
★6/25 ロイ・ウィルキンス・アンフィシアター/ミネアポリス★
とうとうやってきました、最終日。
ツアー終盤はいつもつらくて、たいていデキの悪いライブになる。
いや、故意に最悪のライブにしてるのかも。
楽しい思い出ばかりだと、ツアーが終わった後にステージが恋しくてしかたなくなっちゃうからね。
ツアーで長く家を空ける直前に、離れ離れになるのがつらくて、わざわざカミさんとケンカするのと同じようなことかな。
始まりはいつもと変わらず。
バッグをつかんでバスを降りて、楽屋を探す。
角を曲がったところでジャスティンがファンにサインしてるのを見つけた。
と、その瞬間、前から悩まされてた腰痛に襲われる。
ズキッときて俺は痛さに耐えられず、うなだれた。
いてー。
何の災難もなしに最終日を終えられるだろうなんて考えた俺がバカだった。
ツアーが始まる前に俺はカイロプラクターに見てもらった。
医者は「あんまりステージで激しく動き回らないように」って言ってたけど、そんな忠告無視しても平気だと思ってた。
今の今までは、ね。
少なくともツアーの初日じゃないだけいいだろ?
っていうか・・・マジ激痛。
医者に見てもらわなければ今夜の俺はステージに椅子置いて座ってプレイすることになる。
でも幸い地元のプロダクションのジョン(さんきゅー!)が医者を知ってて、しかもライブに招待すればタダで診てくれるらしい。
なんていい話だ!
タクシーに乗ってその医者のところへ向かった。
彼はまさにマジシャンだね。
俺の顔の周りの空気に触れると、さまざまなホリスティック療法を施してくれた。
ホリスティック医学なんて前の俺なら絶対に信じなかった。
トリートメントを受けるまで激痛に泣いてたのに終わったらすっかりラクになる、なんてのを実際に体験したら話は別。
ホリスティック医学は効き目絶大!
信じられないだろ?
彼の息子ジャスティンも本当にいい奴で、すぐに会場に戻らなきゃいけない俺を車で送ってくれた。
おかげで着替えも準備も、開演ギリギリ間に合った。
もちろん俺はジャスティンを招待客リストに載せた。俺に出来るのはこのくらいしかないからね。
最初の1曲目、オーディエンスは見てるだけだったけど、だんだんノッてきて、3曲目が終わる頃には物凄く盛り上がってった。
ミネアポリスはすごいよ!
ここのオーディエンスは初めてロックバンドを見るかのようにクレイジーだった。
最後にいいライブに行ってから随分とご無沙汰なのかな?
とにかく、ミネアポリスは、このツアーで一番ラウドで狂ってて最高のオーディエンス。
俺たちのプレイも申し分なかった。
バンドの強さを証明することとになったし、ツアーのフィナーレとしては素晴らしいね。
ここの客はみんなクレイジー。というわけで、ライブの後の‘ファンとの交流’は悪夢となる。
いろいろ連れ回され、耳元で大声で叫ばれ、顔にツバを受けながら話を聞かされ、ガタイのいい男のファンにがっしりハグされ、女の子たちは俺がキスしたがってると思い込んで濡れた唇を押し付けてくる。
男が女に許可無くキスなんかしたらつかまっちゃうのに、その逆は罪にならないなんて、法律っておかしくないか?
俺はこの狂った状況にだんだんイライラしてきてたから、ダークネスを観るためにステージ脇へ移動。
俺のシガーの煙がけむたがられる。仕方なく楽屋に引っ込むと、だんだん悲しくなってきた。
スティディが、息子用に小さいサイズのTシャツを取っといてくれなかったからってダークネスのクルーとケンカしてる。
時間がたつにつれ、ダークになってきた。って、空の話じゃないぜ。
ちきしょー。
今日はフラフラになって倒れるまで、オリンピック級の酔っ払いになってやる。
ライブが終わってダークネスがステージを去る頃、俺たちは泥酔しきってた。1人残らず全員。
ダークネスのみんなに俺たちは大袈裟なくらいのお別れの挨拶で襲撃した。
ハグもあり、キスもあり、最後にまた一緒にツアーしようと約束した。
ダークネスは本当にグレイトなバンドだ。
彼らのロック界への功績を評価してないヤツらは、今までどおりクソな音楽だけ聴き続けてろってんだ。
彼らの音楽やジャスティンの声を気に入らなくてもいい。
でも、同じようにアメリカで成功できるようにって友達バンドをツアーに連れ出してくれる彼らに拍手を送れないヤツは、きっと他人のために何か良い事をするなんてのとは無縁なんだろうな。
そんなヤツのことなんかどうでもいいや。
最後に覚えてるのは、トムが去ってったこと。
ちょっと酔いが覚めて記憶が戻ってきたのは、デニーズで食事してる女の子たちの皿をパイキー・ダンとつついてた頃。
しばらくして、彼女たちは哀れに思ったのか、それとも俺たちをホームレスと思ったのか、親切にも食べ物と飲み物を譲ってくれた。
もしきちんと喋れるほど脳が起きてたら、彼女たちにこの数週間で起こったことを全て話して聞かせてあげたのに。
ま、彼女たちが信じてくれるとは思わないけどさ。