今の俺たちの気持ちを表すなら、
クリスマスイヴの子供たちって感じかな。
★★アトランタの媒体より★★
3月22日、アトランタにとうとう彼らがやってくる。
武装して馬に乗った私は革命戦争の始まりを告げるように叫ぶ。
「ワイルドハーツだ!ワイルドハーツがやって来るぞ!」
すると私は東アトランタを駆け抜ける間もなく馬から引きずりおろされ、
「ワイルドハーツとは一体何者だ?!」と問い詰められる。
ワイルドハーツとは、結成以来13年間イギリスのロック・シーンに君臨しているイギリスのバンドだ。アルバムはもちろん、数え切れないほどのシングルもリリースしている。日本でのリリースなどを含めたらもう把握しきれない。そんなに素晴らしいバンドがどうしてここアメリカではまったく無名なのか。ワイルドハーツがヨーロッパやアジアをツアーして廻り何千ものショウをこなしていた間、この国は新しいジャンルを作っては流行を追いかけてばかりいた。アメリカでのワイルドハーツのリリースは、93年の“Earth vs. The Wildhearts”のみ。当時受け入れらそうな音楽的要素を持っていたにも関わらず、シアトルブームの影に埋もれてしまった。だがそんな彼らの状況も3月9日にギアヘッドからアルバムがリリースされれば変わるだろう。
フロントマンであるジンジャーの頑なな熱意があったからこそ、ワイルドハーツは成功し今日まで続いている。トレンドバンドにうんざりしているファンの目を覚ますために、プロモーターは彼らをフェスティバルに呼ぶ。ワイルドハーツのライブにはエネルギーが満ち溢れ、ファンは皆バンドと一緒になって大声で歌う。そんな彼らのライヴ音源を聴くのは楽しくてしかたない。バンドとオーディエンスが一体となったライヴは、アメリカではなかなか味合うことができない。最近MTVやラジオでかかっているバンドの曲に合わせて歌うことは容易ではないから。私はまだ“Riff After Riff”を聴いていないのでそれについてのコメントは控えさせてもらうが、3月22日にThe Earlで行われるライヴは絶対観ておくべきとだけは言わせてもらおう。彼らが普段イギリスや日本でプレイする会場に比べると遥かに小さいかもしれないが、それでも彼らは数千人の前でプレイするのと同じエネルギーでステージに立つことだろう。今回のこのチャンスを逃すと次は彼らがダークネスの前座でやって来る時となり、先に書いた、バンドとの一体感を味わうことが難しくなってしまう。だから、今回のライヴを見逃さないでほしい。
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イギリスで生まれた伝説のロックバンド、ワイルドハーツの軸でありシンガーであるジンジャーが、ダークネスとのツアー中にこちらが用意した10の質問に答えてくれた。イギリス版チープ・トリックと言われ、トレンドに左右されないにもかかわらずたくさんのファンに愛され続けてきたワイルドハーツというバンドについて、少しでもわかってもらえたら嬉しい。
質問1:ダークネスとのヨーロッパ・ツアーを終えたばかりだとういうのにすぐにアメリカに来てドラゴンズとのツアー、そしてまたダークネスとのツアーが待っている。どんな気分?
ジンジャー:なんとか頑張ってるよ。肉体的に鍛えてもいるし、精神的にもこんなにいい状態だったことはない。当然プレイの質も上がってるよ。
質問2:ワイルドハーツが最後にアメリカをツアーしたのはいつのこと?
ジンジャー:今回が初めてだよ。
質問3:地元イギリスでのライヴではファンがみんな一緒に歌うよね。ワイルドハーツを初めて見る人が殆どのアメリカではセットリストはどう変える予定?あまり考えずにイギリスと同じようなセットでやるのかな?
ジンジャー:ダークネスとヨーロッパを廻ったときはとにかくいろんな曲をやったよ。アメリカでもそうするつもりだ。セットを変えるのは得意だからね!
質問4:バンドとしてやっている時もソロでアコースティックのギグをやる時も、あなたはオーディエンスを惹き付けるのがすごくうまい(ライブの音源を聴くたびにイギリスに住みたくなるよ、まったく)。今後、アメリカでファンを増やすために英米を行ったり来たりする準備はできてるかい?
ジンジャー:もちろん。アメリカで成功したいならアメリカへ飛ばなくちゃ。大変だろうけどすごく楽しみでもあるんだ。
質問5:ジェイソン・アンド・ザ・スコーチャーズの“White Lies”のカバーをやっていたよね。他にアメリカのバンドで影響を受けたバンドは?
ジンジャー:そんなの多すぎて答えられないよ。好きなアメリカのバンドはたくさんいる。ニュー・ヨーク・ドールズ、キッス、エアロスミス、ラモーンズ、チープ・トリック、エンジェル、ディクテイターズ、ロッズ、ライオット、グッド・ラッツ、ジェイソン・アンド・ザ・スコーチャーズ、ロング・ライダース、ローン・ジャスティス、ベイビーズ、ブルー・オイスター・カルト、リプレイスメンツ、ソウル・アサイラム・・・全部の名前をタイプしたら指がちぎれちゃうからこの辺でやめとくよ!
質問6:すべて仕切りたがる大きなレーベルに比べて、小さなレーベルだとバンド側の自由が多少利く。現時点でのワイルドハーツにはどっちがいいと思う?
ジンジャー:今はとにかく1回でも多くライブをやりたい。それには資金援助が要る。理想を言うなら、バンドの意見を受け入れてくれてお金も持ってる会社と契約したいね。
質問7:若いバンドのプロデュースをしたことはある?もしあるとしたら、将来もっとそういった仕事をしていきたいと思った?
ジンジャー:プロデュースの仕事は楽しかったよ。でもそっち方面に力を入れるのはもっと年を取ってからでいい。ちょっと体が疲れていても頭さえ起きてればできる仕事だからね。今はまだステージで汗をかくのが好きだし、今まで感じたことがないくらいのベスト・コンディションなんだ。
質問8:もう15年近く1つのバンドでツアーしてるよね。今回は1月からノンストップ、USツアーは殆どオフなしで21回のショウがある。常に気持ちを高めているために何かしていることはある?
ジンジャー:ステージに立つことさ。ファンの顔を見ることが俺には一番の薬だからね。
質問9:アメリカを侵略するとして、イギリスのバンドを二つ連れてこれるとしたら誰を連れてくる?
ジンジャー:セラピー?とグリテラーティだね。
質問10:MOJOのライブ告知を見てて思ったんだけど、アメリカ人が聞いても誰だかさっぱりわからないようなバンドがたくさんいてツアーしてる。イギリス人のファンのアーティストへの忠誠心が強いからだと思うけど、どう思う?
ジンジャー:アメリカほどテレビ漬けになってないんだと思うよ。バンドは生で観る方が楽しいってことをイギリス人は知ってるんじゃないかな。
---最後に質問に答えてくれたジンジャーに感謝したい。これを読んでいるみんなには、ワイルドハーツを観る機会があったら絶対に観に行ってほしい。絶対損はさせないから。
★★デトロイトの媒体より★★
---今の俺たちの気持ちを表すなら、クリスマスイヴの子供たちって感じかな。
ワイルドハーツのシンガー/ギタリスト、ジンジャーの少し疲れた声が聞こえた。遠い国からの国際電話だけど、それでもアメリカツアーを明日に控えたジンジャーの興奮は受話器越しに伝わってくる。ダークネスとまわる今回のツアーは、ワイルドハーツの歴史15年にして初めてのフルUSツアーとなる。
ワイルドハーツは、ジンジャーが一時期在籍したクワイアーボーイズ、ワイルドハーツにも在籍したことがあるバンのいるドッグス・ダムールに対抗する形で80年代のガター・ロック・シーンに登場した。アメリカでのアルバムリリースは93年の“Earth Vs. the Wildhearts”の1枚で、ライヴに関しては96年のAC/DCとのツアーで行われた2回のみしか実現していない。
---AC/DCとのツアーはもちろん全部やるはずだった。でもあの頃の俺たちはどうしようもなくて、メンバー同士やクルーとのケンカが絶えなかった。
と、ジンジャーは苦笑しながら言う。本国イギリスとヨーロッパで成功してはいたものの、アメリカではほぼ無名。eBayでレア商品をあさるしかないコアなファンを少数持つ程度だ。カリフォルニアのインディ・レーベル、ギアヘッドからリリースされたニュー・アルバム“Riff After Riff”では、バンドの特徴であるメタリカのような肉厚なリフに乗せたポップなメロディを存分に聴くことができる。このアルバムをサポートするため、初めてのUSツアーとして、サンディエゴのバンド、ドラゴンズとのツアーが当初予定されていた。が、ここでダークネスが絡んでくる。
ワイルドハーツとダークネスは、まだ無名だったダークネスをワイルドハーツが前座に起用したりして、付き合いが長い。
---ダークネスのことをジョーク・バンドだと思っている人が多かった。新しいバンドに対してあまりにひどい批評だと思ったけど、でも俺(ジンジャー)はジャスティンに言ったんだ。お前らを嫌ってる奴らがこれだけ沢山いるんだから、絶対ビッグになるぞ、って。今のダークネスを見てみろよ。前に彼らをバカにした奴らを、上から見下ろして笑ってるぜ。
現在、ダークネスはメディアのプッシュを受けて、アルバムもゴールドに達している。無名の彼らを手助けしてくれたワイルドハーツをスペシャルゲストに迎えてソールドアウトのツアーに挑む。
ダークネスやワイルドハーツにアメリカが注目していることについて、「イギリスのバンドの時代がまた始まるよ。随分待たせちゃったけどね」とジンジャーは言う。
---ドラゴンズとのツアーをキャンセルしなければならなかった事は残念に思ってるけど、こんなチャンスを与えられたら誰だってイエスって答えるだろ。よっぽどのバカじゃない限りね。
ワイルドハーツのイメージどおり、ジンジャーは思ったことを隠さず言う。
---今の音楽シーン、ニュー・ガレージ・ロックなんてのは、ちっともロックじゃない。ロックンロールが好きな人が気に入るわけがない。なんたってギターの音が、まるでアンプにつながってないかのように薄い。ロックンロールには最低限のルールってもんがある。俺が聴いて育ったバンド、ニュー・ヨーク・ドールズやエアロスミス、チープ・トリックみたいに、ラウドなギターの音がなきゃダメなんだよ。メンバーみんなで同じような髪型にしてるバンドも笑っちゃうね。ああいう中にいて、どうやって個性を磨くつもりだ?
ラップ・メタル系のバンドについても同じ見解のようだ。
---アメリカにはワイルドハーツみたいなバンドが必要なんだ。ディスターブドやステインドなんかを聴かされてるアメリカのキッズに同情するよ。スキンヘッドのシンガーがいるバンドは聴くなってこと、法律に加えるべきだね。それから、自己中な“自称”アーティストにも言いたい。自分たち自身のことを歌ってるからって、そこに聴き手がいるってことを忘れちゃいないかい。自分の精神状態が不安定なのを人のせいにばかりしてる。俺はアーティストでキミらには理解できない、なんてナンセンスだよ。みんなで楽しめばいいんだ。我慢大会じゃないんだからね。ワイルドハーツのライヴは、ストレスとは無縁だ。逆にストレスを忘れるために見に来てほしい。
本物のロックンロールのシーンがまた戻ってくる、とジンジャーは続ける。
---ロックンロールはいつも存在してはいてたものの、メディアでは、両親の文句を歌ったりしてるどうしようもないバンドたちの裏に陰を潜めていた。そんな下らない歌詞はワイルドハーツやダークネスの曲にはない。いいバンドの数は少ないかもしれないが、ファンのニーズが減ることはない。ショウマンシップは、いつだってロックンロールの世界に存在する。それがイケてないって言う奴らなんか、クソ食らえだ。
ワイルドハーツの4人、ジンジャー、ギターのCJ、ベースのジョン・プール、そしてドラムのスティディを1つにまとめるのはある意味いつもチャレンジだった。ポップ・ロックには超ドデカくてラウドなギターがなくてはならないとジンジャーは考えている。また、“リフの嵐だけでなくオーディエンスを泣かせる切ないバラードも持つ”UFOのようなバンドも好んで聴くと言う。
初期のデイヴィッド・ボウイの作品にほとんどクレジットされている素晴らしいギタリスト、故ミック・ロンソンはジンジャーの愛するアイドルの1人だ。そのロンソンと仕事ができたことは彼らのバンドの歴史の中で最も大きなできごとだったに違いない。“My Baby Is A Headfuck”のソロを弾くために、古びた青いテレキャスターを手にフラッとスタジオに入ってきたロンソンの姿を、ジンジャーは思い起こす。
---彼は精神的にも創造的にも、まさに天使のような存在だった。彼みたいな人は病気で早くに逝ってしまうのに、ニューメタルだかなんだかやってる野郎どもはまだ息してやがる。でもきっとミックが死んでしまったのは、悪いことじゃない。神様だって、絶対ミック・ロンソン・ファンに違いないからね。
ワイルドハーツは、USツアーに出るために気合を入れているところだ。
---ワイルドハーツはもう、ブクブク太った酔っ払いがお互いにうんざりしながらプレイするバンドじゃない。見た目も締まって、今までになくタイトだ。アメリカのファンはいつでも俺たちに忠実でいてくれた。彼らの殆どが俺たちのライヴを生で見たことがないにもかかわらずね。俺たちのポップな部分はアメリカのバンドから受けたものだ。この先12ヶ月に起こりうる未知の出来事すべてを、楽しみにしてるよ。ニュー・オリンズだって?ブルーズ・プレイヤーが生まれた夢の中にしかない幻の町だろ?コロラド・・・歌にするはいいかもしれない。そういう町が本当に存在するのか、俺は自分の目でやっと確かめることができる。次のアルバム用の曲はもう実は殆ど仕上がってるんだ。でも、これから始まるアメリカ・ツアーでは何が起こるかわからないだろ。初めての経験から刺激をうけて、今まで以上のすごい曲を書けなきゃミュージシャンやってる資格なしってもんだ。
ワイルドハーツとダークネスは3月28日にClutch Cargoでライヴを行う。もちろんソールド・アウトだ。
★★サンアントニオの媒体より★★
カルトの前座でガンズ・アンド・ローゼズが出てきたときの衝撃を覚えているかい?
英国のメディに言わせれば、ワイルドハーツのアメリカ進出はあの時のガンズと同じくらいの衝撃になるらしい。
ワイルドハーツは、ドラゴンズの前座として今回初めてアメリカへやって来る。その後はバンドの友人でもあるダークネスのソールド・アウトツアーに参加し、テキサスでは4月13日にオースティンでギグを行う。
バンドのカリズマであるジンジャーはダークネスとのツアーや、ファン、ドラゴンズについてメールでこう説明した。
---ドラゴンズとのツアーは、俺たちのマネージャーによると100%確定していたわけじゃないらしい。最初は、労働ビザなしで行こうとしてたんだ。きちんとした格好をしてツアーなんかしません、ミュージシャンじゃありません、って言って税関を通るはずだった。でも、俺は首や手にタトゥーを入れてるし、どう頑張ってもコンサバに見えるわけがないよな。それに、俺たちのパスポートには過去12年間ツアーしてきた証としていろんなスタンプが押してある。CJは日本人と結婚して日本に住んでるから、もし嘘がバレてつかまりでもしたら、奴は二度とワイフの顔を見ることができなくなる。加えてバンドは4年間、アメリカに入国することを禁止されてしまう。
ジンジャーは続ける。
---ダークネスとのツアーは、ビザも保障されていて、アメリカでの俺たちの将来にもつながる。またツアーができる可能性が広がるわけだから。今回の予定変更は、マネージメントが決めたことであってバンド自体は全く関与していないんだ。今後はアルバムを作るだけでなく、エージェントやマネージャーたちともっと深く関わっていこうと思っている。ドラゴンズへの償いも忘れないよ。近い将来、絶対彼らとツアーする。
ドランゴンズのフロントマン、マリオもジンジャーと連絡を取り合っているらしい。
---ダークネスとのツアーを優先したワイルドハーツを責めることはできないよ。最初にそのニュースを聞いたのは彼らのマネージャーからだったんだけど、友達と呼ぶには程遠い関係だったから、冷たいもんだった。ジンジャーとは後になって話したんだ。ロックンロールバンドにはそうチャンスがめぐってくるもんじゃない。チャンスだと思ったら迷わずつかむべきだし、俺がワイルドハーツの立場にいたら同じ決断をしたと思う。彼らは巡ってきたチャンスをモノにしただけだ。責める気はない。いつか一緒にツアーできるのを楽しみにしてるよ。
ワイルドハーツのアルバム“Riff After Riff”は、ギアヘッドから発売中、ファンおすすめの“The Earth Vs. the Wildhearts”と“The Wildhearts Must Be Destroyed”は輸入盤でのみ入手可能。