかえしで、モチーフの重なりやふくらみ、ハイライトなどを表現していくのです。
また、被せてあるガラスの色で彫刻の難しさが違ってくるのも、被せガラス段彫りのもう一つの大きな特徴です。代表的な色を見てみます。

1.ルリ
被せガラスの色が徐々に消えていくのではなく、ある瞬間を越えると一瞬で、被せガラスの色が消えてしまうという、一番難しい生地です。発色している色がとても強いからだと理解すると、彫るときに分かりやすいと思います。

2.赤(金赤と区別する為に、銅赤とも言われている)
ルリまではいかないが、この銅赤も消える瞬間が分かりずらい生地です。

3.ムラサキ
一番安心できる生地です。
被せガラスの色が薄くなっていくのが、目で追えるのとても彫刻しやすい生地です。
段彫りの技法を知るには一番分かり易い色です。最初はこの生地で練習しましょう。

これらの色以外に、緑と青がありますが、段彫り彫刻にはむきません。被せガラスの色自体も綺麗なので、平彫り向きでしょう。
ちなみに、サンドブラスト教室で教えているのも、日本の商業ベースに乗っているサンドブラストによる商品も、9割がた平彫りによるものです。この点については、また後でご説明いたします。



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