いくつもの白い石を底に沈めた湖になろうと決めていた
それに何の意味があったのだろう


風を受けなければ 湖底の石がさやぐこともない
ひとりで解けない謎を 机に伏した腕に抱いたって
電車の揺れに途切れる眠り 霞む眼の奥で
毎朝ひとつずつ 詞をなくしていたのに


歌って 私に
歌わせて 朝まで



体温計は細くアラームを鳴らして微熱を告げる
歌えなくても会いに行った 傍で過ごした あの頃
明日はどんな歌を歌うかと 話し合うだけで満ち足りたの 



声が出なくて 歌を忘れた今夜
それでも傍に居ていいのだと 信じていられる私だったなら
秋へ続く気候の谷間 具合の狂いがちな体から
一日の終わりに紡げるだけの 優しい言葉の糸車
両手に捧げ持てる分だけ夜を手繰り寄せる



聞かせて 今日降った雨のこと
囁かせて 窓の外 雨が流れている音
空の色の移り変わり 共に感じるはずのあしたを