ささいな恐怖


ホラーな小話



駅のアナウンス

間もなくぅー、3番ホームをー、**行き急行がぁー、通過いたしますぅー。
危険ですのでぇ、白線までお下がりくださいぃぃぃ。
なおー、列車に飛び込まれる方はぁー、
他のお客様の迷惑になりますのでぇー、
出来る限りホームの前方でぇー、飛び込まれるようにぃー、
お願いぃー、いたしますぅー。
列車通過の際にぃー、合図のチャイムが鳴りますのでぇー、
合図と同時に飛び込まれますとぉー、
確実にぃ目的をー、達成できますぅー。



ピロリロリン♪ (列車通過を知らせるチャイム)

ドシャッ! ゴスッ! バリベリボリバリッ!

グチャドシャベチャビシャ



エクトプラズム?

自分の口から白いものが。
やはり冬の戸外は寒いなあ。



ナースの懺悔

この前、手術の準備で男の人の剃毛したのね。
うん、若い子。
したらさ、元気になっちゃって。
邪魔だなあって思って、つい無意識に手で払っちゃったのね。
カミソリ持ったまま。
うん。
あれを。
したら。
スパッと。
ポロッと。
すごかったわあ。
悪いことしちゃった。



外科医の独り言

あー。若くて美人のクランケ(患者)が切りてえなあ。



有馬温泉

兵庫県/有馬温泉駅のそばに、「湯けむり広場」というのがある。
ここで、たとえば頭の壊れたヤツが日本刀なんか振り回して大量殺人を起こしたら、ここは「血けむり広場」と呼ばれるようになるのだろうか。



じばくれい

決まった場所や建物に現れる霊のことを言い、
したがって「地縛霊」と書くのが正しい。
三流TVバラエティや安っぽい心霊本などで、
おそらくは誤変換であろうが、
たまに「自縛霊」となっている場合がある。
幽霊が一人SMしてどうする。
ひどいものだと「自爆霊」というのすらある。
どうしろというのだ。



パソコンによる殺人

 連れが俺の家に遊びに来たときのこと。
 俺の部屋で、連れは俺の机に座り、俺は畳にあぐらをかいて、お互い何をするでもなく雑誌をながめていたが、ふと思いついて、俺は言った。

「なあ。パソコンで人を殺せると思うか?」

 しばらく考えて、ヤツは言った。

「んなこと、できるわけないじゃん」

「そうでもないぜ。やって見せようか」

「うん。見てみたいな。ほんとか?」

 俺は机の上にあるミドルタワーモデルのパソコン本体をよっこらしょと持ち上げ、まだ不思議そうにしている連れの頭に、力いっぱい叩きつけた。

 な? できるだろう?



キャビンアテンダント〜客室乗務員〜

 離陸から20分。機体が水平飛行に移って安定飛行状態になった頃、客室内が急に減圧した。
 客席上部の酸素マスクが飛び出すほどではなかったが、コックピットの計器に警告が出る程度には異常な減圧だった。
 機長から調べるように言われたチーフパーサーの私は、前方から順に客室を調べていった。
 だが取り立てて異常らしきところは見あたらない。
 ──と、私は、客席最後部でなんとなくおろおろしているように見える新人を見つけた。

「今、客室が急に減圧したけど、何かあったの?」

「あのう、じつは──」

 彼女が言うには、水平飛行に移って少しした頃、客2人がもめ始めたため、「他のお客様のご迷惑になりますので、喧嘩は外で願います」と言って、非常脱出口から外へ出したという。
 そのときに、急激に減圧したのだ。

「喧嘩は外でってあなた。素直に外へ出るわけないでしょ?」

「出るってゆーか、非常脱出ドアを開けると同時に、外へ吸い出されましたー」

 私は念のために窓から外を眺めた。
 窓から見えるのは、白い雲だけであった。
 もめた客2人は、もちろん影も形もなかった。



ささいな恐怖