ささいな恐怖


ハイキングで幽霊談義

(第3回ビーケーワン怪談大賞応募作)



 どう。なかなかいい道と思わない?
 この季節にしては、涼しいしさ。
 まー、木が茂っててちょっち薄暗くて怖げなのがあれだけど。
 怖げって言えばさあ。幽霊。
 そそそ。ヒュードロドロの。
 あれってさあ、誰も人がいないときって、どうしてんだろな。
 いや、誰かに恨みがある場合はさあ、その人のところに直に行くからノープロブレムなわけ。
 じゃなくてさ、ほら、「地縛霊」って言う方。
 地面に縛られる霊って書く方。
 たまにどっかの3流怪談本とかサイトとかで「自縛霊」、自分を縛る霊って書いてるバカがいるけど、幽霊がそういうプレイしちゃいかんよね。
 いやまあ、とにかく地縛霊。
 あれって、人が通らないときって、何してんだろね。
 退屈じゃないのかな。
 幽霊だって、のどもかわけばお腹だって空くだろし。空かないか。
 なんにしたって、人が来るまでひたすら待ってるって、つらいよなー。
 人恋しくもなるよねー。
 ああそうか。
 だから、人が来たらすぐに出るわけか。
 だけどさ、だからって、とり殺しちゃいかんよなー。
 実はさ、言いそびれていたんだけど、今歩いてるこの道って、「出る」って噂なんだよね。
 だから来てみたんだけど。
 2人で歩いてると、いつの間にか、横にいた人が、知らない人になっているんだと。
 それが幽霊なんだって。
 でまあ、襲われるか取り憑かれるかして、死んじゃう、と。
 あれ。
 怖がらせちった?
 ね。ね。






 …………あの。ちょっと。
あんた、誰?



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